［短編］スナイパーDQN［AI絵本］

本当にあの女なのか？

ああ、間違いない

そうは見えないがなあ

エージェントだぞ！　化けるのも仕事のうちだ

それはそうだが……

このタイミングでこの場所に居るのが何よりもの証拠だ
今、ここで阻止しなければアイツは必ずここを爆破する

新しい通貨を妨害するためか？

そうだ。そうなれば西側はもうお終いだ

しかし、爆破してそれで阻止できるのか？

わからん。そんなことはオレたちの考えることじゃない

東じゃなく西側の自作自演だとバレたら最悪だぞ

心配するな。東がいくら騒ごうが、西側ではすべてデマで通す

そうだな。世界は劇場だものな

そういうこと

しかし、不釣り合いじゃねえか？

何が？

オレたちの報酬だよ。日給たった500ドルだぞ！

まあ、そりゃあそうだが、応募したのはオレたちのほうだからな

そうだけど、世間体というものがあるだろう？

こんな闇バイトに世間体もクソもあるか！

いや、これほどの大事件だ。後世きっと真相が解明される
その時に日当500ドルじゃ格好がつかないぜ

オレたちのことなんか誰も気にしやしないよ

西側の黒幕の恥になると思うんだよ

んーー、それはちょっと恥ずかしいかもな

一応、云ってみようぜ

報酬を上げろってか？　そんな浅ましい真似ができるか！

こういうんだよ。私利私欲で云ってるんじゃありません。歴史に遺る大事件なんですから、西側の名誉のために云ってるんです。西側を守った勇者の日給が500ドルじゃ、東側の笑いものになりませんかね？
どうだ？

なんだか、云い訳がましいな。

ダメならそれでいいじゃないか。仕事をやらないと云ってるんじゃないんだ

それはそうだが……

オマエが云えないなら、オレが云ってやる。その非常用の端末を貸せ！

おい、よせ、こらっ

トゥルルルルルルル……

バカ、やめろ！

（……　スミスです）

あ、　プツン…………

見たか？

ああ、見た……

彼女が電話をとったぞ……

オレたちの雇い主って彼女か？

ということになるな

じゃあ、今夜、やるのは？

そんな難しいことを訊くな！
舞台裏はどこだってフクザツなんだ！
下っ端に真相なんかわかるわけがないだろ！

真相なんかどうでもいいんだよ！
彼女をやれば、オレたちタダ働きだぞ！
たったの500ドルも貰えないんだぞ！
なんならここまでのタクシー代も立て替えてる！

立て替えたのはオレだっ！

ドキューーン！　ドキューーン！

ＥＮＤ