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ガブリエル・夏

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15歳娘の同級生と45歳主婦の夏休みの思い出の話。
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#夏

ガブリエル・夏 27 「ブタウサギ」

「美味しい〜〜。」 もう他に誰もいなくなった駅のホームで、レイが、鼻と鼻の下をよく動かし…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 26 「到着」

窓の外で、続いていく山と、麓の方にたまに出てくる人々の暮らしを眺めていると、興奮してるけ…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 25 「呼び出し音」

風とともに入ってきた、夢か幻か現実か、もうよくわからないトレインに乗り込む。 メーテルが…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 24 「スローモーション」

ビュンヘン中央駅に着いた時には、12時を少し過ぎていた。よくそんなに細部まで手間をかけて、…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 23 「レイ・グレイト・エドワーズ」

「僕を、最初に、ガブリエルって呼んだ日のこと、覚えてる?」  「もちろん。柚が転入してす…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 22 「秘密」

ビュンヘン行きの列車の外観は、カモノハシ顔に変わる前の新幹線のようなとんがった顔で、薄い…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 21 「ズランクズルト」

「ポーン   グーテンタークブニュブニュゴニョゴニョ。この電車は、まもなくズランクズルトホープトバンホフに到着します。お降りのお客さまは、カタツムリをお忘れになりませんようご注意下さい。ブニュブニュゲナウウンダバーシューネンタークノフ。  ポーン」 窓際の小さな突起に、水色の折り紙のカタツムリが乗っていた。外が見えるようにと、レイが置いていたのだ。カタツムリの脳は、生涯未経験のスピードで進んでいく車窓からの風景を、どう認知し、プロセスするのだろう。そうだ、このカタツムリには

ガブリエル・夏 20 「逃げられない」

ガタンゴトーン ダダンドドーン ガタンゴトーン ダダンドドーン 電車の音と揺れというもの…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 19 「ウィンク」

「あ。 お急ぎのところ、はぁ、誠にごめん。はぁ。 あの、ゲルドを はぁ、ネマしたい。ここ…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 18 「ホリデー」

シャワーのあとの、洗濯してある服を着たレイは、マーケットの八百屋に積み上げられた新鮮な野…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 17 「着替え」

皿に、葉っぱ、ハム、チーズ、トマト、それと、パン、ヨーグルト、切ったり皮を剥いたりしない…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 16 「プレゼント」

5時45分。まみもの携帯のアラームが鳴る。 もともとは、ジョギングとシャワーを、家族の朝ごは…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 15 「柚のメモ」

夕飯ができた。 研がダイニングテーブルで、まだ1人折り紙をしていたので、片付けて、章と柚を…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 14 「折り紙」

下り坂はだいぶなだらかになって、もう家は近い。スーパーに寄って行こうか。それが目的で出てきてたのだし。ドイツ中に展開する Rewe という大きなスーパーのチェーンがあるが、まみもの家の近くのは、Rewe City というので、小規模で、置いている食品の種類も数も少なめだ。大きな Rewe にある寿司のデリカテッセンや、アジア食材を集めた棚はない。醤油もここには売っていない。野菜の種類は、とても少ない。他のどのスーパーより、照明が暗いようにも思う。なので、行くたびにウキウキする