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[銀レク]こまらせ サンタ~♬

※「銀レク」というのは、高齢者施設のレクリエーションの略です。座談用の話題。

 突然ですが、この町のサンタさん体調不良で、急遽代役を頼まれました。この町でクリスマスに予定がないのは、アナタだけだったのです。といっても、誰でも良いわけではありません。三日間の実習を経てサンタにふさわしいと認められれば、の話です。

 何しろ町中の人たちがサンタさんを心待ちにしています。こうなったらやるしかありませんね!

 まずはウォーミングアップ、動物実習から。

Q;ニッカーズというとても大きな肉牛がいました。
さて、ニッカーズにどんな運命をプレゼントしますか?


1, 品評会で優勝させてやり、最後はめでたく高級ステーキになる運命。

2, たくさんの人に食べてもらうために、あえて缶詰になる運命。

3, 大きな身体になり過ぎて引き取り手が泣く、ずっと牧場にいられる運命。
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A;具体的に考えると、何が相手のためになるのかは簡単ではありませんね。肉牛として生まれたからには肉にならないと意味がない! と思う牛もいるでしょうし。 

 実際にあったのは、こういうことでした。
 ニッカーズ(大きな牛の名前)は、他の牛たちを先導する役目を担う牛として買われました。もともと周りより大きく目立つ牛でしたが、いつになっても成長がとまらず、気が付いた時には、大きすぎる牛に。
 そのサイズ、高さは194センチで重さ1.4トン。平均的なホルスタインに比べて、体重は2倍、高さは50センチ高。
 売ろうとしたら、なんと食肉処理業者から断られてしまいました。重すぎて、食肉処理施設の設備を通り抜けられないんだとか。まあ、どうしても処分したいと云うことなら方法はあったと思いますが、牧場主は、ニッカーズをこのまま牧場に置いといてやることにしました。
 というのも、牛の群れを先導することにおいてニッカーズは抜群に優秀だったからです。どんなテクニックを持っていたか?
 それが何もしないのだそうですよ。ニッカーズがただ歩き出すだけで、何故か他の牛たちがぞろぞろと後をついていくんだそうです。その数、数百頭! ニッカーズは、他の牛たちからとても慕われているんですね。
 ですから、牧場主も、今は売らなくて良かったと胸をなで下ろしているのだとか。以上、本当にあった、売れないカウのお話。
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さて、いよいよサンタ実習、初日!

 十二月に特別忙しくなるのは、サンタクロースだけでなく郵便局も。そこであなたは郵便局も手伝うことに。
 すると、さっそくこんな案件が持ち込まれました。

「サンタさん、天国宛てのカードが投函されましたが、いかがいたしましょう?」

 みると、こんなことが書かれていました。

「ゆうびんやさん、
 天国にいるパパにこのクリスマス・カードをとどけてください。
 よろしくおねがいします。  ジェイス」

Q;ジェイス君の願いに、どう応えてあげましょう?


1, 郵便局にいる心優しい職員に、返事を書いてもらう。

2, 希望通り天国に寄って、ジェイス君のパパにカードを届けてあげる。

3, サプライズで、クリスマスの日、特別にジェイス君のパパに一時帰宅させてあげる。サンタの格好をすれば、人目にもつきませんしね!
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A; どのケースが一番幸せだと思うか、これも人それぞれですね。
 ただ、死者との間を取り持つことには、いろいろ問題がありそうです。一度、コンタクトを取ることが出来れば、もっともっととなりかねませんし、そうなるとかえって現実に適応出来ない子どもになるおそれもあります。

 実際にあった出来事は、次のようなことでした。

 クリスマスの前日、ジェイス君の家に、郵便局から配達完了の通知が届きました。

「ジェイス君へ
 あなたからのお手紙は、無事に天国のお父様のもとへお届けできたことをご報告いたします。
 星や銀河を超えての天国までの配達は困難を極めましたが、確かにお届けしましたのでご安心下さい。
 お客様の手紙を確実にお届けするのが私たちの仕事です。
 また天国にお手紙を出す際は、遠慮なくおっしゃって下さい」

 取材には、ジェイス君の代わりにお母さんが応えてくれました。

「無事にカードがパパのもとへと送られたと知って、息子がどれだけ感動したことか…
 どこの誰かもわからない息子のためにここまで心を砕き、お時間を割いていただいたことに感謝しています。
 世の中はまだまだ捨てたものではないと改めて感じ、息子にとってはこれ以上ない心遣いをいただきました。
 本当にありがとうございました」
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いかがですか… 少し要領がわかってきたのではないですか?

では、サンタ実習二日目!

 警察からも応援の要請が来ました。確かに年末はいろんな事件が起こるものです。
 あなたが警察署に着くと、さっそく通報がありました。コインランドリーで洗濯をしていた美容師が、窓から泥棒を目撃したというのです!
 ところが、駆けつけてみると、泥棒はすでに逃げた後でした。そこで通報した美容師に犯人の様子を事細かく尋ねることにしたのですが、ものすごく不機嫌。というのも、美容院はこの時期ものすごく忙しく、時間をとられるのがひじょうに迷惑だったからです。

Q;さて、事情聴取の後、あなたなら、どんなふうに気を利かせますか?

1, 自動販売機で缶コーヒーを買ってプレゼントする。もちろんポケットマネーです。

2, 乾燥の終わった大量のタオルを、一緒に畳んであげる

3, 美容院に予約を入れてあげる(お客になってあげる)
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A; これは美容院の人の立場になれば、わかりやすいかも。

 コーヒーなんか飲んでるヒマはない! めちゃめちゃ忙しいのに、義理の予約なんか要らない! ですよね。
 実際にあった出来事は、2, の「洗濯物を畳む手伝いをした」でした。その時たまたまコインランドリーに居合わせた他の客が、警官が洗濯物を畳んでいる光景を見かけて、ネットに投稿、それが話題になったのです。

「○○警察署のお巡りさんありがとう。私の心が微笑みました!」

と綴ったのは、投稿者の方。美容院の人の怒りがおさまったかどうかは定かではありません~ まあ、警官に洗濯物を畳ませたくらいですから、相当、ご立腹だったのでしょう。
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 さて、いよいよサンタ実習最終日。なんとかクリスマスに間に合いそうです。アナタの受け持ちは、この町の人3千人。3千人のクリスマスがアナタの肩に掛かっているのです。もうひと頑張り!

 ドライブスルーに立ち寄ると、前のクルマの二人連れの様子が変。いかにも打ちひしがれた様子なのです。
 さて、どうしたものかと思っていると、なんという巡り合わせなのでしょう。陰気なクルマの前のクルマの人が、自分たちの注文の際に、「後ろの人に、コーヒーとマフィンをプレゼントします」と云ったではありませんか! 
 プレゼントした方は軽い気持ちだったかも知れませんが、その時、後ろにいたのは、すっかり絶望していた二人。これにはサンタ実習生のアナタもびっくり。
 実はその二人連れ、早まったことをするつもりだったのですが、コーヒーに添えられていた「きっと、よいことがありますよ」というメッセージが、二人を思いとどまらせたのです!

 どうしてそんなことがわかったのか? そりゃあ、サンタですもの。

 二人は最後の別れを告げた家に、もう一度戻って行きました。とりあえずはピンチを脱したわけです。
 しかし、二人を絶望させた事情は少しも変わっていません。このままだとまた早まったことを考えないとも限りません。できれば、もう一押し、生きるチカラを与えたい。それが本日、最後のお仕事です。

Q;そんな二人に、何をプレゼントしますか?


1, 買ったまま忘れていた宝くじを高額当選させる!

2, 音信不通だった子どもから電話がかかってくる!

3, 二人の家の前で、老人を困らせる……
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A;実際にあったのは、こういうことでした。

「(自宅に戻って)窓を開けると、近所のお婆さんが大きな荷物を車から降ろそうとしている姿が目に入りました。たいへんそうでしたし、危なっかしくもあったので、飛び出して行って手伝ってあげました。わたしにとってはささいなことです。
 しかし、お婆さんは、とても喜んでくれました。そんな出来事があって、こんな自分にも出来ることがあるんだと気付いたのです。そしたら、もう少し頑張ってみようという気持ちになりました」

 より大きな喜びは、してもらうことより、やってあげること。
 つまり、少し困ったことがあるくらいのほうが、それをきっかけにして大きな喜びが得られるものなのです。
 この極意がつかめば、あなたも立派なサンタクロース!

 やれやれ、何とかクリスマスに間に合いました。
さあ、町に出てみんなを少しだけ困らせてあげましょう!
♬ Happy blue Xmas ♬



一日イッポ、三日でサンタ
サンタ歩いて 困らせる
サンタが 困らせた そのあとにゃ
きれいな花が咲くでしょう~♪
ワンツーワンツー




出典
https://karapaia.com/archives/52268176.html

https://fundo.jp/222476

※残りの二つの出来事のソースは、何年も前のことで、発掘出来ず……
 ご存じの方はお知らせ下さい。

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