【Cords】 山野アンダーソン陽子さん デザイナーインタビュー
3月1日にリニューアル発売された器のシリーズ「Cords(コーズ)」について、デザインを監修する山野アンダーソン陽子さんにお話を伺いました。
今回のリニューアルでは、特徴的なリムのカラーにBlack、Greenの2色が加わり、プレートに新たに2サイズが追加されました。SAIKAISHOP(オンライン)、Tokyo Saikai Showcaseにて購入いただけます。
Q. 「Cords(コーズ)」というシリーズ名の由来について教えてください。
山野さん: 縁のラインが特徴でもあるので、線、紐、縄などをイメージしてCordsにしました。Cordには「繋がっている」という言葉のイメージがあり、複数形で「きずな」の意味もあるようです。また、お皿を重ねるとコードが丸まっているようなイメージがあり、そこからヒントを得ました。
Q. ガラスと磁器で、デザインをする際のアプローチに違いはあるのでしょうか?
山野さん: セラミックをデザインする時の思考もガラスに引っ張られていると感じています。これまでも、ガラスベースで考えて、食器を作ってきました。Cordsをデザインする際は、宙吹きガラスでは表現できないフラストレーションを磁器という異なるマテリアルの性質を使って、楕円やリムを表現しました。私の個人的な意見ですが、ガラスと磁器を扱う時の違いは、マテリアルの良さを引き出す方法です。磁器は型で成形する方が、綺麗に良いものができると考えています。また、安価で安定した量を一度に作れることも磁器の魅力です。ガラスに比べて、強度が高く、ガチャガチャと使う業務用としても適している面も踏まえると、向き合うところは『マス』の部分です。
一方で、ガラスに関しては、昔スウェーデンの工場でガラス製品のデザインを依頼されたことがありましたが、木型/金型を使うよりも、自分の手を動かした方が、自分の作りたいものが作れると感じられた経験がありました。素材としてもガラスは、表現の歪みや、液体として垂れる性質など、型を使わない作り方に魅力を感じ、自分でガラスを吹いて制作しています。
Cordsは磁器でありながら、縁の色を塗ることや釉薬をつけることは波佐見の職人さんの手作業であり、ガラスと同じような要素もあります。色の斑など、一つ一つのブレはガラスと同じような魅力と受け取っています。
Q. Cordsをデザインした際のこだわりについてもお聞かせください。
山野さん: 私自身のリム皿への強いこだわりがありました。それは、使い勝手を考えたことで、ビジュアル的な意図ではありません。リムがあると下に手が入るので、洗う時にも持ち運びやすく、お店でサーブする時にも衛生的だと感じていました。スタッキングができ、カタカタとずれることもなく収納できることも含め、道具として良好であることを意識しています。
また、4色展開にすることで、色の楽しみも提案できるようにしました。積み重なった時に、色味が横から見え、お店で並んでいるときにも良い佇まいになります。家庭で使う際には家族一人一人の好きな色が選べる良さもあると思います。空間や選ぶ人によって、縁の色の違いという些細な個性の中で、違いが出せればと考えました。
Q. おすすめの使い方を教えていただけますか?
山野さん: 250mmプレートはフラットで面積も広いので、パンケーキ、ステーキ、小さめのピザ、お好み焼きなどに重宝します。また、餃子、ライスと、違うテイストのタレ皿として100mmプレートを2枚乗せて使うこともできます。リムオーバルには、パスタ+サラダ、カレー+サラダのように2種類の料理を盛り付けるのがおすすめです。170mmプレートはパン、おやつをさっと乗せたり、サラダを取り分けるなど、自宅でも使用頻度の高いサイズ感でした。今回コラボレーションイベントを行ったBrannerianにヒヤリングをした際も、お店でも使いやすいサイズとしてリクエストがあり、追加したサイズです。
こちらは2月にストックホルムのレストラン「Brannerian」で開催されたリリースイベントの一コマ。談笑する山野さん(中央)と、今回ビジュアル撮影をしてくれたフォトグラファーのPetter Bäcklundさん(左)
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