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経営のイロハ、起業ビフォーアフター[05]

連載記事【05/34】

起業したい人は、ぜひ見てみてほしい、「生々しい起業家の半生」にみる経営のティップス。そこには、時代を超越した起業と、その後に関するティップスが存在します。30年眠ってきた日本、そろそろ目覚めてみませんか?

尾崎氏のお話し、連載5回目は情報収集と人材ネットワークというお金とは異なる大事なお話しです。

INDEX
1. “儲かる”ことをやるのではなく、やりたいこと・得意なことを軸にする
2. 事業計画・フィジビリティスタディ(=FS)の重要性
3. 起業の手続や作業は、全部自分で出来る
4. 資本金・運転資金の集め方極意
5. 政府金融機関・銀行との付き合い方
6. ベンチャーキャピタルは期待するほど機能しない
7. クラウドファンディングは資金集めになるか ?
8. 最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要
9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する

11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
13. 文書作成と文書管理の極意・方法
14. 営業の極意・方法
15. キーパーソンを見つける
16.“それいいね”と言われる「刺さる話」を展開する
17. 中小企業との付き合い方・大企業との付き合い方
18. いわゆるサラリーマンが言うことは、契約して金が入るまで信じるな
  (企業勤務者でもビジネスマンなら良い、この違いを見抜くのが重要)19. プロジェクトチームの創り方極意
20. 製作監理ではなく“一緒に編み出す”
21. 営業や技術の苦労は少し、大半は資金繰りの苦労
22. 出港した以上「空荷」では戻れない
23.“幸せ家族”の生活は少ないが、それでもかなりのことは出来る
24. 経営者は個人に全責任が掛かる、覚悟はあるか
25. 第三者の保証人にはなるな
26. 間違いがあれば全部負わなければならない
27. インチキ・不正は絶対しない
28. 節税しても脱税はしない
29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
31. 世の中の要素を組み合わせ展開すれば、かなりのことが出来る
32. 所有する必要は無い、使用すればよい
33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる
34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する
35. 事実と実質3

起業する際、一人でやるのか、チームでやるのか考えますよね、そして自分たちにないスキルが必要な時、自分たちで学ぶ、もありますが協力体制を取っていく方が現実的かもしれません、今日はそのようなお話です。
それでは今週も行ってみましょう。

9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う

 本当の情報とガセネタを見分けるのにエネルギーを使わなければならないほど、情報が氾濫している。IT(Information Technology:情報技術)すなわち、“コンピュータを使ってあらゆる種類の電子的なデータや情報を作成・処理・保存・取得・交換する” 技術の成果ではある。

 しかし、技術やシステムが高度化しても、それを駆使したり関わる人間の倫理・理念が未発達のままなので不具合が生じている。ジャーナリズムの凋落もその一つで、政府に餌付けされた御用聞き記者ばかりが溢れている。
 報道に限らず、広報宣伝やSNSコメントも同類で、何が本当か解らない世の中に成り下がった。情報の真意は、自分の眼・耳・感覚・脚で確かめるのがベストだが、全ての分野で裏付けを取るのは至難だから、信頼できるジャーナリストが代行してくれるのを待つしかない。
 私が起業したころは、必要と思う新聞・雑誌・テレビに目を通すが、大した情報システムは無かったから、信頼できる人の話を聞くのが大きな情報源となった。仕事関係では、取引先との会議や、図書館・本屋などが情報源だ。

 ここで大事なのは、重要と思ったり・ビンときたり・知らなかった情報などは、直ちに掘り下げて深く追求することだ。知識を得るだけでなく、意識の中に残るし、再び同種の情報に遭遇したときは理解度が異なってくる。

 世の中には博識を装っている人は多いし、ガセネタも単なる噂話も沢山あるから、“着眼”“追求”“調査”“事実発見”を繰り返しているうちに、ガセネタや噂話を自動的に排除できる「眼力」が備わってくる。「感性」に加えて「眼力」を持てば、仕事でも私生活でもジョーカーを引くことは無い。自然に“本物に近づく”“本物だけを相手にする”力が備わるし、「感性」と「眼力」を併せ持った人同士だと、高度な仕事がツーカーで出来る。

 それでもすべての分野を把握するのは不可能だから、周辺にある些細な情報でも見逃さないことだ。“アンテナ力を持つ”“嗅覚を備える”などで、簡単な話だ。野生動物は本能的に装備している。

 以前に大企業が当社を欲しくなって乗っ取りを謀った。汚く卑怯な手段で掛かってきたが、当方も応戦して撃退したものの大きな痛手を受けた。このとき、知人が支援の手を差し伸べてくれて3年も経たずに今まで以上の状況に回復した。
 知人の支援には感謝しているが、ある小料理屋の女将から看過できない話を聞いた。
 知人とそこの社員が小料理屋で飲食中、“あいつは弱ってるときじゃないと獲り込めないからだよ、近くウチの営業専門会社にする”と話してたと。
 カウンターの前で料理を作っている女将には、何ら注意を払わず本音を吐いたのだ。
“貴方は、あんなやつらに取り込まれたら駄目よ、すぐ撃退しなさい”と、今度は女将が応援団になった。
 最初に支援してくれた知人は、支援しながら囲い込んで、実は自分が取り込もうという本音だった。その知人を排斥する戦略を逐一進め、最終的には無関係な存在とし、支援も色を付けて返した。
 事業経営をしていると、周辺のあらゆるところに味方も敵もいるから、サバンナの野生動物のごとく、全身の第六感を効かせて生存を図る必要がある。

 乗っ取りを謀った大企業はどうしたって ? 獲り込めないと見るや、当社の社員数人を引き抜いて新会社を設立した。定款(ていかん:法人の基本規約・基本規則)は、当社定款のフルコピーだ。行った元社員は代替が効く者ばかりだった。
 図々しくも当社の得意先に営業し、ことごとく断られ物干し台などを細々と作っていたが、何年かして解散した。寝返った元社員がどうしたか、こちらが関与する必要は無いが、再就活は難しかったろう。

 クライアント各社のお陰もあり、その後、当社は過去最高売り上げを記録し維持した。自然界の掟とはそういうもので、神様が見ている。

10. 意味のある人材ネットワークを構築する 

 最近の悪しき傾向は、物事を判断するとき、損得で決める人が激増していることだ。善悪や適否で決めないのは、そうすると損すると思うのか、適切な判断能力が無いからと思わざるを得ない。
   いい歳扱いた大人が、人生も終わり掛けてそうしてるなら、自業自得の結果が待ってても、社会に実害も無いし放っておけば良い。問題は若い頃からこういう行動パターンで生きるのは具合悪い。若い人はこれからの社会を担うからだ。

   人間関係は純粋に最重要事項で、人脈というのは計算が入った言い方ながら、若い時代からどういう水で泳いでたかが、人生を左右する。良い水なら酸素をたっぷり吸って、周辺にも良い魚が大勢いるので、魚の本質が向上する。汚い水ならこの逆だ、稀には汚い水に美味い蟹などが生息してるけど、そういうのは例外として全体傾向の話だ。

 どんな世界にも優れた人と低級な輩の両方が居るが、典型を上げて言うと大まかな状況が解かる。少数精鋭のプロ集団であるレーシングチームは、母数が20人位で、70~80%は凄い人達だ。
 特殊技術を持った中小企業は、100人位の規模で凄い人は30%位だ。一般的な業種になれば、これが10~20%に低下する。一般論ではあるが、大企業で関わる人が300人位となれば、本当に凄い人は、驚くことに3~5%に低下する。

 私は、大企業のサラリーマンを3年ほどやったが、業種的に特殊技能は求められないごく一般的な組織だ。似たような会社はほぼ同じみたいで、昼間一緒に仕事してる連中と、仕事が終わってから夜までつるんで懇親の飲み会をやる。それも週に2度3度だ。
 安飯屋か居酒屋で、同じ会社の社員が10人20人と集団で懇親なさる。同類のグループが他にもいて、スペースの取り合いでいがみ合う。話は大方“いやイイですね~”“今度やりましょう”と、上っ面付和雷同(ふわらいどう:自分にしっかりとした考えがなく、他人の言動にすぐ同調する)で、実現した試しがない。
 私も最初は誘われたが、断り続けていると、“あいつは協調性が無い”とか“マイホーム主義だ”とかレッテルを張る。観点がボケてるね。昼間も夜も同じ連中と団体行動して、どうでも良い話で同調して自己満足しても、何ら実りが無い時間を過ごすだけ無意味だからに過ぎない。
 おっとどっこい、定時に退社しても、こちとら家には帰ってない(必ずしも良いことではないが、週○日はそうしてた)。何をしてるか ? 異業種の新進気鋭の人たちが集まるパブへ行って、フェイス to フェイスで意見を交歓して、美味しい酒を飲むのだ。

 もちろん自腹で、これは情報収集コストだと割り切っていた。
 業種や仕事が違うと様々な考え方・行動様式に出くわし、大変な勉強になる。そこに必要なのは、技能・技術以前に、感覚・感性が重要で、解り合える人とピンッとくれば、話も弾むし人間関係も深まる。
 このエピソードと相前後して、感覚・感性が通じ合って懇意になった人が沢山居る。しかも、同年齢だけじゃなく目上のいわゆる“大物”も多い。数多くの“大物”と知り合いになれて、大変お世話になった。

 学生時代の教授もそうだが、日本初の芸能プロダクション社長もその内の1人で、仕事にまつわるエピソードは沢山あるけど、入社後暫くして、“CITROEN DS 23”を買付けに行きたいから、パリへ同行してくれ”とビックリする話になった。
 銀座に、日本の有数の船乗りたちが集まるクラブがあった。ヨットやクルーザーのオーナーたちで、“大物”ばかりだ。大企業社長や政治家もいた。
 ある人を紹介されたら、N.Y.在住の日本人で船の写真家で有名な人だった。日本の光学機器メーカーを退社して、N.Y.で光学機器メーカーの社長をしている。“日本の技術で世界初の深海カメラを開発生産したいから、手伝ってくれないか”ときた。
 とてつもないビッグプロジェクトで、私は日本の開発者をマネジメントする係だ。このビジネスの過程で、アメリカの世界企業の社主が、ポケットマネーで運営するフロリダの海洋研究所とも交流できた。
 さらに、完成した凄い深海カメラのセールスで、アメリカの放送キー局の社主とも知り合えた。これらの、世界規模の“大物”は、まさに感覚・感性が通じ合うことから始まるが、物事の考え方・意思決定・実践能力などのすべてにおいて“大物”であり、多くの高度ビジネスを勉強させて貰った。

  “それって損得勘定からのアプローチじゃないですか”と解釈する人は違うね。損得勘定が根底にあっては、そこに至らない。感覚・感性を起点に、本質で物事を進めるんだ。良い水に浸かって大海を回遊し、世界中の素敵な“大物”と触れているうちに、自分も“大物”の感覚や行動様式が身に着く。

まとめ

今週はいかがだったでしょうか? ビジネスでうまくいくためには数字を読めるだけではなく、情報の収集と誰と付き合うか?ですね、人の縁は大切で、そうした大物の人々の物事の考え方・意思決定・実践能力はなかなかに新鮮なものがあります。こうした人たちの空気感を身に付けていく事も、また大事なのかもしれませんね。

さてさて、次回は
11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
についてお話続けていきましょう。

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次回もお会いしましょう。


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