突然ショートショート「びっくり箱のお土産」
親父が、大きなびっくり箱を買ってきてくれた。出張帰りのお土産らしい。
びっくり箱には鍵がついていた。試しに鍵穴に差し込んでみる。
何も起こらなかった。失敗じゃないか、と思って箱を押し入れの中にしまう。
数日後、押し入れを開ける機会があった。奥にある段ボールを取ることになったからだ。
段ボールを奥から取り出すと、びっくり箱に当たってしまった。
ゴン、と音を立てて床に落ちるびっくり箱。
すると、落ちた衝撃で中が開き、無数の紙が飛び出してきた。
部屋は一瞬で、紙に埋まってしまった。
紙には『びっくり』とだけ、書かれていた。
驚いてしりもちをつき「ああ驚いた、びっくり」と棒読み気味に呟く僕。
尻の痛みが、ジーンと残っていた。
(了)(302文字)
あとがき
300字クラスは久々です。
「“びっくり“の詰まった“箱“─びっくり箱」というロジックです。
ちょっとの長さで、皆さんの心に残るようなインパクトのある作品にできればいいな、と思います。
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