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Tom Leeも納得。Housing marketのインフレを止めるには...

イントロ

みなさん、こんにちは。
今日は、私も前々から考えていたアイデアについてTom Leeが言及した昨日のインタビュー内容を紹介したいと思います。

アメリカ経済とFEDの政策金利の相互作用

インタビュー冒頭、FEDの金利政策がどのように企業の業績に影響を与えているのかと質問されたTom Leeは以下のように返答しています。

It's a very tricky Alchemy because I think that it's very easy for someone to say, oh well, inflation if it's up it's good for earnings, so if it goes down, it's bad for earnings. And a lot of people got tripped up on that because reality is a lot of companies have inverse correlation to inflation. Great example is technology that is inversely correlated to inflation so their margins actually go up if inflation is falling. And with regard to the FED, again you know the FED is tricky because it's unknowable. I mean I have no insight into what the fed's going to do. But in general, I think that we've been more
optimistic that they're going to achieve their idea of a soft Landing. So, we've learned that the FED is more dovish than people perceive.

Interview @ CNBC FA Summit on 5/22/2024

和訳(意訳含む)「一般的にはインフレになれば、企業の収益は上昇すると考えられていますが、実はそれほど簡単な構図ではありません。なぜなら、かなり多くの企業の収益はインフレと逆相関になっているからです。最も良い例はテクノロジー企業です。テクノロジー企業の利益はインフレが低下する局面で上昇します。それからFedに関して言えば、はっきり言って誰にもFedが次に行う政策を予想できないのです。私も正直分かりません。ただし大まかにいって、Fedが目標とするソフトランディングが達成されるという見通しが広がっているのは確かです。Fedが意外と米国経済に対して友好的であると我々は気付き始めました。」

インフレ=CPI=住宅・自動車保険

現在、Fedが利下げに踏み切るために注視しているインフレ指標の一つ、アメリカCPIの動向については、過去に何度も説明されているように住宅と自動車(保険)セクターの物価動向に大きく左右されることが知られています。

なかでも住宅については、そもそも需要に対する供給量が圧倒的に少ないアメリカ不動産市場の現状がインフレに向かいやすい土壌を作っていることは間違いないと思います。

そのうえで、今回のインタビュー内では別の視点について論じられており、この論点は昨年末から私も考えていたので、Tom Leeの意見も聞けて納得感が高まりました。

We actually have a viewer question right along these lines, which is that you know shelter costs of course a big part of why reported inflation remains as high as it is. And yet a lot of folks don't want to move because maybe high interest rates are holding them back, or maybe that's reducing the affordability. So, in other words with lower rates potentially help the one thing that's keeping inflation as high as it is.
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I've heard that argument. I think it's actually really well reasoned and it's counterintuitive because you'd think, oh well, if you cut rates, shouldn't home prices shoot up? But you're right. If it's liquidity that's keeping homes from
moving and you know a proper equilibrium of housing, it's absolutely dead on. And there's also this excess premium right now in mortgage rates. The 10 year versus mortgage rates is almost 100 basis points wider than it should be. So, as soon as fed starts cutting, that collapses, and it makes housing affordable.

Interview @ CNBC FA Summit on 5/22/2024

インタビュアー「実は視聴者からインフレに関連して次のような質問が来ています。皆さんご存じのように、現在インフレ報告値が高どまっている主要因はシェルター価格が高いからです。多くの人々が引っ越しを思いとどまっているのは、おそらく高い住宅ローンのせいでしょう。ということは、金利を下げることで住宅ローンを低下させ、翻ってインフレを落ち着かせることができるのではないですか?」

和訳(意訳含む)「私もその考えは聞いたことがありますし、実際とても説得力があると思っています。利下げすると住宅価格が上昇するという従来の直観には反するかもしれません。ただし、現在の住宅価格の高止まりの原因が住宅市場の著しい流動性の低下に起因すると考えれば、つじつまが合いますよね。また、現在、10年金利と住宅ローンの利率差は本来あるべきものから100ベーシスポイントも広がっており、それが住宅ローンの過剰なプレミアムとなっています。ですからFEDが利下げに踏み切れば、住宅ローンも下がって、住宅価格も下落するでしょう。


アメリカ住宅ローン

US Fixed Morgage rate average in the last 10 years|St. Louis FED

上に示したチャートはここ10年間の15年および30年固定ローンのトレンドを示しています。直近値は5/23/2024です。

皆さんもよくご存じのように、住宅ローンはFFレートと連動しているため、コロナ期間中の低金利時代には30年ローンでさえも3%を切るほどの低利率でした。しかし、2022年以降のFEDの急ピッチな利上げに呼応する形で、昨年11月には8%に届こうかというところまで上昇し、現在は7%付近を徘徊している状況です。

アメリカでは住宅ローンは基本的に固定金利で組みますが、リファイナンスを行うことで低金利のローンに組み替えます。つまり、2022年以前に住宅をローンで購入した人はほとんどの場合、コロナ下で3%程度の住宅ローンにリファイナンスしていると想定されます。ですから、大多数の人々にとって、3%から7%に上昇する住宅ローンに乗り換えてまで自宅を売って新しい住宅を購入する動機はかなり低下しているのです。
これは元から悪い住宅市場の需給バランスを、さらに悪化させている一因になっているのではないでしょうか。


最後に

同じインタビューの後半部分で、Tom Leeは現在のマーケットにおけるテクノロジーセクターの見通しについて解説していますが、そちらは次回の記事で紹介したいと思います。

それでは。

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