異文化に入って最初にやることは諦めることです。

 気がついたら米国駐在から日本に戻ってきて10年くらい経ちます。
年月が経つのは早いものです。
この10年で幾度となく質問されたことがあります。

「アメリカで生活していくことで大事なことはなんですか?」

もちろん、英語は重要です。
生きていく最低限の英語力はつけておいたほうが楽です。
そして度胸も必要です。
自分で勇気を出して踏み出さないと何も状況を変えられません。

でも、それ以上に重要なことがあります。

それは「諦めることです」。

これを読んでいる人は日本に住んでいる方が多いかと思います。
日本は世界でもトップクラスに街が綺麗です。
レストランやお店に行っても世界でもトップクラスのサービスを無料で受けられます。
困った時にお店とかで質問しても親切に対応してもらえます。
事あるごとに「ありがとうございます」や「申し訳ありません」と頭を下げられ、
「お客様は神様」という文化にいます。

このような事を日本以外で体験するのは至難の技です。

そして、日本人は真面目な人が多いです。
「○○までに✖︎✖︎をやっておいてください」と言われると
大体やってくれる人が多いです。

日本以外では、このようにお願いしたことを期日までにやってくれる確率は下がります。

異文化での生活を始めると、この一つ一つにとてもイライラさせられます。
そしてこの言葉が出てきます。

「日本では、こういう事は無いのに」と

この言葉を言ってしまうのです。

しかし、この言葉は相手の文化を否定するという意味だけでなく
「私は異文化は認めない。日本のやり方のみに固執します」と宣言しているようなものです。

つまり、異文化に行って、この言葉を言い続けるほど
自分が身を投じている、日本とは異なる文化への理解のスピードを
圧倒的に減速させるマインドに自らの手で追い込んでしまっているのです。

なので、駐在に出た人の言動を聞いて
「まだ、日本の文化に固執しちゃっているか。早く諦めれば良いのに」と思うことが多いです。

そして、そういう若手からアドバイスをお願いされると大体、

「そこは日本と違うんだよ。さっさと諦めた方が良いよ」と言います。

この内容を理解して、仕事を進められるようになると
大体、現地にも溶け込んで駐在員として一皮剥けられるのだなと思います。

私にとってターニングポイントだったのは
言葉(英語)で全てを伝えようとすること諦めたことです。
英語で伝わらなかったら絵でもボディランゲージでも何でも良いので
何とかして正しく伝われば良い。

このように思うようになったことかなと思います。

その為、もしも海外で生活している人で
「日本だったら、こんなこと無かったのに」と日々思っている人がいましたら、
「仕方ない。そんなもん」という感じで諦めてみることに挑戦してみてください。

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