今ある人との繋がりをどうか、大切にできますように【卒業旅行記#22フィンランド】
他人との関わりがほとんどなかった先週とは打って変わり、ヘルシンキでは人と会うことが滞在のメインの目的となっている。
今朝、部屋を貸してくれている友人に「今回は留学生でもないので、自分が少しヘルシンキで余所者であるように感じる」とこぼした。ここ数日その考えにとらわれていた。
旅好きの友人は、「まあ自分の国じゃないところはどこでもそう感じるよ。」という。続けて、「でも、とりさはフィンランドで暮らしていたし、こうして自分を泊めてくれる友達のお家もある訳だし、余所者ってことはないよ」と。その通り過ぎる。
ご縁や、人との繋がりに恵まれている。私は繋がりに対して何か、返していけるだろうか。せめて、大切にできるだろうか。
友人を見送る
今朝は、昨日別れた彼氏から部屋にある荷物を受け取りに行く友人を見送った。
「これで会うのは最後かも、」と声を詰まらせる彼女に、私は背中をさすることしかできない。別れは、どこまでも悲しい、苦しい。彼女がどんなにその人のことを好きだったかを私は聞いていたので、尚更苦しみが伝わってくる。
大丈夫、今日を乗り越えて、また絶対楽しみを自分で見つけられるよ。本心から、そう告げる。
がんばれ、いってらっしゃい、と送り出す。
インターン先のマネージャーと話す
友人を見送ったあと、インターン先のマネージャーと週1の1on1をした。
友人の見送りやら、大好きなヘルシンキ到着やらで気持ちが爆発していたので全部話す。まとまりのない話を、時々笑いながら聞いてくれるマネージャーは神としか思えない。ほんとうにありがたい。
フィンランドに対して、どう思っているのかわからなくなってきた、といったような話をした。話しているうちに、「恋愛でいうと付き合って3か月目くらいに入ったのではないか」、という結論に至った。大好き!ラブ!だけでは立ち行かなくなってくる時期。妙に納得した。
来週の1on1は日本でですね、と言われる。ああ、卒業旅行の終わりが、近づいている。
日本の親友とチャットをし、腹がよじれる
パソコンを閉じてお昼を適当に食べた後、久しぶりにタイミングがあって、日本に住む高1からの親友とリアルタイムでラインをした。くだらない話を一生できる親友。毎回会うたびに腹がよじれ、旅行に行くたび、一緒に朝4時までくだらない話をし続けられる、親友。
今日は会話の中でひょんなことから出ていた「刃渡り2億センチ」という言葉に二人ともツボに入ってしまって(マキシマムザホルモンの曲とは関係なく。マキシマムザホルモンの曲も結構好き)、私はくっくっくと部屋でスマホを片手に一人で笑っていた。彼女の方も、電車で笑いを堪えようとして駄目だったらしい。
笑いを堪えているときは一番幸せな瞬間の一つ、と以前何かで読んだけれど、一理あると思う。
ヘルシンキ国立図書館で考え事
14時くらいになって、家を出た。
留学当時よく行っていた図書館に行こうと思っていたのだが、そういえば、留学時はコロナでしまっていた国立図書館が開いているんじゃ?と思ってそちらに行き先を変えた。
国立図書館につき、ドアを押すと、開いた。あの、2021年上半期はびくともしなかったドアが!
司書さんと「どこから来たの」みたいな話をした後、奥の方の席に行き、ノートを広げて考え事をした。ときどき聞こえてくる司書さんのフィンランド語が柔らかく響く。ところどころ聞き取れるので、意味を調べてノートの端に書く。「niin totta」は「so true」。「mutta」は「but」。
考え事を書き出しているうちに、もやもやは大分晴れた。書き出すのは、やはりよい。晴れやかな気持ちで国立図書館を後にする。「Kiitos」と司書さんに告げて出る。
散歩、図書館Oodi
国立図書館を出た後は、少し辺りを散歩して懐かしい場所を巡った。
もう、感情を押さえつけることはしなかった。懐かしいな、小さな街だからほんとにそこかしこに思い出があるな、と思いながら街を巡る。
その後、もともと行きたかった図書館へと向かった。
その名もOodi(オーディ)。宇宙船みたいな見た目で、格好良い図書館。
席が空いていたので、腰かける。窓が広いので、空が焼けているのが良く見える。こういう景色をすぐ見せてくるから、フィンランドってやつはもう。
私はここを目指し続けるよ、と静かに思う。
ピザパーティー
18時頃、一番最初に家に着いた。
次に、友人が帰ってきたので、闘いを終えて無事に帰宅した友人を抱き締める。右手にピザを抱えて「映画見よ」と言ってくるので、「っしゃ」と乗る。
ネトフリで映画を見た。かなりスローな映画だった。
途中で飽きて辞めた。友人に、「日本語の口コミサイトを見たら『38度のお湯につかっているような映画だ』って書いてたよ」と伝える。「ぬるいってこと?」「Exactly」と言って二人で笑う。
サウナ
夜はサウナに友人と一緒に入った。
気持ちよかった。
ほのかな明るさとじんわりとした温かさに話が弾む。
「日本のサウナだと、石に水投げるところに『サウナの神様に感謝を』とか書いてあったりするんだよねえ」と言うと、「なにそれ違うよ」と言って笑われる。
今日はどうだったか、と聞いた。「無事荷物は回収できた」というので、「よくやった」と伝える。友人は、「これから楽しいことも色々とあるし、大丈夫」というので、大きく頷く。もう、友人は前を向き始めていた。強い人だ。
サウナに乗じて私の悩みも打ち明けると、背中を押してくれた。
「失敗しても大丈夫」と言ってくれるので「ま、まだ若いしね!」と冗談めかして返すと、「ん、まあそうだね。でも年取ってても大丈夫だよ。というか、真摯に誠実にやったことなら、何事も失敗とは呼ばない」と言い切ってくるので私は惚れ直すことしかできない。友人よ、君は人生何回目なんだい。「あと、仮に何かあっても、帰ってきたら私たちがいるからね」と続けてくる。愛。
友人はその後、もう眠いから出るね、と言ってサウナから出ていった。サウナでの彼女は、なんだかいつもに増して美しかった。
残された私は、サウナで歌を歌い始める。鼻歌のつもりが、気が付いたら結構はっきりと歌っていたので自分でも驚いた。
いい、気分だった。きっと大丈夫、と思えていた。
今日を振り返ってみても、どこまでも人に恵まれていると感じる。
これからも、それに気が付いていられますように。今あるつながりを、大切にできますように。
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