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【本の感想・レビュー】母という呪縛 娘という牢獄|志水さん|社会人勉強コミュニティ

こんにちは。

ファシリテーターの志水です。

2023年11月に「母という呪縛 娘という牢獄(著:齊藤 彩)」を読みましたので、その感想とレビューをします。


1.本の概要

「滋賀医科大学生母親殺害事件」と聞いて、ピンとくる方はいるでしょうか?

事件の概要をざっくりとお伝えすると、2018年に娘が母親を殺害し、遺体をバラバラにして遺棄した事件です。

概要だけ見ると、明らかに娘(=あかりさん)の方に非があるように思えるかもしれませんが、事件の背後には母親が娘に対して医学部受験を強要し、なんと9年も浪人させ、異常なほどの学歴重視を押し付けていた事実が浮かび上がります。

この本は、まさにこの事件の全容をくまなく取材したノンフィクションです。

母親と娘のLINEでのやり取りや、裁判の様子などが詳細に書かれており、色々と考えさせられる本でした。

2.選書理由

この事件は、当時大学生だった私にとってかなり衝撃的でした。

どのような経緯で殺害まで至ったのか興味があり、以前から読んでみたいと思っていたのですが、ノンフィクションということでちょっと怖いな・・・という気持ちもあり、なかなか優先順位が上げられずにいました。

ところがある日、本屋さんを訪れたときに、目を引く場所にこの本が置かれていたのです。

「これは読むべきタイミングが来たな」と感じ、自然と手に取っていました。

3.印象的な部分や場面

この本では、母親と娘のやり取りがリアルに描かれており、すべてがとても印象的というか衝撃的でした。

母親が望んだ結果が得られないと「バカ」「死ね」といった罵倒の言葉を浴びせ、それに対して娘のあかりさんは「申し訳ございません」と謝罪する場面が何度もありました。

さらに、テストの点数が悪いと熱湯をかけたり、偏差値の差の回数分を鉄パイプで殴るなど、言葉の暴力に加えて虐待とも言える体罰も含まれていました。

読むのがつらい描写もある一方で、この本がノンフィクションであることが何より衝撃的です。

この本のレビューを読んだところ、「自分の親もこんな感じだった」といった意見が多くあり、この事件は氷山の一角で苦しんでいる人はまだまだたくさんいるんだということがわかりました。

4.学んだことや気づき

この本からの学びや気づきを2つ挙げます。

1.親と子どもはそれぞれ独立した個性であると考えること

私はまだ子育ての経験がありませんが、子どもに自分の価値観を無理に押し付けることはしたくないし、やるべきではないと思います。

また、自分が諦めてしまった夢や達成できなかった目標を子どもに叶えてもらおうとするのも傲慢です。

この本の母親は、自分の夢と娘の夢を混同してしまった結果、要求が多くなり自分も娘も不幸にしてしまったのだと感じました。

2.家族の問題に他人が立ち入るのは想像以上に難しいこと

この本では、娘のあかりさんが友人や教師に助けを求めていますが、家族の問題に介入するのは限界があり、母親から完全に引き離すことはできませんでした。

あかりさん自身も何度も家出を試みましたが、探偵を雇われ家出をするたびに連れ戻されました。

私自身も、たとえば近所の子どもが虐待されていると知った場合、親元から引き離して助け出す勇気があるかというと疑問です。(警察や児童相談所に相談すると虐待が悪化する可能性もあるため)

これは今後も考えていくべき課題ですが、こうした状況に対処する方法をちゃんと知っておきたいと思いました。(詳しい方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただきたいです)

5.感想や評価

最近では、「毒親」「親ガチャ」といった言葉をよく聞くようになりましたが、この本の内容はこれらの言葉では言い表せないほど衝撃的でした。

この本は、娘であるあかりさんの言葉に基づいて書かれているため、母親がなぜそこまで学歴に執着したのか、はっきりとした理由がわかりませんでした。(亡くなった母親の視点も知ることができれば、なぜそのような教育をしたのか理解が深まるかもしれません)

読んだ後はとても悲しい気持ちになりましたが、この本の母親を反面教師として、親になったときにまたこの本を読み返したいと思います。

追記:亡くなった母親の妙子さんに心からの哀悼の意を捧げつつ、娘のあかりさんがこれから自らの人生を歩んでいけることを心よりお祈りしています。

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