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ジワジワとファンになり、冷めるときは一瞬

最近引越しをしたんですが、この引越しの体験が、顧客が「ファンになる」から「冷める」までの一連のプロセスを辿ったなと思い、自分の仕事にも活かせそうな体験だったと思うので書いておいてみようと思います。

ジワジワとその仲介業者さんのファンになった自分

2021年の2月末に今の賃貸の更新が来るので、そのタイミングで引越をしようかと思っていました。
この時、「引越さない」という選択肢も取れたのですが、その時の私はなんとなく「更新料払うんだったら引越そうかな」というのだけは決めていました。

なので特に「引越し先に求める条件」が先行してたわけではなかったのですが、自分は「木更津キャッツアイ」というドラマが物凄く好きだったので、
「これを機会に木更津引っ越すのありじゃね?」と思い、木更津で家を探し始めます。

ただ、木更津が思った以上に職場等へのアクセスが悪かったので断念しました。そして別のエリアで家を探し始めます。木更津を断念した後なので、一旦どこでもいいやという気持ちで、東京、神奈川、後は木更津に引っ張られて千葉などで「なんとなくここ良さそうだな〜」っていう物件登録して、仲介業者さんとお話をしてました。多くの業者さんから色々ヒアリングされる中で色々な家を提示されるのですが、特にピントこず。コロナ禍もあって内見を最小限にしていたため、中々決まらない。。。

そんな中、今回家を決めた仲介業者さんと話をします。
担当の方が「千葉を選ばれた理由は何かあるんですか?」と聴いてくださったので正直に「実は最初は木更津に引っ越したくて」という話をしました。
その方は木更津キャッツアイはご存知なかったみたいなのですが、ネットで検索してくださって、「あ、岡田准一主演なんですね。かっこいいですよね〜。僕はこの前ファブルをみましたよ。ご存知ですか?」と話をしてくださったんですよ。この何気ない会話が凄い嬉しくて、早く引っ越し先決めなとちょっと焦ってた中で「木更津キャッツアイが好きで始まった引っ越しからの話を聴いてくれた」って感じが個人的にはとても良かったんですね。

その後、そういった映画やドラマの話をして口がよく動くようになり、徐々に自分の中でもまだ言語化出来てなかった、「今の引越し先に求める条件」みたいなものが口からスルスル出てき始めました。

「よくネット使われるのであれば、備え付けとかがいいですかね?」
「コロナ禍で料理を少しされ始めて、キッチンを今より広くしたそうに聴こえたのですがどうですか?」

というような形でヒアリングをしてくださり、その日のうちに物件を2件紹介してくれました。このスピード感も良かった。オンライン内見可能だったで、次の日には2件ともオンラインで内見。自分の中では昨日の嬉しかった体験もあって、「どっちかで決めようと思います」と担当者の方にお伝え。
担当者の方は、「オンライン内見初めてと仰ってたので、最後は1回直接ご覧いた抱いたほうがいいですよ」と仰ってくださいました。
担当者の方が、無理にすぐに契約巻かせようとしないところも良かったです。そして、直接内見をして、今の家を決めました。

家を決めてからの契約関連の対応に関しても、年末で仕事が忙しくなっていることなどを伝えると、かなりきめ細やかにフォローしていただきスムーズに対応ができました。

鍵を受け取って家に行く際、お家を紹介して下った担当の方は別のお仕事があって同行できなかったのですが、他の方が私を車で物件まで送ってくださいました。これも、ただ家に行くだけではなく、わざわざ周辺の美味しいお見せを幾つか紹介してくれました。

「ここのとんかつ屋さんは美味しいんですがとても混んでるので事前に予約取っていくのがおすすめです。」

「この一帯、ラーメン屋さんが多いのでラーメン好きだったら是非巡ってみてください。」

こういったところまで情報をくれるなんて、店舗レベルで凄いステキな接客だな〜と思いつつ、この時自分は「次も引っ越しするならここに相談したいな〜」と思っていました。

ある一つの出来事で、今少し冷めている自分がいる

引越し先に満足しつつ過ごしていたら、お世話になった仲介業者さんから
レターパックが届きました。中身をあけると頭書きにはこのように書かれていました。

お世話になっております。〜〜(仲介業者と担当者名)です。
先日はお部屋のご契約誠にありがとうございました。
契約書類のお客様控え一式をお送りさせていただきますので、退去時までに保管いただくようにお願いします。

「オケオケ」と思いつつ、クリアファイルに入った書類一式をペラペラ〜とめくり、収納の書類入れ箱に格納しました。

そこから1ヶ月くらいして、収納の書類入れ部分に他の書類をしまおうと思い、箱を取り出しました。その時に「引っ越しの契約書類一式」が目に入ったので、何気なく手に取り書類を見ました。
そうすると、その書類一式の中に「初回賃料等ご請求のご案内」と書かれた書類を見つけました。その書類だけは、仲介業者さんとは別の、家賃保証をサービス提供している会社さんからの書類でした。

そのご案内には下記のようなことが書かれていました。

①初回賃料等については、口座振替手続きが間に合わないため、銀行振込をお願いします。
②お支払いは振り込み期日までにお願いします。万が一遅れた場合は、遅延損害金及び事務手数料をご負担いただきます。

「頭書きにはこんな書類が入ってるとか書いてなかったなよな、、、」
「こんな説明受けた記憶が無いな、、、」
「てか、遅延損害金とかなに?払うのめっちゃ嫌やねんけど、、、」

上記の想いが頭をめぐりつつ、支払期日を確認するとそれはとうに過ぎていました。。。

慌てて仲介業者さんに確認のためにメールを送付。仲介業者さんからは
「ご案内不足で大変失礼しました。集金保証会社のこちらにご連絡ください」と返ってきました。

「あ、こっちに自分でかけてってことね」と理解しつつ、以前よりも端的だなと。。。またこの時、以前よりもメールの返信スピードが少し遅かったのも気になりました。

保証会社電話を確認したら、携帯の着信履歴にその番号がありました。
知らない番号だから無視してしまってたみたいです。
電話をかけて、事情を説明したら「今回は遅延損害金など大丈夫ですよ〜お手数ですが振り込みお願いします」とのことだったで、振り込んで修了でした。

これで一件落着だったのですが、個人的にはちょっとモヤモヤしていました。何にかというと、仲介業さんに対してです。

それまでのサービスが物凄く素晴らしかったと感じてたので、今回の件は勿体ないなと。。。
契約の段階で「口座振込の連絡が来るかもしれませんのでご注意ください」と言ってくれてたり、契約書類一式の頭書きに「初回賃料の請求案内があるので、そちらはご確認いただき振り込みをお願いします」と書いてくれてるだけでも、大分違った気がするんだけどな〜、と。

素晴らしいサービスを提供してくださっていたのに、こんなことでがっかりされるのってめっちゃ勿体ない、この部分を是非修正してほしいなと思って、担当の方にメールをしてみました。そのメールの内容は下記です。

〜〜さん
お世話になります。山田です。

いただいた番号にお電話して対応完了しました。
番号のご案内ありがとうございました。

1点だけ、出過ぎたマネかと思うのですが、、、
今回いただいた書類の頭書きに「契約書類のお客様控え一式をお送りしてますので保管ください」と書かれており、まさかその書類の中に、「初回賃料の請求」が入っていると思わずでした。時間が経って、たまたま書類一式を見て、初回賃料請求の資料を見ると、「遅延した場合遅延損害金および事務手数料を払ってもらいます」と書かれていたため、不安になってしまいました。この頭書きに、「初回賃料の請求書があるのでそちらはすぐにご確認ください」とだけでも書いていただけてたら嬉しかったです。
(業者さんから、今回は遅延損害とか大丈夫ですよ〜といっていただけたので良かったのですが。笑)

物件ご紹介いただいた際、〜〜さんはじめ、〜〜店の方がご丁寧かつスピーディーに対応いただけてとても嬉しかったのですが、
それだけに今回の些細な部分が勿体ないなと感じてしまい、、、

イチご意見として受け取っていただけると幸いです。
また引っ越しの際はご協力いただけると助かります。

これに対してのお相手の返信がこのような感じでした。

ご案内不足で大変失礼いたしました。
今後はしっかりと改善させていただきますので、再度お引越しの際も是非お手伝いさせて頂ければと思いますので宜しくお願い致します。

この返信を読んだ瞬間、「う〜ん、なんだかな〜、、、」とちょっと引っかかるものがあり、徐々に冷めていく自分を感じました。

今回の体験で得た2つの気づき

今回の体験を通して、大きな気づきが2つありました。

①全てのサービスは繋がっていて、1つでもサービスが欠けてはいけない

今回、私が一連のサービスを受けた中で、残念に思ったのは「初回賃料の請求の案内」という一箇所だけでした。それ以外の部分に関してはかなり満足していました。もしかしたら、その「初回賃料の請求」に関するオペレーション部分は、担当者の方や店舗の方の担当範囲外の部分だったかもしれません。ただ、顧客である私からするとそんなこと関係なく、その店舗、その担当者の方のサービスに勿体ないところがあったという風に映ります。
顧客に届ける「全てのサービス」は繋がっていて、自分の担当範囲じゃない部分だとしても、どれか1つでもかけると「サービス全体の満足度が下がる」ということ。

私の場合、今回の初回賃料の体験が「この業者さんとの最後の体験」として終わったら、次回引越しの際には他の業者さんを使うことも検討すると思います。

業者さんからするとそれは「販売完了後」の出来事かもしれませんが、私からすると「また引越しの際には使いたいと思う業者さん」との出来事でした。売切のモデルから、顧客との継続的な関係性を創ることがより大事になっている、LTVが重要な指標になっている昨今において、サービスの繋がりを網羅的に意識し、サービス全体を設計することこそ、重要なポイントだと再認識しました。

②顧客が意見した際に求めているのは具体の行動と意見への感謝である

最後、担当の方からいただいたメールがどうもしっくりこないのが気になっていました。「自分は何にしっくりきてないんだろう?」と。

逆に、「どんな文面が来てたら自分は最後冷めること無かったのかな?」と考えてみました。思いついたのが下記です。

ご案内不足で大変失礼いたしました。
今後同じように書類をお送りする場合は、受け取った方が誤解を生まないように、頭書きの部分正しくご対応いただきたいことを記載させていただきます。貴重なご意見ありがとうございます。
再度お引越しの際も是非お手伝いさせて頂ければと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

これだと個人的にはしっくり来ました。なぜしっくりきたのか考えてみると、ポイントは②つでした。

1.今後の具体行動が書かれている

顧客はサービス提供者に意見をした際に、「具体的に今後どんな行動を取ってくれるのか」を期待してるんですね。
たとえそれが少しズレてたとしても「自分の意見を元に具体の行動でこういう対応をしてくれようとしているのだな」と伝われば、それはそれで嬉しいです。

一方で、「改善します」という返信って凄い抽象的だなと。
「改善は当たり前じゃないのかな?どう改善するのか、私はあなたに期待してるんだけど」ってのが顧客としての気持ちでした。

2.意見を述べたことに感謝されている

今回こういった「意見のメール」を送ってわかったのですが、何かを物申すのってとても体力がいるというか、疲れるんですね。笑
また、こういった意見を送るのは、そのサービス提供者に興味関心があるから出てくる行動でもあるなと実感しました。疲れるけど、伝わってほしいから送る。

なので、それに対してただ謝罪だけでなく「ありがとうございます。」というような感謝の言葉をもらえると、顧客としては「言って良かった」という気持ちになります。

あと、「感謝」がないと「あなたの言ったとおり改善するからまた当社を使ってね」という風に見えるんですよね。そんな風に伝えるつもりは無いとしても、そう見えるのはまたまた勿体ないなと。

私個人が気にしすぎているかもしれないですし、他の方だとまた全然感じ方は違うかもしれません。ただ、サブスクリプション型のサービスを提供している自分としては、今回の体験をただの体験で終わらせること無く、自身が提供するサービスに活かしていきたいなと思う体験でした(まる)










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