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大丈夫、これからもまたここに向かえる【卒業旅行記#26ヘルシンキ】

遂に、卒業旅行の最終日に到達した。

全く現実味がなかった。いまもない。
今日ヘルシンキを去るということも、明日には日本に戻っていることも、4月からは社会人になることも。
でも、パソコンの右下の数字を見やると日付は3月6日と表示されているから、今日が最終日であることはやっぱり、確かだ。
さっき、ヘルシンキ空港を後にしたのも、私だ。

あさ、友人母のお店へ行く

1週間私を泊めてくれたおうちのお母さんが、自分の経営しているお店の商品を私のお母さんへのお土産としてプレゼントしてくれた。嬉しかった。

お土産を買って回る

お土産を買って回った。基本的に買うものは決めていたので、さくさくとお店を回る。
途中、夏に友人と行きたいと話していた日本でのライブのチケットを申し込んだりして、私の日々は続くんだなあとか思った。

フィンランド語で話しかけられる

人から話しかけられやすい顔だと自認はしている。海外でも健在。
しかし、フィンランドではあまり話しかけられない。多分国民性の問題だと思う。が、今日は話しかけられた。

「Anteeksi(すみません)」と言われて、スマホを見せられる。「Missa…(どこ)」という単語だけ聞き取れて、どうやら行きたい場所があるけど分からないらしいと察する。
グーグルで調べたら出てきたので「Tässä!(ここ!)」という。「Tämä?(これ)」と聞かれるので「Tämä!」とかえす。

Kiitos,と言って去っていった。フルフィンランド語会話!と思って嬉しかった。次来るときはもっと話せたらいいな。話せるようになるぞ。

一度友人宅に戻る

一度友人宅に戻って、購入したお土産をパッキングした。
スーツケースは行きもパンパンだったのだが、もともと各地に住む友人たちへのお土産が結構なスペースを占めていたりしたので、収まった。あと、服はところどころで寄付したりした。

サウナで、スイッチは入れずにしばらく考え事をする。
木の香りが心地よかった。

友人と友人の母に手紙を書いて、家を後にする。

空港へと向かう

Rautatienasema(ヘルシンキ中央駅)からLentoasema(空港駅)へと向かった。
途中、留学中暮らしていた駅を通りかかって、思い出があふれてくる。
いろんなことが、あったよなあ。

感慨に耽っていたと思ったのだが、気が付いたら気絶していた。寝ていた。アナウンスは空港駅に着いたことを告げているので、そそくさと出る。近くに座っていた女性がスーツケースを運ぶのを手伝ってくれるので、ありがとうと告げる。

空港に着く

空港に着いた。ここに来たのは4回目か。
1回目は自分が留学で日本からついたとき、2回目は大学の大好きな後輩が日本から到着して迎えに来たとき、3回目は自分が留学から日本に戻る時、そして、今回。

チェックインしようとすると、陰性証明書かワクチン接種証明書が必要と言われる。え、そうなんですか、と静かなトーンで間抜けな質問をする。
あ、陰性証明書必要なのか。なるほど、ないな。なるほど、帰れないのかな。と思うも、「あ、ワクチン接種証明ならアプリに入れてるや」と思い出したのでセーフだった。

祖母のお土産に買っていたマッチは、預入荷物には入れられないと言われたのでその場でスーツケースを開けて取り出す。マッチは下着を入れていたサイドじゃない方に入れてたので助かった。

チェックインが終わると、最後に、スーパーでお菓子をがっさがっさと購入した。
いろんな商品を見ては、しばらく君らともお別れだねえと思った。

出国審査

出国審査で、パスポートを出した。「EUの在留権持ってる?」と聞かれるので、「いや…。あ、前はフィンランドの持ってたんですけど…。」と答える。あ、ヨーロッパ入ったときパスポートのハンコ貰ってなかった気がするな、それで訝しがられてるのかと気がつく。

しばらくして、パリに入ったときのスタンプを見つけてくれて、ああ、パリから来たのね。と合点された。

「でもそっか、フィンランドの在留権を持ってたんだね?」と聞かれる「はい」というと「Puhtko suomea?(フィンランド語は話せる?)」と聞かれる。最初何を言われているのかわからなかったが、は!と脳の回路が繋がり「Vain vahan(すこしだけ)」と答えられる。「OK」とお兄さんに満足そうに言われる。「Moikka(またね)」と言われるので「Moikka!」と返す。

嬉しい。フィンランド語、少し使えてる!このまま頑張りたいなあ。

ムーミンコーヒー

その後審査後のエリアにあるムーミンコーヒーに行ったが、しまっていた。
悔しかった。ので、「すいませんしまってるのは分かってんですけど座ってもいいかな…」と店員さんに言うと快諾されるので座らせてもらった。

出発 

そうこうしているうちに、出発の時間が来た。

現実味がない。
いろんなことに対する現実味もなければ、強い寂しさや悲しみ、不安も正直なところ感じていない。
私は、受け容れている。ヘルシンキを去ることも、日本に戻ることも、4月からは働くことも。

大丈夫、私はこれからもまたここに向かえる。
濃紺の空をみながら、強く思う。

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