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【NYY #30】元三流金融マンによるヤンキースの超テキトーな財務分析

注釈:色々説明を端折ったり、ネタを含めたりしているのであまり真面目に受け止めないで頂けると幸いです。筆者

ヤンキース、経営下手かて

ニューヨーク・ヤンキースのバリュエーション(企業価値)をご存じでしょうか。
米経済雑誌Forbesによると2023年3月地点で71億米ドル(記事執筆時点の為替レートで9,850億円程度)。
日本企業でこれに最も時価総額が近いのは楽器メーカーのヤマハ(2023/7/13終値ベースで9,848億円、東証プライム市場159位相当)。
日本人であれば誰でも知っているくらい大企業と同等の規模の組織、となります(雑)

本来であれば企業価値と時価総額ではなく、時価総額に有利子負債(つまり借金)を足したものと比較すべき、、、というのには目を瞑ってください。ググったら真っ先に時価総額リストが出てきたのでこれで代用します。ごめんなさい。

そして売上も6億5,700万米ドル(910億円程度)
日本における上場企業では古本・リユース品の全国チェーンを展開するブックオフグループHD(直近通年期(22年5月期)売上915億円)と同等の規模
ちなみにブックオフは上場企業の直近通年期売上ベースで999位らしいので、ヤンキースも日本の上場企業だったら1000位程度の売上規模になります(雑)

そしてEBITDA*、つまり収益が1,600万米ドル(22.6億円程度)。比較対象を探すのがめんどくさいので割愛しますが、ヤクルト球団が日本一を達成した2021年12月期の当期純利益が3.2億円だったので、ヤクルトスワローズの軽く7倍と考えて頂ければなんとなくの規模感をお分かりかと思います。

EBITDA=Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略で、営業利益に減価償却費とのれん償却費を足し戻したもの。簡単にいうと、会社(組織)の「稼ぐ力」を表す指標です。
売上からモノやサービスを提供するためのコスト(材料費や人件費等)は引いたものの、負債=借金の金利や税金といった「本業と直接関係ないコスト」や減価償却費・のれん償却費といった「実態としてお金が出て行ってないコスト」を引かない場合の利益、となります。
これと当期純利益(全てのコストを差し引いた後に最終的に残る利益)を単純比較をするのは誤っていますが、EBITDAを公表するNPB球団がいないのでこうしました。タイトルの通り雑なのでご容赦ください。

一見結構稼いでるじゃん、と思うかもしれませんが、これって利益率(正確にはEBITDA率)2.4%とめちゃくちゃ低いんですよね。
対して宿敵ボストン・レッドソックスは直近14.0%、シアトル・マリナーズなんて脅威の23.7%。
他の球団と比べても明らかに利益率が悪い。
(メッツやパドレスがめちゃくちゃ赤字なのは深堀しません)

しかもヤンキースさん、無借金経営らしいですよ。
リスクを取らずに安全経営。JTCか。
世界で最も著名なスポーツ球団のブランド・信用力を利用し、安い金利でお金をかけてレバレッジ
(借金を利用することで自己資金のみでより大きい投資をし、リターンを最大化する効果)をかけて、バンバン投資をすべきところを鼻ほじくって待機すな。

この5分の表面上の財務分析で(その他の要因等を全く考慮せずに決めつける場合)明らかになったことはただ一つ:ヤンキースのオーナーであるスタインブレナー一家は経営が下手なんだ。
そりゃ積極的な補強をしないし、ぜいたく税を気にするわな。
経営改善して出直してこいや。

すみません、ふざけすぎました

真面目な話をすると、スタインブレナー一家がヤンキースを1973年に買収をした際は8.8M USDで、50年で7.1B USD まで成長させているので、投資に対して806倍のリターンを(実際には売ってないので利益を実現していないものの)得ているといえます。
年間ROI(Return on Investment、投資利益率)でいうと15%程度、とかなり高採算と言えますね。
このような所謂プライベートエクイティ投資(上場している会社の株ではなく、非公開企業の株に投資をすること)の醍醐味は毎年の利益ではなく、キャピタルゲイン(保有をしている資産を売却することによって得られる売買差益)なので、こちらで相当儲かっています

そして前述の無借金経営の下りは表面上正しいものの、実態とは少し違います
本拠地のヤンキーススタジアムを建設し、2009年に竣工した際、建物自体はニューヨーク市(NYCIDA、New York City Industrial Development Agency)が保有し、ヤンキースの子会社(Yankee Stadium LLC)が運営し、当該子会社がニューヨーク市に使用料を払うという形が取られました。
そしてこの使用料を証券化した債券(PILOT Bond)をニューヨーク市が発行することによってスタジアム建設代金や運営コストを賄っています。
この債券はまさしくヤンキースの信用力を使用したレバレッジで、これを駆使してスタジアムという野球チームにとって最大の投資を実現させています。

つまり何を言いたいかというと:前言撤回します、経営陣のスタインブレナー一家は有能だ。沢山儲かっています。流石です。
だから選手の補強を行わない手はありません。言い訳するな。選手を乱獲しろや。

出展:日本経済新聞、ヤクルト球団、Forbes社、Fitch社

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