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突然ショートショート「恋の疫病神」

 「私たち、結局一緒になれないみたいね」彼女はそう言って、夕日の見える公園で別れを告げてきた。
 「え……っ?」空白の間には、ため息と驚きと戸惑いが混ざりあっていた。

 「そんなに驚くなんて。一体私のことをどのように思っていたの?」
 今さら言えるわけがない。このまま「大変なんだ」と言えば投資の話を持ちかければ乗ってくれそうな心優しい単純な女、と思っていたなんて。

 「えっと、優しい…………人、かな」
 長い空白の中には、省略した部分が入っていた。

 「さよなら」彼女は足早に去っていった。

 やっぱり無理だった。ネットで知り合った人に「やってみてくれ」と頼まれてやってみたバイト。
 3ヶ月でお金が数十倍に増えるという話で、来る人来る人がみんな離れていく。

 このままなら次の出会いも見つからなさそうだ。見つかってもまた離れるだろう。

 僕は悟った。きっと疫病神とは、こういうことを言うんだろうな、と。
 その後、その人とは自ら縁を切り、またやり直すことにした。
 疫病神のいない状況で。

(了)(422文字)


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