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インパルスコントロール障害(衝動制御障害)のいろいろ

インパルスコントロール障害(衝動制御障害)は、自分の衝動的な思考に抵抗しきれなくなる行動障害のひとつで、この障害は多くの場合、犯罪歴や危険な行動パターンを呈します。

インパルスコントロール障害は、脳の前頭葉の前側にある前頭前皮質という領域の化学的不均衡(神経伝達物質のアンバランス)や、構造の変化に関連しており、脳の前頭前皮質は、意思決定において重要な役割を果たしています。

インパルスコントロール障害とは

インパルスコントロール障害は、感情や衝動的な思考の高揚に対する反応に関係しており、これには複数の分類があります。

他の心理的障害は、感情・心理的苦痛が自分自身に向かって働きますが、インパルスコントロール障害が特徴的なのは、心理・感情的苦痛が、環境や他の人々に対して外向きに表現されるという点です。

また、暴力の傾向があり、他人や自分自身に害を及ぼすという傾向もあります。

通常、これらの傾向や行動は、子供の頃から明らかです。

インパルスコントロール障害には以下の分類があります。

・反抗挑発症、反抗挑戦性障害(ODD)
・間欠爆発症、間欠性爆発性障害(IED)
・行動障害(CD)
・反社会性パーソナリティ障害(APD)
・クレプトマニア
・パイロマニア

インパルスコントロール障害の特徴

全体として、インパルスコントロール障害を持つ人には破壊的な行動パターンがみられ、時には刑事事件につながり、その行動の巻き添いを他の人や物が受けます。

インパルスコントロール障害に合併する症状や状況

・危険、乱暴な行動、活動に従事する
・他者の財産に対する爆発的な暴力
・極端な反抗性
・行動の結果としての身体的傷害
・侵入思考(無意識での不快な考え)
・強迫観念
・制御不能な衝動
・継続的な行動異常
・過敏性の増加
・集中できない
・閉塞感、孤独感
・罪悪感、後悔
・気分の大きな波
・自尊心、自己評価が低い

インパルスコントロール障害の種類

反抗挑発症、反抗挑戦性障害(ODD)

スクリーニングの基準は、おおむね5~24歳で、怒りやイライラ、議論的または反抗的な行動、復讐性を、6ヶ月以上持続的に示す場合です。

どのような子供でも反抗的な行動を示しますが、ODDを持つ人は、他に著しく影響を与えるような行動パターンが、長期的かつ持続的に表れます。

また、神経質で、すぐにイライラし、他人を非難し、議論したり、かんしゃくを起こしたりもします。

これらの行動は、計画的ではなく衝動に基づいており、自分の行動のコントロール方法を理解していないことがよくあります。

注意すべき点は、繰り返される対人トラブルによる深刻な状況です。

間欠爆発症、間欠性爆発性障害(IED)

スクリーニングの基準は、30分以上続く発作性の怒りや、かんしゃくで、発作時は攻撃的になり、脅したり、物を投げたり、周囲の人を殴ったりする可能性があります。

発作後は通常、行動に対する後悔や恥ずかしさの感覚が続く安堵感があります。

このインパルスコントロール障害も、反抗挑発症、反抗挑戦性障害(ODD)と同じく、リスクとして対人トラブルによる深刻な状況があります。

行動障害(CD)

スクリーニングの基準は、青年~成人で、主に他人の基本的権利や主要な社会規範を侵害する持続的な行動パターンを有す場合です。

行動パターンとして、身体的暴力、動物への危害、性行為の強制、強盗などの犯罪行為、放火や財産の破壊、詐欺や盗難、不登校などがあります。

スクリーニング基準を満たした行動障害は、他人に危害を及ぼすリスクがかなり高くなります。

先述してきたインパルスコントロール障害とは違い、ペットなどの動物への危害や、家庭、学校内でのトラブル行動は、衝動や欲望に基づき意図的なものです。

また、行動に対する後悔がない場合もあります。

反社会性パーソナリティ障害(APD)

スクリーニングの基準は、行動障害をステップアップさせた重症度となり、成人のみがAPDとみなされますが、行動障害の症状は若い頃から明白です。

通常、他人への傷害、虐待、窃盗などを重ねていくと、それらの行動に対して無関心となり正当化を主張します。

多くの人は年齢とともにトラブルを起こすことが少なくなりますが、APDの人は、家族、同僚、周囲の人などにとって負担のままとなります。

APDは、中毒性障害、自殺や殺人による死亡リスクに関連しています。

クレプトマニア

スクリーニングの基準は反復的な窃盗ですが、特に必要のない物を盗む衝動に抵抗し、それに失敗することを繰り返しているという状態です。

不安主導の窃盗衝動が特徴的で、窃盗の瞬間には不安の解消による喜びを感じますが、その後に大きな苦痛を引き起こします。

クレプトマニアは、ストレスと緊張感が高まるにつれて、窃盗がそれらの問題を解消する唯一の選択肢のように感じるため、行為によってスリルやハイを楽しむのではなく、窃盗衝動に抵抗ができないのです。

アメリカでは、1000人に6人がこの状態にあると推定されており、万引きをする人の約5%を占めています。

パイロマニア

パイロマニアは非常にまれな疾患であり、主に男性に見られます。放火したいという強い衝動を持ち、放火や火事による破壊に執着している状態です。

放火の前に緊張感があり、放火後に喜び、満足感、または安堵感を得ます。

放火の目的や目標設定はなく、他の種類の破壊や暴力などに関連する行動症状の一部ではありません。

DSM-5によると、パイロマニアは、多くの場合、火災の野次馬、誤報、火災に関連する情報から喜びを得ます。

また、地元の消防署に立ち寄ったり、消防署に関係するために放火をしたり、消火活動をおこなうこともあるのです。

インパルスコントロール障害の原因

インパルスコントロール障害の原因はほとんど知られていませんが、障害の発症には、発達・遺伝的要因が作用している可能性があり、特に脳の前頭前野の機能は症状の発症と発現に大きく関与していると考えられています。

また、この障害の発症には、以下の環境要因が寄与する可能性があります。

・社会経済的地位の低い家庭出身
・コミュニティで暴力を受けた経歴がある
・教育、教育環境の欠如
・無視や虐待的な環境
・不良、違法行為をする友人がいる

インパルスコントロール障害の治療

症状の重症度と障害の種類によって異なりますが、最良の結果を導くには、早い段階で衝動や感情の高まりに関連する症状のコントロールを学ぶことが重要です。

認知行動療法

インパルスコントロール障害の最も一般的で効果的な治療法となります。

投薬

一般的には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を処方します。

前頭前皮質の反応を変化させることによって、衝動性と攻撃性を減らすことができるますが、SSRIの効果がない場合、医師との協議により、他の医薬品のアプローチが考慮されるでしょう。

おわりに

インパルスコントロール障害の人との暮らしは危険性を伴いますので、前向きに医師や療法士と話しをしたり、信頼できる友人や家族からのサポートを受けることにより、共同生活に大きな違いを生むことができます。

早期にサポートを求めることは、最良の結果をもたらしますので、もしも悩んでいたり迷っているのであれば、なるべく早急にサポートを受けることを検討すべきだと思います。

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