【Edge Rank 874】砂漠に住んでいた頃【TOMAKI】

映画『ノマドランド』を観ました。都内の映画館がしばらく休業していたので、ずっと観たいと思っていたのになかなか観ることができず。6月に映画館が再開して「やっと観れる！」と思ったら、この映画がどんどん上映終了になってしまい、「こりゃまずい」と、あわてて観に行きました。結構滑り込み。

どんな映画かというと、住んでいた街と旦那さんを失った主人公の女性が車で移動しながら暮らす「ノマド（遊牧民）」として生きていく様を描いたもの。家財道具をいったん全部レンタル倉庫に入れて、自分は「ヴァンガード」と名付けたバンを改造したDIYキャンピングカーで移動しながら生活している。仕事は、季節労働者として働きつつ、繁忙期のAmazonで荷物仕分けをしたり、観光地のレストランで働いたり、ビーツの農場で作業したりなど。季節に合わせて、バンで移動しながらそこを拠点として生活するというライフスタイル。

想像していたストーリーとは違って、車上生活の悲壮感はあまりなく。むしろ旅をしながら自由に移動しながら生活するのは、羨ましいとさえ思いました。

実は僕も、大学を卒業してほんと短い間ですが、車で移動しながら家のない生活をしていました。映画の中で主人公のファーンが言った通り、“ホームレス”じゃなくて、“ハウスレス”っていう状態。就職活動をしながら、サンディエゴから車で北上しつつ、就職活動をするっていう職探しの旅。

そういった意味で、主人公の女性にシンクロする部分が多く、すごく心が揺さぶられる映画でした。ネバダの荒野を車で走るシーンなど、映像を見ているだけで何度か泣きそうになったりも。

■今月のテーマは「#この街がすき」

前述の『ノマドランド』という映画、舞台になったのはネバダ州のエンパイアという街。これは実在した街で、2011年までは石膏採掘場があったらしいのですが、その工場が閉鎖になって以来、人がいなくなって街が消滅してしまったとのこと。

このエンパイアという街のすぐ近く、湖を挟んだ向かい側にあるリノという街で、僕は大学生活の4年間を過ごしました。

今月の Edge Rank note マガジンの共通テーマは、 #この街がすき ということで、自分の場合はやっぱり思い出すのはこの砂漠の街、リノです。街のスローガンは、“The Biggest Little City In The World”で、日本語にすると「世界で一番大きな小さい街」っていう、アメリカっぽいユーモアのある、リトルシティです。

砂漠の真ん中にあって、昔は銀や金が採掘されていたようですが、現在はカジノがメインの産業。僕が大学に行ってた時にもらった奨学金も、出所はカジノホテルが出してくれたもの。僕自身はギャンブルをほとんどやらないのでカジノとは無縁でしたが、たまにショーを観に行ったり、ビュッフェを食べに行ったりなどはしましたよ。

リノは、とてもユニークで面白い街でした。砂漠気候なので、とにかく空気が乾燥している。お菓子の袋を開けっぱなしにしても、湿気ることがない。日本から干しシイタケをリノに持っていくと、さらにカラッカラに乾燥します。山火事などが起きやすいので、花火は禁止。汗が瞬時に蒸発するので、自転車で長距離を移動するショートトリップをしたときは、顔を触るとジャリジャリと塩が落ちてきました。

空気中に含まれる水分が少ないので、星の光が遮られることがなく、ダイレクトに届きます。なので、星空がめちゃめちゃ綺麗。「星って、こんなにたくさんあるのか！」ってくらい、夜空の隅々にまで星がびっしりと埋め尽くされているのを見ることができます。星座表の星と星の間にも、ひたすらたくさんの星が詰め込まれている感じ。天の川がくっきり見えるし、なんなら人工衛星が空を移動しているのも観察することができます。もちろん、流れ星もね。死ぬまでに、もう一度見たい景色が、この星空。またいつか、リノに行ってあの星空を見たいと思います。

リノに住んでいる4年間、やらなかったことが２つあります。

ひとつは、傘を差すこと。全く雨が降らないというわけではないのですが、雨が止んだらすぐに乾くので、多少の雨でも傘なしで生活できました。なので、4年間、全く傘を使いませんでした。

あともう一つは、散髪。つまり、ほぼ4年間、髪を切らなかった。一番髪が長かった大学卒業時は、背中の真ん中あたり、肩甲骨が隠れるくらい伸びていました。これも、砂漠だったからできたこと。髪を洗ったら、すぐ乾くのでね。じめじめせず、汗でべたつくこともないので、長髪でも過ごしやすかったのです。

リノを訪れるなら、夏がおすすめ。「これでもか！」っていう、強烈な日差しが僕は好きです。また、「Hot August Night」という、毎年夏に行われるクラッシックカーの祭典や、「The Great Reno Balloon Race」という熱気球のレースも良いですよ。

ある意味、自分の原点ともいえる街です。あなたの好きな街は、どこですか？

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■編集後記

2か月間にわたって開催していた「電子書籍をつくろう！」という勉強会がいよいよフィナーレ。6月25日に最後のオンラインミートアップを行って、ひとまず終了です。僕も、Kindleで1冊は出したものの、2冊目が未完のまま。引き続き、書いていきますよ。8月は、久しぶりに街歩きの企画を実施する予定。神田の街を歩きます。

今回も、お読みいただきありがとうございました。
次号は6月25日（金）の配信。「東京散歩ぽ」の中川マナブさんです！

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