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とある企業様の稟議制度の浸透施策があまりにも素晴らしかった話

こんにちは。株式会社LayerXのバクラク事業部で、既にバクラクサービスをご利用いただいているお客様へ追加のバクラクサービスを提案している山田と申します。

今回noteを書こうと思ったのは、弊社のワークフローシステムを購入いただいたお客様の中に「稟議制度の導入から浸透までがあまりにも鮮やかだったお客様」がいらっしゃり、このノウハウを発信することは「これから稟議制度を導入しようと考えている方」「ワークフローシステムを導入しようとしている方」にとって非常に有益だと思ったからです。特に下記のような組織の方に届けたいと思っています。

・これから稟議制度をワークフローシステムを用いて導入する
・100名未満の組織規模


はじめに:バクラクとは


まず最初に、バクラクは企業活動のインフラとなる法人支出管理(BSM)SaaSです。企業取引の前段となる「稟議の統一」と「※債務の一元管理」を可能にし従業員・経理のそれぞれが係る業務領域において、なめらかな業務連携により企業経営を加速させることを目的にサービスを提供しています。
「稟議の統一」に関しては、「バクラク申請・経費精算」というワークフローシステムを提供しています。

※将来的には「債権・債務の一元管理」を目指しているのですが、まだそこは出来ておらず、今後に期待いただけると嬉しいです。

バクラクが提供しているのは、「ワークフローシステム」です。バクラクを入れたら自動で稟議制度が出来上がるわけではありません。また、稟議制度は制度として会社で正しく運用されることで初めて意味をなします。システムの価値は「稟議制度を効率よく的確に運用するための補助」です。

今回お話しするお客様に関して

そのお客様の属性は下記のような感じです。
・社員数100名未満
・業界はIT業界
・このタイミングで規定を刷新
・元々の稟議はSlackを活用

Slackを活用されており、「稟議をあげるならSlackで」というのが根付いた状態でした。更にこのタイミングで規定が見直され、あげる稟議の種類が増えました。
「必要な稟議を全て上げてもらえるようにする」
「申請方法を慣れているSlackから変更してもらう」
この2点が突破すべきポイントでした。

鮮やかな浸透を作った3つのポイントについて

導入〜浸透を手早く進めることが出来たポイントは下記3点だったと思っています。

1.「なぜ稟議制度が重要か」の説明に最も時間を使う

2.徹底的な周知

3.新フローへの移行を従業員の方と一緒に進める

1.「なぜ稟議制度が重要か」の説明に最も時間を使う


新しいワークフローシステムを導入して「これからこちらで申請してくださいね」とだけ伝えられても現場の方の納得感が生まれず、結果制度もシステムも浸透しないという課題を想定されていました。

なのでまずは「会社の1つの目標達成に向けて、なぜ稟議制度が必要か」という「GOALの伝達」に最も重きを置いて説明をスタートされました。実際に話された内容は下記のような内容だそうです。

  • IPOに向けて決算の早期化&内部統制の徹底をする必要があること

  • そのために皆さんに行ってほしいことは何か

    • 請求書や立替経費精算の申請はタイムリーに出してね

    • 消費税が判別できるレシートを提出してね

    • IPOに向けたガバナンス担保のため、各種規定を作成・改訂しており、全社でこの規定を守りましょう。

  • 稟議について

    • 稟議とはそもそも何か

    • なぜ稟議が必要になるのか

    • 稟議がないと起こる問題とは何か

    • 稟議は必要だが、全員が「簡単」かつ「確実」に運用出来るようにするためには新しいシステムが必要と判断

  • 稟議とワークフローシステムを段階的に導入するスケジュールについて

    • まずは~~関連の稟議申請からスタートします

    • その後、~~関連の稟議申請をスタートします

    • 少し間を空けて、来期からその他全ての申請を必要に応じて入れていきます

    • 新しいワークフローシステムの利用(操作)方法について

説明会自体は2回行われているのですが、1回目の説明会ではワークフローシステムの利用(操作方法)については説明しておらず、手前の「GOAL」にフォーカスすることで「稟議制度を自分事化する」ことに成功したのだと思います。

2.徹底的な周知


従業員の方も忙しいので1回の説明で全員には届かないのではないか、1回だけで全ての内容を知ってもらうのは無理ではないか、結果「稟議制度って何?よくわかってない」「新しいワークフローシステム?そんなの知らない」という状態が発生するだろうと考えたそうです。

ですので、稟議制度に関する説明は、2ヶ月の間に全体が集まる場でで2回伝達されました。従業員の皆さんは運用前から2回直接話を聞いた状態です。加えて、社内のポータルにも説明動画をアップロードしたり、社内のSlackでも頻繁に案内や更新情報を流すことで「今、稟議制度という話題について知らない人はいない」という状態を目指したそうです。シンプルな施策ですが、当たり前を徹底することの重要性を感じます。

3.新フローへの移行を従業員の方と一緒に進める


実際に、バクラクを利用した稟議制度がスタートしてからも、旧ワークフローであったSlackの申請方法はあえて最初は残していたそうです。

・いきなり旧フローを廃止にすると現場が混乱する可能性がある
・一方的に廃止にすることで「コーポレートが勝手に進めている」というような見え方、雰囲気を作りたくない

上記が浸透の障壁にならないように考慮してのスタートでした。ただ、1ヶ月ほどでほとんどのSlackワークフローの廃止に成功したそうです。

そのやり方としては、まず最初に稟議制度についてどんなことでも聞けるSlackのオープンチャンネルを作成しました。全員が参加するチャンネルで、稟議に関する質問は全てそこに集約し、全員に見える形で回答することでチャンネルを活発に動かしました。

そうしていると、従業員の方から「この申請、Slackとバクラクで2つありますが、二重で申請する意味はないですよね?」というような発言が出るようになり、その従業員の発言を受け止めて該当の旧フローの申請を消す、という整理の仕方を徹底されたそうです。一方的に旧フローの整備を行うのではなく、「従業員の方からの疑問」をフックにして旧フローを整理することで「従業員の方と一緒にフローを整備する」ことに成功し、結果として現場には自然と新しいフローが根付いたと考えられます。

終わりに

以上3点により、スタートから1ヶ月程度で旧フローから新フローへの移行を完遂させたと感じております。

特別な取り組みではなく、凡事徹底による愚直なアクションで最短を突き進んだ一例かと思います。これから稟議制度を導入する、ワークフローシステムを整備される企業様の参考になれば幸いです。

また、LayerXではすべての経済活動を、デジタル化すべく、まだ見ぬ仲間を探しています。私が所属する「カスタマーサクセス部」も事業の成長に伴い大きな変革期を迎えております。9月に育休をいただいていたら、部の形がほとんど変わっているほど試行錯誤の毎日です。この変革期のカスタマーサクセス部について、それぞれがnoteを書いてくれているので、ご覧いただき、今のバクラクのカスタマーサクセス組織について知っていただけると嬉しいです。


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