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10年後の仕事図鑑

堀江貴文氏と落合陽一氏の対談をベースに作られた本です。

堀江氏に関しては、人間的にあまり好きではないのですが、彼の本は10冊以上読んでいます。人としてはまったく尊敬できませんが、彼の人生哲学などは参考になることも多く、たくさん著書を読んでいるといった感じです。一番最近読んだ本は『時間革命』という本です。

そして落合陽一氏に関しては、人間的にも好きです。(というか、興味深い人だと思います)

『news zero』のキャスターとして出演していた時に初めて彼の存在を知り、その後以下の本を読みました。

こちらの本は1年以上前に読んだので、noteに感想を記していないのですが、グローバル化から取り残された日本に悲観的なイメージしか持っていなかった自分に対して、日本が世界の中でプレゼンスを取り戻すためのノウハウを彼独特な視点から提示をしてくれ、非常に興味深く読ませてもらいました。

そして2か月くらい前に以下の本を読んだのですが、こちらは内容が重くて、まだnoteに感想とまとめを書けていません・・・。自分の教育テーマになっているSDGsを基盤に書かれた本なので、自分の授業の内容と合わせながら書きたいなと思っています。

そして今はNewpicksのWeekly Ochiaiをよく見たりもしています。

それでは、本書の感想に入りますが、正直あまり真新しい内容はありませんでした。上記の通り、これまでに落合氏の本も堀江氏の本もそれなりに読んできているので、彼らの思想や主張はある程度理解していました。本書ではそれらが改めて展開されていく形になるので、再度それらを整理することができたといった感じでしょうか。

この二人の主張は基本的に終始一貫していて、簡単にまとめると「IT革命とスマホの登場によって社会はものすごいスピードで変化している。今までの常識は通じなくなり、価値観も働き方も変わっていく社会の中でサバイブするためには、変化を厭わず、新しい自分を開発していかなければならない」ということだと思います。

これは本当にその通りだと思いますし、生徒にもよく話しています。つい10年前にはYouTuberなんて職業は世間に認知されていなかったですし、AMAZONやぐるなびなどに代表される評価経済社会や、シェアリングエコノミーも私はかつて想像だにしていませんでした。弁護士や医者のような社会の花形とされてきた職業もAIに代替されていく世の中を生き抜いていくには、従来のIQや偏差値などの認知能力に基づく学力観ではなく、非認知能力に基づく新しい学力観を身に着けなくてはいけません。(非認知能力については↓のnoteに書かせていただきました)

そして、よく言われる「AIが人間の仕事を奪っていく」という論説に対しても、「『AIによる職の代替=不幸』のロジックを持つ人間は、自分の価値をAIと同じレベルに下落させてしまっている点で、ダサい」と堀江氏はバッサリ切り捨てます。正直これは強者の理論に聞こえなくもないですが、実際に我々はAIによって搾取されるのではなく、共存共栄をしていかなければいけないのは事実です。

落合氏はこれからの未来の働き方の最適解は「くら寿司」だと述べています。私も先月無限くら寿司を試してみるために家族5人でくら寿司に行き、めでたく5000円分のGo to Eatポイントをゲットしました(話の流れと全く関係ありませんが・・・)。

くら寿司では機械化が進み、受付(席の案内)、オーダー、会計などは基本機械が行い、厨房でも機械と人間が分業で寿司を作っています。この半人力、半機械のオペレーションが人的コストを下げつつ、多くの人に高品質な体験を提供しています。これが今後どの業界でも起こっていくということです。

ちなみに本書でも紹介されており、いろいろなところで引用されるオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン教授による「10年後消える職業」は以下のとおりです。

すべての職業人に言える話だと思うのですが、特に上記のような仕事に従事している人たちは本気で自分を変える決意をしないと路頭に迷う可能性が高いと思います。もちろん長年続けてきた仕事を辞めて、未知の分野に飛び込むことは勇気がいりますが、でなければ本当にAIに仕事を奪われ、搾取される人生を歩み続けるでしょう。

また、これは個人の話だけではなく、多くの企業にも言えることです。

わかりやすい例として、富士フィルムという会社があります。

デジカメの台頭、カメラ付き携帯の普及に伴い、写真フィルムの市場は10年で10分の1になったとも言われています。すごい勢いで縮小するマーケットにおいて強い危機感を覚えた富士フィルムはトータルヘルスケアカンパニーへと奇跡の変貌を遂げます。

また、私が今注目している企業がHISです。先日参加したビジネス系のセミナーでこの話を聞きました。

言うまでもなく、HISを含めた旅行業界はこのコロナ禍で空前絶後のダメージを受けています。いくら「VUCAの時代」( Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))とはいえ、こんな状況は世界のだれにも予測できなかったはずです。旅行業界(飲食業界や航空業界なども)は生き残りをかけて必死にもがいている最中です。

その中でもHISはJTBやKNTのような大手に比べて、海外旅行事業に特化しており、コロナ禍において売り上げのほとんどが消えました。しかし、HISの澤田社長は商魂たくましく、そば好きゆえに蕎麦屋を事業展開したり、そのほかにも農業やホテル、旅館再生事業などにも取り組んでいます。

まさにこれがこれからの時代に求められる生き方であり、マインドセットです。

また、本書ではChapter 5「日本の幸福と社会について」で、学校や教育にも触れています。

落合氏は「現在の日本社会において、その教育システムの中にいる6歳から18歳くらいの子供たちはあまりにも不幸だと思う」「もし学校で『給料をもらうことが生命線』『普通でいることが大事』なんて教えられたら、目も当てられない」と述べていますが、本当にその通りだと思います。だからこそ私は日本の教育を変えようと必死に頑張っています。

ちなみに彼は筑波大学の准教授であり、学長補佐を務めている教育者でもあります。日本の教育者が皆このような気概と反骨心を持っていれば日本の教育ももっとスムーズにパラダイムシフトを起こせると思います。

また、落合氏は結婚もしていて、子供もいます。その子供を幼稚園に通わせたくないとも言っています。「旧世代型の教育は、変わりゆく社会とのギャップを発生させ、活躍できる機会を失わせる。正直、画一性を持った幼稚園に通わせること自体、子供をだましているような気持ちになってしまう。身に着けるべき社会性を教えてくれる場所である場合は、かなり少ないように見える。さらにそれが小学校になってくると、さらに厄介だ。小学校に子供を通わせなければ、親は憲法の取り決めを犯していることになってしまう。この選択の自由の点で、今の教育システムは理解しがたい」と痛烈に日本の教育システムを批判しています。(以前に書いたモンテッソーリ教育を施している幼稚園などに子供を通わせているのではないかと勝手に推察しています)

言いたいことはわかります。私は中等教育で頑張るので、あなたは高等教育を変えてください。(まったくスケールが違いますが笑)

最後に堀江氏の主張をまとめて終わりにしたいと思います。

これからの社会においては、「仕事」と「趣味」の境界線がどんどんあいまいになっていきます。その中で自分が好きなことや、夢中になれることを突き詰め、それがいつしか自分の「仕事」になる時代がくる(もうやってきている)ので、それを他人と違うやり方で続け(ここが大事なポイントで、落合氏はブルーオーシャン戦略と呼んでいます)、他人からの信用を蓄えていけば、人生オールオッケーというわけです。

予測できない未来に怯えるよりも、「今」を精一杯生きて、自分の価値を高めていくことで未来への道が拓いていくのです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。既視感たっぷりの内容ではありましたが、刺激的な内容であることは間違いありません。特に高校生や大学生に読んでもらうのに良い本だと思います。よろしければぜひ。

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