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明かり差すニュータウンの傍らで#50「だんだん高くなるドライブ」/毎週ショートショートnote

 「営業車に乗ってるこの時間が好きなんです、『テンションがだんだん高くなるドライブ』って感じで」
 「あー、そうなんだ」
 頷きながら、私はハンドルを握る。

 今日の目的地は県北部の小崎町おざきまち
 我が支社のインターネットサービス事業は好調で、春からは彼礎かのそ本社でも開始されるらしいというが、では私は古巣でもあるその彼礎に戻ったりするのだろうか。

 心に占める「彼礎勤務復活への想い」の割合がだんだん高くなってきた、そんな時だった。

 なんと目の前に謎の生物が横たわっていた。動き出して、襲いかかろうとしている。

 「早く逃げろ!」山森を追いやった私は、ブローチを回して変身する。
 「ちょっとの愛と勇気と希望をぶっ放す!『マジカルフラペノワール』見参!」

 よし。来てしまった。「かわいさがだんだん高くなる」と自称するこの姿になる時が。

 そんな事を言っている訳にもいかない。危険がだんだん高くなってきた。

 より高くならないうちに決めよう、と心に誓った。

(了)(417文字)


あとがき

 新作です。主人公さんにはやはり変身してもらうことにしました。個人的にツボなんです、「─見参!」の所が。

 これはある意味「明かり差す」ではやりにくそうと思うのですが、「突然ショートショート」ではどうなることか。他作者と似たようなのになってしまわないか、不安です。

 『だんだん高くなる』というワードを推しまくって切り抜けました。推しまくるよりも別のアプローチに次は臨みたいッス。


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