絶対向いてない仕事になぜか就いてしまった話
私の職業は、その昔、世間様からも「すごいねぇ」と言われたお仕事である。
それは、公務員。しかも教育系公務員、いわゆる教員だ。
2年も大学浪人して、やっとの思いで当時センター2科目で入れた某国立大に後期滑り込みで入った私。
4年間をなんとか落単することなく卒業したわけだが、その当時、不景気で、女子で2年も浪人して歳食ってるのなんて、なかなか就職市場ではまともに相手にしてもらえなかった。
ような気がする。
少なくとも、3年〜4年の春にエントリーシート書きまくっても書類通過すらならない。
周りが次々と一次通過、内定ゲットに沸く中、ノー通過、ノー内定で4年の春を迎えるわけで、それはもう焦りどころではなかった。
そんなある日。
同じ教職課程を取っていた社会人入学生の同期と、たまたま話をする機会があったわけである。
私「いやさ、内定全く取れないわけよ。公務員試験、マジでやらないと、このまま就職浪人なっちゃう」
この頃の私は、能力さえあれば関係ないと言われていた公務員試験を第一志望にすることにしていた。
同期「そしたらさ、教員採用試験は?教職取ってるし、公務員試験だし、受けてみたら?」
そんなこと考えたこともなかった私、まだ教育実習前だったけれど、とりあえず出身県と、専門科目(水産・食品)を募集している県、あとは別日程で受けられそうな県を選んで受験することにした。
そして、たまたまご縁をいただいたのが、専門科目を募集していた県、だったわけである。まさかの一発合格。
なぜ就けたのか?
今振り返ると、本当に偶然が重なっていた。
たまたま筆記試験で出たところが、たまたま大学の専科の試験範囲と被っていた。
とか、
たまたま選んだ模擬授業のテーマが、これまた大学の授業で選んだところに似ていた。
とか。
あとは、初々しさを前面に出して、演じてしまった。
とかもあるのかもしれない。
とにもかくにも、選んでいただけたのには何かしらの理由はあるとは思うが、今となっては分からない。
この仕事を最終的に選んだわけ
実は、最終合格の前に、一つだけ民間のIT会社から内定を頂いていた。大手下請け会社のSE・PG職採用だった。秋採用というやつである。
教採であまり手応えがなかったこともあり、諦めて民間を探し始めていたところ、たまたまご縁があった都内の会社に拾ってもらえた。ありがたい話である。
だが、人生は分からないもので、秋も深まり始めた10月下旬、教採も合格をいただいたわけで。ただし補欠合格。
最終合格はしたものの、補欠合格みたいなものだったこともあり、公務員にはならずにSEの道を行くんだろうなーとおもっていたわけである。
2月に採用予定校からの連絡が来るまでは。
採用予定校から連絡をもらって、どうしようか悩んだ。
教育実習で、あー自分、この仕事向いてない、って思ったのも事実だったから。
授業がすこぶるできない、人前で自信持って話せない、部活の指導ができない、コミュニケーション取れない……あげればキリがない。
だけど、結局は教員の道を選んだ。
公務員だから、という理由もある。
それを否定したら嘘になる。
だけど、それ以上に、人の人生に関わる仕事がしてみたい、と思ったのも事実だ。
あれから十数年経って、自治体は変わったけれど、相変わらず教職についている。
今は授業を単独でやっているわけではない。授業実践力はすこぶるない。皆無だ。
だけど、十数年経って、苦手だった人前で話すことは少しはできるようになった。
それ以上に、人の人生に寄り添い、話を聞き、助言することにとてもやりがいを感じている。
昨今、教員業界がかなり取り沙汰されているが、まぁ、それは事実だけども。
今の職場に来て、ブラックだなぁ、と思う場面に何度遭遇したことか…!!と思うけれど。
でも、全部のお仕事は完璧じゃないし、そんな完璧な人間ではないけれど、一つのお仕事にやりがいを少しでも見出せる、そんなお仕事だから、っていうのがこの仕事を選んだわけ、かな?