突然ショートショート「髭を剃る余裕」
最近忙しくて、髭を中々剃れていない。毎日どこか気持ち悪く思いながら出勤する日々だ。
先輩はこう言う。「バカヤロ、髭を剃るのはマナーだろ」と。
そうなのだ。それも誰かと接する上では必須の。
しかし実践するとなればこれ、実は非常にハードルが高くなる。
所詮は自宅の洗面所に向かって、シェーバーを顎とかに当てて動かすだけなのに、自宅の洗面所に向かうのが非常にハードルの高いことに感じられてしまう。
その理由は一見して楽々そうに見えることである。
「後ででもできるさ」と思って後回しにしてしまったのが運のつき、そのまま剃らずに一日は終わり、翌朝も忙しくて髭を剃る余裕が無い。
歯磨きは欠かさずしているのに、不思議な話である。
結局な所、これは私の退化なのではないか。
髭剃りぐらいですらできずに毎日を過ごしてしまうのだから。
(完)(349文字)
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