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じっくり学ぶ「心理療法」の基礎

心理療法は、カウンセリングまたはセラピーと呼ばれており、メンタルヘルスや物質(薬物など含む)使用の問題に対する効果的な治療法です。

セラピーは通常1時間のセッションで、心理学者、ソーシャルワーカー、カウンセラーによって提供されます。

治療を受けた人は、気分、思考パターン、行動、人間関係、能力の機能に前向きな変化があらわれます。

心理療法は、投薬と同等、またはそれ以上の利益を提供することができ、利点は即効性と持続性、薬よりも副作用が少ないことなどです。

治療結果は、個人、障害の度合い、セラピストとクライアントの信頼関係に強く依存します。

治療は、個人、グループ、家族、またはカップルでのセッションで提供することができ、一部のセラピストはオフィスで対面セッションを提供したり、近年ではオンラインセラピーも人気が高まっています。

セラピストは様々なスタイルとアプローチを持っており、セラピストとクライアントの信頼関係が肯定的な結果に不可欠であるため、自分にぴったりのアプローチを持つ治療家を見つけると、治療の効果を得られる可能性が高くなるのです。

心理療法とは?

メンタルヘルス症状を薬で治療する精神科医とは異なり、セラピストはトークセラピーなどを使用して、クライアントと根本的な問題に対処し、自分自身についての学び、メンタルヘルスを改善する前向きな思考や行動の変化を起こすのをサポートします。

心理療法の適応症状

心理療法を求めるほとんどの人は、ストレス、困難な感情、または不安やうつ症状などの根本的なメンタルヘルスなどの問題に苦しんでおり、心理療法は多様な問題に苦しんでいる人々を助けることができるのです。

また、心理療法はメンタルヘルスなどの懸念からの救済に役立つだけでなく、仕事、人間関係、生活の質を妨げている他の分野の問題を特定し、解決するのにも役立ちます。

・不安障害(恐怖症、社会不安、パニック発作など)
・気分障害(うつ症状や双極性障害など)
・摂食障害(治療と栄養の知識、情報、サポートなど)
・注意欠陥障害(ADHD)
・強迫性障害(OCD)
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)
・対立、不倫、別居などの人間関係
・愛するものの死に関連した悲しみや喪失
・自尊心の低さや自己価値、自己評価の問題
・仕事、生活の変化、または不均衡に関連するストレス
・慢性的な痛みや慢性的な健康問題
・物質(薬物などを含む)使用障害と中毒
・人格障害(すなわち、境界性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害など)
・統合失調症または精神疾患
・睡眠障害(不眠症など)
・性障害(EDなど)

心理療法の効果は?

研究では、ほとんどの人が心理治療の効果を得られることを示しています。実際、治療に参加した人の約80%が心理療法の効果を得ていると報告しています。

研究によると、年齢、症状、どのような治療を受けるかに関係なく、心理療法はほとんどの人に有効であることが示されています。

実際、治療は投薬のみと同等、もしくはより良い結果を提供しており、心理療法は治療完了の後も継続し、即効性と持続性があります。

また、心理療法による治療は安全で、投薬よりも悪影響が少ないため、現状、ほとんどのメンタルヘルス問題の最前線の治療と考えられています。

心理療法のメカニズム

研究者は心理療法が実際に効果的であるということは理解していますが、なぜ効果的なのか、どのように作用するのかについては、あまり明確にはなっていません。

研究から明らかになったのは、様々なアプローチや治療方法による効果は、治療プロセスのなかで小さな役割を果たしているということです。

ほとんどの研究者は、クライアントとセラピストの間に「良い感覚」を見つけることが、治療効果を決定する最も重要な要因であることに同意します。

治療の有効性に影響を与える要因

好み
セラピストの特徴を含め、クライアントが好むスタイル、アプローチ、治療の種類

期待
クライアントが治療効果や利益を得られることを期待しているかどうか、期待値が低すぎても高すぎても結果が思わしくない

信頼
クライアントがセラピストに心を開くことができるか、そしてセラピストが知識豊富で信頼でき、良い効果を得られていると感じられること

協力関係
クライアントとセラピストがコミュニケーションを取り、協力関係を築くことができるか

コンセンサス
クライアントの問題、目標、方法論について、セラピストと足並みがそろっているように感じているか

エンゲージメントレベル
クライアントがセラピーにどれだけ意欲的に関与しているか、そしてクライアントが人生を変える準備ができているか

治療が必要かどうかを知る方法

心理療法をためらうのは、当たり前のことかもしれません。しかし、必要なときにサポートを受けることは、生活の質に大きな違いをもたらす可能性があります。

心理療法を受けるかどうかについての兆候

抱える問題により苦痛を感じている
日常生活に困難を感じ、本当の自分ではない感覚があり、全体的な幸福感に悪影響を及ぼしている。

問題に対して不健康な対処をしている
問題の対処法として、飲酒、薬物、自傷行為などに従事し、心身に悪影響を及ぼしている。

家族や友人から不安視、心配されている
他者との相互作用の変化があり、家族や友人からメンタルヘルスについて問われたり、注意をされている。

成功ではなく癒している
自己啓発本やビジネス本、実用書などを読んだり、瞑想をしたり、ライフスタイルを変えることによって、問題の解決、感情や精神、状況を克服しようとしているが、進歩していないように感じている。

心理療法のメリット

心理療法には多くの実証済みの身体、社会、感情的なメリットがあり、多くの場合、治療のメリットは即効性があります。

心理療法のクライアントの20〜50%は、通常6回目の治療セッションの前に起こる「突然の利益」もしくは急速な改善を報告しています。

心理療法のいくつかの改善例

・問題症状の減少、頻度の減少、症状レベルの減少
・ストレスに対処する能力の向上
・気分や活力の改善
・機能、集中、タスク処理能力の向上
・前向きな行動の変化や健康的な習慣
・より良い意思決定とより高い目標達成率
・人コミュニケーションと親密さの改善
・存在感、集中力、停滞感の改善

心理療法のリスク

心理療法はほとんどリスクを伴いませんが、治療プロセス中に発生する可能性のある潜在的なリスクを認識することが重要です。

否定的な感情
心理療法は、100%楽しい時間が続くものではありません。自分自身の思考や感情について、セラピストと会話をする必要があるかもしれません。

それは、あなたのコンフォートゾーン(快適な空間)から抜け出し、変化をするということを含みます。

状況や症状の改善への道は、直線的ではないこともあり、治療プロセスで否定的な感情の波を経験することもあるでしょう。

合わない専門家と会うリスク
心理療法は、クライアントと共同作業が可能なセラピストとの強い信頼関係がある場合に最も効果的です。

残念ながらセラピストとの信頼は、必ずしもすべての人に当てはまるわけではなく、何らかの理由であなたに適しておらず、現状は役に立つことができない専門家に出会うかもしれません。

このような状況が起こったら、あなたはそのセラピストと時を共にする必要はなく、他者を求める権利があるということを認識しておきましょう。

心理療法の種類

セラピストは、クライアントをサポートするために、様々なアプローチやスタイルの治療、形式、方法を使用します。

心理療法には多くの選択肢がありますので、自分に最適なスタイルを見つけるために、それぞれの療法について知識を得るのは良いことだと思います。

○○療法が他の○○療法よりも優れているということはありませんが、自分のニーズや好みによって、より良く感じる療法はあるかもしれません。

一般的なタイプの心理療法

認知行動療法(CBT)
クライアントがストレスや症状に寄与する思考、感情、行動を特定し、改善するのをサポートします。CBTは、不安障害、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、気分障害、摂食障害、物質(薬物など含む)使用障害、睡眠障害、行動問題の治療に一般的に使用されています。

暴露療法(エクスポージャー療法)
暴露(エクスポージャー)および反応予防療法
上記2つの療法は、リラクゼーションスキルと、クライアントが恐れる状況の対処スキルを指導します。不安障害、恐怖症、パニック発作、強迫性障害(OCD)の治療に使用されます。

弁証法的行動療法(DBT)
個人、グループでのセッションを提供し、内省・内観的視点、エモーショナルコントロール、対人スキルなどの指導、構造化されたスキルベースの治療です。DBTは、境界性パーソナリティ障害、自傷行為、感情の不均衡や不健康な人間関係に苦しむ人のための治療法です。

アクセプタンス&コミットメント療法(ACT)
クライアントが自身の役立たない思考や反応に巻き込まれることなく、内省・内観的視点とアクセプタンススキルを使用して感情を受け入れ、経験や学びをサポートする療法です。うつ症状、不安障害、強迫性障害(OCD)、物質(薬物など含む)使用、さらには心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいる人々を助けることができます。

眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)
眼球運動の誘導とブリーフプロセスを使用して、クライアントのトラウマ的な記憶、否定的な感情、信念などを解決するのを助ける治療です。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された人々を助けるためによく使用されます。

モチベーションインタビュー
行動の変化をサポートするために使用されるコーチングスタイルで、喫煙、ダイエット、薬物やアルコールからの離脱などの健康的なライフスタイルの変化をサポートします。

パーソンセンタードケア(セラピー)
セラピストとクライアントの間に強い信頼関係を築くことに焦点を当てた治療アプローチです。ほとんどのセラピストは、他のタイプのセラピーと一緒にパーソンセンタードケア(セラピー)を使用し、クライアントの話を聞き、理解し、強力にサポートされていると感じられるようにしています。

ソリューションフォーカスセラピー
問題解決と意思決定戦略を使用して、クライアントが通常6セッション以下で問題対処をするのに役立つ実践的な治療法です。

カップルセラピー、ファミリーセラピー
それぞれ独自のスタイルがあり、そのほとんどは人間関係やコミュニケーション、親密さを改善することを目的としています。一般的なタイプ療法には、カップルのためのゴッドマン法、感情に焦点を当てたカップルセラピー、およびインターナルファミリーセラピーがあります。

その他の種類の治療には、催眠療法、ソマティックエクスペリエンス、アートセラピー、心理力学療法、心理精神的アプローチなどがあります。これらは、創造的、精神的、またはより全体的なアプローチを好む人々に好まれるかもしれません。

セラピーのフォーマット

一般的な治療形式は次の通りです。

・心理療法は一般的に、セラピストやカウンセラーと対面式でおこないます。対面式療法は、メンタルヘルスの問題、過去のトラウマ、またはメンタルヘルスに影響を与える個人的な問題に対処するのに役立ちます。

・グループセラピーは、同様の問題(中毒、悲しみ、離婚、摂食障害など)に苦しんでいるグループで構成され、通常、カウンセラーがリーダーシップをとります。

・カップルセラピーは、個々の問題ではなく、人間関係の問題に苦しんでいる人々にとって最適な選択肢です。カップルセラピーの目標は、コミュニケーションと親密さを改善し、不倫、親密さ、別離、対立などの問題に対処することです。

・ファミリーセラピーは、コミュニケーションを改善し、紛争を解決するためのサポートを必要とする家族に提供される療法です。ファミリーセラピーは、子供や10代の若者が治療に参加する際、または家族全員に影響を与える問題がある場合に推奨されます。ファミリーセラピーは、継続的なサポートを必要とする可能性のある物質(薬物など含む)使用、摂食障害、統合失調症などの特定の問題を抱えている人々にも役立ちます。

はじめてのセッションの前に

はじめてのセッションの前に役立つ、考慮すべき点がいくつかあります。

・最適な時間帯
自分のスケジュールに最も適したセラピーを見つけることは、治療に入る際の緊張を和らげることができます。セッションは、なるべく同じペースを保つようにしましょう。

・家族と育児
家族と育児は、予約を妨げたり重複したりしないようにきちんと管理しましょう。セッション中に子供がいる場合、ストレスを感じたり、集中を妨げる可能性があります。

・セッション後のスペース
セラピーセッション中は、必然的に難しい感情が出てくることがあります。セッション後、感情的に消耗し、落ち着きを取り戻すために休憩の場が必要になるかもしれません。

・ノートやメモの持参
セッションでは多くの情報が提供される場合がありますので、最初のセッションは少し圧倒的に思えるかもしれません。ノートやメモを持参することで、重要なことを書き留めたり、箇条書きをしても良いでしょう。もちろん、ノートやメモを持参しなくても問題はありません。

心理療法に期待すること

心理療法を受けたことがない人は、セッションで何を期待するのかわからない場合があるかもしれません。

通常、はじめてのセッションは情報収集やプロファイリングに関するものですが、将来的なセッションでは、治療目標の達成により焦点を当てていく傾向となりす。

治療における一般的なタスク

洞察構築
セラピストはクライアントに質問をし、クライアントの思考、感情、行動や経験を探求するのをサポートすることにより、クライアント自身と行動に対するより多くの洞察と意識を開発するのに役立つかもしれません。

また、過去の記憶を処理して、それがクライアントにどのような影響を与えるかについて学ぶ機会を提供する場合もあります。

感情の処理
セラピストは、共感とサポートを提供しながら、クライアントの問題について話します。その影響を探ることで、困難な感情や経験を処理するのに役立つかもしれません。

否定的な思考の変化
治療では、ストレスや症状を悪化させている思考を特定するように求められる場合があります。

セラピストはまた、クライアントの視点を変えたり、自身や人間関係、未来について、新しい、より有用な方法で思考するための特定のスキルを教えるかもしれません。

行動の変化
治療目標に対して行動を変更する必要がある場合、またはクライアントが変更したい場合は、セッションで話し合い、セラピストが行動の変化を促すかもしれません。

その際、治療目標の邪魔になるものの特定や、行動の変化に取り組むためのステップなどを提供するでしょう。

コミュニケーションスキル
人間関係の問題や葛藤がある場合、セラピストは、あなたがどのように感じ、何を望んでいるのかを他者に伝える様々なコミュニケーションスキルやトレーニングを提供するかもしれません。

対処スキル
ほとんどの人は、ストレスや痛みを伴う感情に対処するための方法を学ぶサポートを必要としているので、対処スキルはセラピーセッションの一般的な焦点となります。

対処スキルの例としては、内省・内観的視点、否定的な考えを再構築するのに役立つスキル、ストレスを軽減するリラックススキル、自分自身にとっての楽しい活動の特定などがあります。

治療の期間

期間、セッション数、頻度は人によって異なる場合があります。これは、治療状態や懸念、症状の重症度、共存する障害、現在の介入の種類、コストの制限、クライアントの状況変化など、多くの要因に依存するからです。基本的には治療の開始時に議論され、全体を通して監視されるべきものです。

心理療法の費用

アメリカでの平均費用は、1セッションあたり100〜200ドルですが、ロサンゼルスやニューヨークなどの主要都市では250ドル以上など、高くなる傾向があります。

一部のセラピストは、全額を支払う余裕がないクライアントにスライドスケール料金を提供しています。

最初の予約の前に

ほとんどのセラピストは、クライアントが治療予約の決定をサポートするために、無料電話またはオンライン相談を提供しています。

予約をする前に役立ついくつかの質問

・新しい患者を受け入れているか?
・最初の予約はいつからか?
・セラピストの専門分野は?
・私と同様の問題での治療経験はあるか?
・セラピースタイルとアプローチは?
・セッションで何が期待できるか?
・対面、オンラインセッションを提供しているか?
・セッションの料金は?
・スライディングスケールまたは割引は?

オンラインセラピーの効果

オンラインセラピーは、ここ数年で急成長し、人々に多くの治療を機会を与えています。

オンラインセラピーの需要が拡大し続けるにつれ、対面セラピーと同じくらい効果的であることを示す研究も拡大しているのです。

おわりに

心理療法は、さまざまなメンタルヘルスや依存障害に対する効果的な治療法です。

診断を受けていない人でも、心理治療はストレスや不安を軽減し、生活の質を向上させる前向きな変化をもたらすのに役立ちます。

セラピストに会うことを決断したほとんどの人は、数回のセッションだけでも、その経験の恩恵を受けます。

あなたの性格、ニーズ、好みに合ったセラピストを見つけることはとても重要です。この記事を読むことで、自分に最適なセラピーやセラピストを見つける手助けになれば幸いです。

サポートは、さらに良い記事を執筆できるように研究費として活用いたします☺️✨️ いつもありがとうございます💖