香水論

わたしにはお気に入りの香水がふたつある。
ひとつは、JILLSTUARTのwhite floral。知り合いのお姉さんから、もう使わないから、とほとんど残っているそれを譲り受けた。
純真無垢な、白いブーケ。
太陽の光を浴びて、白い薔薇やマーガレット、チューリップが笑う。
あどけなさが残るスイートな香りを、19才のわたしは友達みたいに思っていた。

もうひとつは、LANVINのモダン・プリンセス。これは初めてのバイトで初めてもらったお金で買ったもの。
仙台駅にほど近いデパートで一目惚れしたのだ。
香水をつけるといつも、国分町のバーから見た夜のネオンが脳裏に浮かぶ。


モダン・プリンセスはアップル・シナモンのような、甘ったるくて人を酔わせる香りがする。
そのくせ、時間が経つと不意に優しいシャボンみたいに安心させる香りを漂わせてくるのだから、油断できない。
肌につけたあと、冬の装いで何重にも隠さなければいけない。外から露な場所につけてしまっては、強すぎて人を狂わせるのだ。

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