The Future We Co-Create, Imperfectly ~私たちが共創する不完全な未来~
「会社は株主のもの」、「株主価値を最大化するために経営をするべき」といった考え方に異を唱え、「会社はステークホルダー皆を幸せにするために存在する」、「短期的な株主価値/時価総額の最大化ではなく、長期的な価値創出のための成長を目指すべきだ」といった主張が世界中で反響を呼び8000名ものコミュニティ参加者となり、世界でも日本でもゼブラ(企業)の認知が進み始めています。
ゼブラ企業という言葉を生み出し、世界各地にムーブメントを広げるZebras Uniteは、自らが「協同組合(Coop)」という組織形態を取ることによって企業の新しいオーナーシップ / ガバナンスのあり方を提案しています。
今回は、この3月から新たにマネージングディレクターのMadelynn Martiniereを迎え入れたZebras Uniteが発表した最新のマニフェストをお届けします。原文はこちら
はじめに
未来を想像するのは大胆なことです。未来を築くことは、美しく、また、雑然とした愛の労働です。
Zebras Uniteでは、誰もが未来を想像し創造する平等な権利を持っていると信じています。
最初は草の根のムーブメントとして、そして現在は会員制の協同組合(Coop)とNPOからなるハイブリッドな社会的企業として、私たちは効果的かつ公平に活動する方法について考えてきました。
創業者、資金提供者、そして共感者のコミュニティとして、想像力はゼブラムーブメントを構築する上で私たちの強みであり、私たちがこれまでに共に成し遂げたことを誇りに思っています。そのなかでの私たちの本質的な学びの1つは、単にこのムーブメントを構築することではなく、どのように構築するのかが最も大切だということです。
この話題に関しては、こちらの記事で詳しく説明しています。
この事業が成長するにつれ、私たちは、あまりにも少ないリソースで多くのことを行おうとした今までについて率直に語ってきました。これには私たちだけでなく、世界に意味のある変化を起こそうとする多くの組織が直面してきた経験です。2022年の初めには、私たちは疲弊していました。
他の多くのムーブメントビルダーやチェンジメーカーと同様、私たちも知らず知らずのうちに、オーバーワークや生産性を何よりも優先するという支配的な文化規範を内面化してしまっていたのです。私たちは、仕事の重要性とコミュニティの活気に支えられていましたが、現実は、私たちの手が届く範囲をはるかに超えていました。そこで、私たちは一歩引いて、「we could do more by doing less(より少ない労力で、より多くのことを成し遂げることができる)」という先進的な考えを受け入れました。全速力で前進するのではなく、リセットし、回復し、再構築するために少し後退したのです。私たちは、信頼と透明性を最優先しました。私たちが自分自身に持った問いは
というものです。
私たちは、非現実的な生産基準に合わせるのをやめ、自分たちの不完全さを受け入れました。私たちの価値観を実践的に定義し、強化されたハイブリッド戦略を策定し、自分たちへの問いかけや議論、意思決定を繰り返しながら、新しい運用契約を共に作成しました。
スタッフと組合員からなる中核的な運営チーム(Dazzle District)が初めて対面で集まったのが、2022年の10月です。多くのメールやSlackメッセージ、バーチャルなミーティングを重ねた後、実際に顔を合わせるのは深い経験でした。私たちは笑い、泣き、踊り、物語を共有し、大きな転換期であったこの1年を共に振り返りました。(MaraとAstridの退任の記事はこちら)前を向くために後ろを振り返る機会を設け、コアバリュー、共通の目的、そして私たちが共に創造したい文化についての認識を再度合わせました。
ハイブリッドな組織を共創の道へと導くために一丸となって考え、そして、エコシステムで見たい変化により近い新しい文化規範を開発に取り組んだのです。共創のためのコンディションを積極的に再設計するために、より意図的に働き、忍耐強くなることを自分自身に約束しました。
2023年の私たちのフォーカスポイントは、コミュニティと一緒に未来を共創することです。ぜひ、私たちの仲間になってください。
1つの戦略、2つの組織、3つのCircle
2023年、私たちは戦略的成長の新しいフェーズに突入しました。集中力を養い、方法論を洗練させ、そして、ゼブラコミュニティとその周囲のエコシステムに相互的利益をもたらすような、私たちと同じ方向を向いた人たちからのオファーを受けることで、資金調達と収益の見通しを拡大します。
私たちの発展のための次のチャプターはハイブリッドな組織体系を採用することでした。1つの戦略のもとで、Zebras Unite NPOは、ゼブラムーブメントを成長させるムーブメントビルダーおよび研究開発エンジンとして機能し、Zebras Unite Coop(協同組合)は開発されたアイディアの実行を主導します。NPOと協同組合がお互いに協力することによって、「世界にとってより良いビジネスを構築する人々のための文化、資本、コミュニティの触媒となる」という、Zebras Uniteのハイブリッドなミッションの中核を支えるのです。
私たちは、これらの中心となる要素を、洗練されたソシオクラシー(*)に基づくガバナンス構造として体系化し、各サークルがその重点領域において自律性と主体性を維持できるようにしました。より多くの組合員の参加を可能にし、全体として共創のためのより多くの選択肢を作り出すためです。
(*)ソシオクラシーとは
2023年の私たちの行動は、年末に共同開発された一連の方針によって進められています。使われる言葉に馴染みがないと感じるかもしれませんが、それは意図的に作り出されたものです。
私たちは、より公平であることの意味を考え、従来の成功の計り方から離れ、より自分たちが目指す組織のあり方に合致した言葉の使い方や組織の導き方を探し求めてきたのです。
新しいビジネスのあり方を生み出すための公開実験フレームワーク
Zebras Uniteは当初から、新しいビジネスのあり方を生み出すための一連の実証実験を行ってきました。すべての実験が成功するわけではありません。しかし、これらの実験の価値は、私たちが何を学ぶことができるか、そして、人間中心で共感的な方法で具体的な価値を創造するゼブラ的なあり方(Zebras Way)の認知度をどう上げることができるかということにあります。
公開実験は、Zebras Uniteを、研究開発エンジン(Zebras Unite NPO)と実験場(Zebras Unite Coop)のハイブリッド型として設計したフレームワークであり、コミュニティ内で組織能力向上をめぐる公開対話を促進することを目的としています。
2023年、私たちは、メンバーやスタッフによってインキュベーションされ、その後、ソートリーダーシップや参加型教育プログラムを通じて公に発表される一連の公開実験を実行する予定です。
私たちは、リソースを特定し、そこへ繋がり、関与し、アクセスすることによって、コミュニティのあらゆる領域が繁栄するための状態を作り出すカルチャーに深く投資しています。私たちは、教育、デザイン、研究活動を協働して行うことでミッションとパーパスを実現するのです。
コミュニティを巻き込み、活性化し、育む
ムーブメントを構築する組織として、私たちはコミュニティのニーズを何よりも大切にしています。パンデミックの暗闇から抜け出した私たちは、より深いつながりを育む体験がこれまで以上に不可欠であると感じています。2023年において、私たちは、メンバーやパートナーとの共同企画によるプログラムを通じて、創業者、資金提供者、共感者のエコシステムを活性化し、意図的な、場所にこだわりを持った集まりをファシリテートします。
また、皆さんがオンラインでも、対面でも、お互いを知り、関わり、それぞれの旅のステージに応じた適切なリソースにアクセスできるような、より明確な道筋を構築していく予定です。私たちは、最近、私たちの価値観とニーズに合った新しいオープンソースのコミュニティ調整プラットフォーム「Hylo」に移行しました。組合のメンバーであるTerran Collectiveが管理するHyloは、メンバー間の信頼性、透明性、関係性を高めるように設計されており、質問・オファー機能、興味や場所によってメンバーや情報を簡単に見つけることができる機能などを備えています。
Zebras Unite Hylo コミュニティへの参加はこちらからどうぞ。
繁栄に向けたゼブラエコシステムのリソース化
オーナー、顧客、そして彼らが尽くす幅広いコミュニティにとっての繁栄はゼブラ型の組織にとって重要な原動力です。
私たちが皆様をサポートできる最も具体的な方法の1つは、資本を蓄積し、あらゆる場所でより目がくらまされるような、(Dazzlingな) ビジネスに資金を供給することです。
2023年、私たちは、Inclusive Capital CollectiveやP6 Capitalのような、明確なステークホルダー・コミュニティをサポートするような金融の仲介組織を設立することで、組合員と、それよりもさらに幅広いエコシステムの両方に役立つ、より機敏で勇敢、そして公平な金融商品とメカニズムへのアクセスを作り出すことに引き続き注力します
これが、私たちが意味する「資本の触媒作用」です。私たちは、組合員やコミュニティだけでなく、世界に有意義な変化をもたらそうとする組織の集まるグローバルなエコシステムに対して、即効性のある具体的なインパクトを生み出し、フェーズの変化の火種を作ることを意図しているのです。
コレクティブ・キャパシティを育む
私たちは、Zebras Uniteのハイブリッド型の組織間の役割の明確化と結束を優先していますが、効果的に協力し、繁栄するために、既存の運営システムとプロセス自体を洗練させることも重要だと認識しています。
これには、Zebras Uniteを共同構築するために、組合員の集合知を十分に活性化させるためのスペースを作ることも含まれます。今後1年間は、皆さんが協同組合の構築に参加し、皆さんにとって最も大切な方法で価値を与えたり受け取ったりする機会が増えていくでしょう。
資本仲介のデザインは、価値観の一致した資本にアクセスする際にあなたが力を発揮できるようにすることにフォーカスしています。私たちは、「資金提供者が第一」というバイアスを逆転させ、創業者を第一に考えることで、あなたが取るリスクが適切に報われ、既存のあり方によって疎外されてきた人々に経済的な公正さが回復されるようにします。
さらに、私たち自身もゼブラ企業のオーナーであり運営者であるため、Zebras Uniteが皆さんへ提供する商品やサービスは、他者とのパートナーシップのもとに設計されなければならないことを理解しています。
皆さんは8,000人もの知見と思いやりのあるビジネスビルダーのグループであり、それぞれのスキルや経験を共有しているのです。だからこそ、試作に成功したゼブラ・アドバイザリー・サービスの次の段階は、共同オーナーでもあるの皆さんと一緒に進めていくことになります。
ムーブメントは情熱から生まれますが、プロセスと意図的な実践によって維持されます。共創のための条件を育むためには、そのための道筋を設計し、定義することも必要です。共創は、コラボレーション、協力、協調が必要で、大変なプロセスなのです。しかし、意図と忍耐と謙虚さをもって行えば、多くの人の手によって手入れされた庭のように、有意義で豊かな成長を遂げることができるのです。
未来を予測することは誰にもできませんが、私たちは、価値観を重視した行動と透明性のある実験によって、有意義で豊かな成長を共に達成することが可能であることを、組織として知っています。共に進んでいきましょう。
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