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【ホラー小説】フカヅメ様②

「お母さん、怖い」
「大丈夫よ」

たかしの妹は小学5年生。
名前は「印刷」と書いて「ぷりんと」と読む。
いわゆるキラキラネームだ。
妹は昨年まではフカヅメ様のことを怖がるような素振りを見せていなかったが、今年はやけに怖がっている。

「印刷、なんで今年はそんな怖がってるんだ?」 
「…」

「たかし、あのね」
母が割り込んできた。

「印刷は、ちょうど1ヵ月程前に初めて自分で爪を切ったの。すると、左手の小指が深爪になってしまって、それから深爪は愚か爪を切ることも恐れるようになってしまったの。」

「あー、なんか大泣きしてる日あったな。」

「お兄ちゃんは深爪になったことがないの?」「あるよ。」
「痛かったでしょ?怖くないの?」
「痛かったけど別に耐えれる痛さだし」
「深爪レベル低めだったんじゃない?」
「深爪レベル?」
「深爪レベルよ。お母さんが言うにはその時の私の深爪レベルは10のうち5だったの。」
「俺の深爪レベルはどれくらいだったんだろう?」

「2じゃ。」

話を聞いていたおじいちゃんが言った。

「たかし、お前は今まで何回か深爪になったことがあったが、全部深爪レベル2じゃ。」
「なんでわかるの?」
「わしは専門学校に通っとったんじゃ。」
「専門学校?」
「深爪の専門学校じゃ。2年間。」

「お兄ちゃんは深爪の怖さをわかってない」
妹はたかしを睨みつけた。
たかしは目を逸らすように、少し動揺しながら自分の爪を見た。

そしてハッとして おじいちゃんに聞いた。

「ふ、フカヅメ様に深爪にされるときの深爪レベルは…?」

「噂では、84じゃ。」

「84!?」
「そうじゃ。10のうち84じゃ。」
 「10のうち84…?」

たかしは震えた。
フカヅメ様を舐めていたかもしれない。
深爪レベル 10のうち84。
それってもう、爪無いやん。

たかしはフカヅメ様に恐怖を感じ始めた。
しかし、フカヅメ様の存在は明らかではない。
本当にいるのかわからないものに怯え続けるなんて馬鹿馬鹿しい。その思いは変わらなかった。
そしてたかしは言った。

「みんなを怯えさせるこの風習を終わりにしたい。俺が外に出て本当にフカヅメ様が来るのか確かめる。」

…またおじいちゃんに殴られる。
そう思って構えたが、みんな呆れた顔をするだけで何も言わなかった。

外に出なければ良いだけなのに、恐怖から会話もなく時間が過ぎていく。

時刻は昼の12時

その時だった。 

「ぎゃーーーー!!!!!!」

外から悲鳴が聞こえた。
皆急いで窓から外を見ると、近くに住む藤岡さんが倒れているのが見えた。

「ふ、藤岡さん!」
藤岡さんはモード系ファションなのに髪型は角刈りという個性的な人だ。
秋になると引くほど柿をくれる。
「藤岡さーーーん!!!」
みんなで叫ぶが藤岡さんは倒れたままピクリとも動かない。

するとおじいちゃんが失禁しながら冷静な口調で言った。
「被害者を初めて見た。やはり噂通り深爪レベルは84じゃ。」

よく見ると藤岡さんの手足の爪がほぼ無くなっている。
間違いない。フカヅメ様の仕業だ。
「言い伝えは本当だったんだ。藤岡さん、どうして外に…」
全員青ざめた。
しかし、どこを見てもフカヅメ様の姿はない。

「まだ近くにいるはずだ!俺がやっつけにいく!」

たかしは恐怖と怒りに震えながら玄関へ向かっていく。
「たかし、やめなさい!!!!」
「うるせぇ!藤岡さんの仇を打ってやる!」

すると突然、ずっと黙っていた父がたかしの前に立ち、険しい顔をしながら、優しい口調でこう言った。

「जब मैं छोटा था तब से मुझे फुटबॉल से प्यार है।
भविष्य के लिए मेरा सपना फ़ुटबॉल खिलाड़ी बनना था, लेकिन अंत में मैं पेस्ट्री शेफ़ बन गया।
लेकिन मुझे कोई पछतावा नहीं है।
हम दुनिया भर के लोगों को स्वादिष्ट केक पहुंचाना चाहते हैं।」

※父はインド人


続く

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