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「別府」を愛する男が「熱海」に泊まってみた。

熱海に行くと、別府を思い出す。

海があり、山があり、温泉がある。
そこはかとなく漂う昭和レトロな雰囲気。

扇状地に広がる街の様相もあいまって、
景観もどことなく似ている。

別府
熱海

別府に生まれ育ち、別府を愛する男が熱海に泊まるというのは、野球選手がワールドカップを観に行くような感じだ。何ら悪いことではない。ただ「あ、そっちも行くのね」という感じだった。

しかし昨年のふるさと納税で手に入れた「星野リゾート」の割引券を使わないまま終わることを危惧し、思わず宿泊予約をした。

見晴らしがとても良かった。

あまりに別府の景色に似ているので、思わず別府と熱海をいろいろ比較してみた。

⭕️土地の広さ
別府:125.1 km²
熱海:61.78 km²

⭕️人口
別府:113,735人
熱海:34,360人

⭕️温泉
別府:源泉数、湧出量、全国1位。温泉番付2023西の横綱
熱海:年間人気温泉地ランキング9年連続1位

⭕️グルメ
別府:地獄蒸し、とり天、別府冷麺、海鮮、豊後牛
熱海:干物、海鮮、中華、モンブラン、熱海プリン

それぞれに素晴らしいじゃないか。

古くから「東の熱海」「西の別府」とうたわれた歴史もあるらしい。冬にも花火大会をやるところまで似ている。しかも驚いたのは「別府」と「熱海」は姉妹都市ということだった。なんだ、めっちゃ仲良いじゃないか。

1966年に姉妹都市提携し、平成30年には「『別府温泉』の恩返し」として、別府温泉約7tが熱海に運ばれる」という謎の交友録も見つけた。運ばれた温泉がどうなったのかはいまだに謎だ。

別府の親善大使になったつもりで、夜は熱海の海岸近くにある「淡島寿司」という地元の店に行った。

3代目を継ぐ大将と色々な話をして楽しかった。あまりに話が盛り上がったものだから、思わず「実は僕、別府の生まれなんですよね」と打ち明けてみた。すると、大将は「あぁ、そうですか」とだけ言った。話はそこで止まった。僕はそっと烏龍茶に口をつけた。親善大使としての役目は不発に終わったようだ。

それでもまた熱海に来たいと思った。おしゃべりなタクシーの運転手さん、地元の気さくな店員さん、旅先での出会いというのは格別である。若い観光客も多かった。都心から約40分で来れるのも魅力の一つだ。

わずかな滞在時間だったが、星のやのおもてなしも相まって、気持ちの良い時間を過ごすことができた。

締めにタクシーの運転手さんに薦められた「大一楼」で冷やし中華を平らげ熱海を後にした。

そして、その2週間後には、別府へ行った。姪の結婚式の映像をつくるために。

2ヶ月ぶりの別府であったが、久々に家族に会えて、みんなでご飯を食べて、圧倒的な安堵感を味わった。

家の庭で採れたという栗も美味しかった。

熱海になくて、別府にあるもの。
それは「家族」の存在だった。

それ以外のところはそれぞれに素晴らしいから甲乙をつけがたいし、つける必要もない。中東のニュースに心痛める日々が続くが、この故郷が、熱海が、日本が、いつまでも平和であることを願いたい。

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