Lights&Motion
マンモス団地と国道の照明灯だけが光源となる北総の深夜1時、マルスズ梨園、と書かれた白い看板の根本にスクーターが止まっていて、それにまたがったまま彼女はぼくを待っていた。そう書くとなかなかにエモいけれども実際はぜんぜん違う。これは村上春樹の小説なんかじゃない。現在、つまり2003年3月20日にはまだ「エモい」なんていう言葉はなくて、インターネットはもっと狭くて、ケータイでできることといえば16和音の着信音をダウンロードすることくらいで、それがぼくらのすべてだった。彼女は点滅を繰