突然ショートショート「下道一組」/毎週ショートショートnote
1983年春のこと。赤地県打伊村立小学校5年1組の貸し切ったバスは、訳あって下道を走り、目的地に向かっていた。
他6組分のバスは高速道路を走っていたので、1組がビリだ。
到着後、新人バスガイドの近藤絵美子が1組全員を先導する。
「やーい、下道一組、遅いぞ~!」5組のガキ大将が、1組の児童たちをからかった。
すると、近藤は号車旗を持ってガキ大将の前に立ちはだかった。
「からかうのはやめなさい!」
ハッとして彼女を見上げるガキ大将。
「1組のみんなは遅くなんかない。ただ、高速道路を走れなかっただけなの。それでもからかうなら私が相手になるわ」
「うーっ……」ガキ大将は去った。そして、からかいは無くなった。
「ありがとう、バスガイドさん」1組の担当教師が、お礼の言葉をかけてくれた。
それに笑みを浮かべて返す近藤。彼女は1組をガキ大将のからかいから守り、1組のヒーローになったのだった。
(了)(410文字)
あとがき
久しぶりに大好物のバスをテーマにした作品を書けました。
フヘヘ…幸せッス。
現代が舞台のジブン作品では珍しく、40年前の過去(=1983[昭和58]年)をテーマにした作品なのですが、これは以前フォロワーさんからもらった「昭和のバスガイドの話も書いてほしい」旨のコメントがきっかけ。
書く機会をつかもうとしていた所に今回の毎週ショートショートnoteがやってきて、渡りに船とばかりに書いたのが本作なのです。
これを機に、コロナ禍から再始動しようとしている現代のバスの話も久々に書いてみたいと思ってます。
ヘッダーのバスは「日野・ブルーリボン観光タイプ K-RU638A型」。1982~1984年の製造です。
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