色々と役立つので、認知行動療法を理解してみましょう
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy. CBT)
認知行動療法とは
認知行動療法をとても簡単に説明すると、「心のつらさ」を改善するために、自分自身の思考をより良いものに再構築する治療方法となります。
少し詳しく言えば、人間の情動や行動は、その人の物事に対する認知によって大きく左右されるという概念に基づいて構築された治療方法と言うことができます。
「理性によって情動を操作する」という意味では、古代ローマのストア派、仏教などを彷彿とさせますが、1950年代~1960年代の行動に焦点をあてた行動療法、アルバート・エリスの論理療法、アーロン・T・ベックの認知療法などがあり、主に思考や認知に重きを置いて発展してきた心理療法のひとつとして現在の認知行動療法は存在しているようです。
認知行動療法の目的
よくある例をひとつ挙げれば、"夜寝る前になると過去の不安を思い出してしまい、それによってネガティブ感情が引き起こされ、未来に対してポジティブに思考する事が困難となる"という事象があります。
認知行動療法の主目的は、そのようなクライアントの問題解決能力を強化することです。
問題解決能力は、自分自身の思考パターン、情動、行動についてしっかりと認識し、その認識を自身にとって良い認識に変化させていく事で強化することができます。
認知行動療法の適用範囲
認知行動療法の主な適用範囲は、うつ症状、不安障害、パニック障害、強迫性障害、食事障害、睡眠障害、薬物依存、気分障害、ストレス性の諸症状、対人関係問題、自己評価の問題などですが、応用をすればそれ以外の症状に対しても有効に利用する事が可能です。
認知行動療法は多くの研究により様々な心の状態に対しての効果が証明されており、万能性は高いものとなっていますが、もちろん完全な治療方法と言い切ることはできません。
しかし、従来の行動だけ、論理だけ、という治療法を統合した事に意義を持っていると考えることができます。
認知行動療法の認知
"人に声を掛けて無視をされた"
この時の反応は人それぞれだと思います。
「悲しい」「ムカつく」「何とも思わない」など色々とあると思いますが、このような物事の捉え方を認知と言います。
この認知によって、人の思考や情動、行動が変化するのは言うまでもありません。
また、上記には反応と記載しましたが、瞬間的に思う思考の事を自動思考と言います。
自動思考は個人によってパターンがあり、そのパターンをスキーマと言ったり、苫米地式ではブリーフ(信念)、一般的には世界観などと表現することができます。
個人の世界観は、生活環境や過去に得た情報などによって形成されています。
例えば、"人に声を掛けて無視をされた"「ムカつく」と自動思考をした人は、「私が声を掛けたのだから応答をして当然だ」という世界観を持っているのかもしれません。
認知による問題
認知による最も重要な問題は、自動思考や世界観により自分自身にとってマイナスな情動や行動に陥る事です。
上記の例で説明をすると、"人に声を掛けて無視をされた"事でネガティブな感情と思考に陥り、知り合いどころか人に声を掛ける事が困難なってしまうという可能性があります。
このような状況が繰り返し起こってしまう、もしくは、ネガティブな状況のイメージを繰り返してしまう事によって、あらゆる思考や行動にネガティブな情動が付き纏えば、より危険な心の状態になってしまうのです。
認知を分析、再構築する
認知は、あくまでもその個人のリアリティであって、違う人が見ればまったく別のリアリティを感じる場合もあります。
サイコロは、上から見れば1ですが、下から見れば6ですし、宇宙の高さから見れば、点どころか見る事さえもできません。
自分はサイコロをどこから見ているのか?
自分はサイコロを見て瞬間的にどう思うのか?
このように客観的に自分自身を分析する事で、別の視点や感覚を新たに認識する事ができます。
個人の世界観は時間をかけて形成されているものなので、すぐに変えることは難しいかもしれませんが、最初はゆっくりと自分の思考パターンを分析して、瞬間的な自動思考ではなく、客観的に事象を認識するトレーニングをする事が重要になります。
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