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東京かわら版 築コレ

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「築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした」 若手寄席芸人を紹介する、本誌では100回を迎える人気連載を掲載。 バックナンバーは随時更新予定。
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#東京かわら版

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした66 入船亭小辰

本日の取材場所は王子・飛鳥山。遊具の周りは子どもがいっぱい! 写真撮って大丈夫かなあ…  地元が大塚なので、飛鳥山はよく来ていました。この滑り台、もっと大きかった気がするけどなあ。高校の時は夜中にここまで走ってきたり、初めての稽古で師匠に「声が小さい、はなしにならない、稽古付けられない」って言われた時は都電側のがけの上から大声で演ってみたり、広場にある舞台に正座して稽古もしました。  実家は酒屋なんですけど、三代目は潰すっていう言葉の通りです。落語との出会いは大学の落語研究会

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした84 柳亭市弥

 今月のお客様・柳亭市弥さんと向かった先は渋谷の居酒屋「からから」。  ボーイスカウトの先輩方がよくここに連れてきてくれて、大学生の間ここでアルバイトをしてました。仲間との反省会(打上)でも顔を出したりしてます。  昔からお笑いが好きで、友達と漫才コンビを組んだりしていました。社会人になってからは大阪で広告代理店の営業をしてました。息抜きでお笑いを求めて、なんばグランド花月や、天満天神繁昌亭で落語に出会ったんです。東京に帰って来た時に、寄席でうちの師匠・市馬を見て、これはす

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした56 春風亭一蔵

2022年9月下席より真打に昇進する、春風亭一蔵、市弥改メ八代目柳亭小燕枝、小辰改メ十代目入船亭扇橋。 昇進を記念して3名の小誌掲載「築コレ」をアップいたします。 9月号と併せてお読みいただけると嬉しいです♪ (文章・プロフィールは掲載当時のママです) 一蔵さん(写真左)が仲間とゴキゲンな場所にいるよと誘ってくれた場所、そこは戸田の競艇場…。  いやー僕の思い出の地と言われたらここは外せないですよ。0歳の時から来てるんだから。ちょっと複雑な家庭環境だったんで、小学生までは

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした108 林家たま平

林家たま平さんと、浅草・尾張家本店で待ち合わせ。天ぷら蕎麦を食べながら幼少期の頃や、今後の事など、お話を伺いました。  高校3年生の12月頃に、大女将・海老名香葉子に「ちょっと話がある」と言われて、二人でここにきて「将来何になるんだ」と言われました。偶然隣の席が和菓子屋・亀十の旦那さんで、急に女将さんの手を握って「いい話を聞いた。俺が仲人になるから、坊っちゃん、噺家になってくれ」って言われ、周りから固められて、断れない状況が生まれました(笑)。  実は師匠の正蔵も、初代三平も

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした106 雷門音助

 今回は雷門音助さんが前座時代、毎日のように通っていた憩いの場所、野方の銭湯・上越泉へ。  この銭湯から徒歩1分の場所に住んでいました。おかみさんによくしていただきました。通っているうちに「落語やってるんです」って言ったら、おまんじゅうをくれたり、お総菜をくれたり。毎年大晦日も師匠の家の大掃除を終えて、ここの湯船につかっているうちに年を越していました。今日は久しぶりに来たんです。懐かしいな。  幼稚園から高校卒業までサッカー少年でした。父が指導コーチやシニアサッカーをやっ

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした104 柳家ほたる

江戸時代に建てられた土蔵がアートスペースとして併設されているカフェ、浅草のギャラリーエフで猫と遊んでるのは…柳家ほたるさん!  動物写真家・岩合光昭さんの猫のテレビ番組を見て、「猫、かわいい♡」ってノックアウトされました。それで、看板猫がいるお店を検索してたらエフさんが出てきたんです。行ってみたら銀次親分っていう猫がいきなり僕の膝をすりすりしてお出迎えっていう最高のおもてなしをしてくれて、もうメロメロ。それから猫にぞっこんです。  二ツ目になって時間が出来て、前からカメラが

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした103 鏡味味千代

お正月らしく、太神楽の鏡味味千代さんにご登場頂きました。思い出の地、国際基督教大学(ICU)でお話を伺いました。  海外志向が強くて、ICUに行けば海外に近い環境に身を置けるんじゃないかと思って、入学しました。リベラルアーツといって、教養学部しかなく、理数系の授業も選択科目で取れますし、全ての学問はつながってるという考えにも共感したんです。  卒業後の社会人だった当時は、海外に日本のことを紹介したいなと思って仕事をしていました。ある日、父に連れられて末広亭に行ったんです。「こ

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした102 林家なな子

林家なな子さんと相撲部屋で待ち合わせをしました。入門のきっかけの一つがここにあるようなので……  入門前は会社勤めをしていました。その頃から将来は自分の好きなことをして生計を立てたいなと考えていたんです。ここでぶつかり稽古を見ている時に、力士たちは人生をかけて相撲道に精進しているし、自分はそういう気持ちで仕事ができてるのかなと思いまして、今よりも情熱を注げる仕事があるのかもしれないと思ったんです。  初めて寄席に行って後に師匠となる正蔵を観た際に、客席がお花畑みたく、ブワァー

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした101 鈴々舎八ゑ馬

東京駅八重洲口のタクシー乗り場でうなだれているのは八ゑ馬さん?!  実はここで師匠・馬風を一時間半待たせてしまったことがあるんですよ。地方での仕事の後、師匠の息子さんが車で迎えに来てくださってたんですが、新幹線の出口からここまでの間に師匠を見失ってしまって…師匠は疲れと怒りから震えた声で「てめ~、何度帰ろうと思ったか、バカヤロ~!!」って。ほんとしくじってばかりです。この格好(上写真)で待つ師匠を見つけた時は…驚きとホッとしたのと笑いそうになったのと感動が入り混じった変な気持

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした100 一龍斎貞鏡

貞鏡さんが幼少期を過ごされた、笹塚にある公園「世田谷区立玉川上水緑道」でお話を伺いました。  小さな頃は古典芸能に興味がなく、講談にも触れずに育って来ました。義祖父の神田伯龍に可愛がってもらっている写真もありますが、意識していませんでした。  大学に進学し、20歳のとき初めて父が出演する「講談かぶら矢会」に行きました。そこで父の講談を初めて客席から聴き、とても格好良い姿に驚きました。また、女性の琴桜先生がとてもきれいで、華やかな世界にみえたこともあり、その場で「入門したい!!

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした99 入船亭遊京

今日は緑生い茂る井の頭恩賜公園で入船亭遊京さんとお散歩です。  井の頭公園ではよく歩きながら稽古したりしています。すっぽんとかザリガニとかたぬきとかいるんですよ。白塗りのオカマにナンパされたこともあります。大学在学中に入門のお許しをいただき、東京のことは全然わからなかったんですが、師匠の家と同じ沿線がいいということで、吉祥寺駅を降りてすぐの不動産屋さんで一番安いところに決めました。たまたま同じアパートに花いち兄さんが住んでいて、見習いの間に志ん松兄さんも入ってきました。寄席が

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした98 柳亭市楽

柳亭市楽さんと歌舞伎座で待ち合わせ。落語よりも先に歌舞伎を好きになったそうで…。  大学生の頃、学内の新聞に掲載されているプレゼントに歌舞伎のチケットが出ていて、応募する人が少ないようで出してみたら当選したんです。国立劇場の「三人吉三」だったんですけど、ストーリーが面白く好きになりました。それから勘三郎さんだ、コクーンだ、夏になれば納涼歌舞伎だとか観に行ってました。前座の頃、たまたま空いた時間があったんで幕見を見ようと歌舞伎座に着いたときに師匠から「お前、今どこにいる?」と電

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした97 笑福亭竹三

雨上がりの新宿末広亭楽屋口、やって来たのは笑福亭竹三さん。  ここで入門をお願いした日は大雨で、傘をさしながら師匠が出てくるのを待ってました。でも弟子入りすんのに傘持ってんのは絶対失礼や、って持ってた傘ばっと捨ててね。雨に打たれながら「師匠弟子入りさしてください!」って来たら誰だって怖いと思うんですけど、「ああ、いいよ」って、こんなにあっさりとってもらえるもんなんだってびっくりしながらも少し拍子抜けしました。でもその後鶴光一門は弟子面接というのがありまして、私もひとりずつ会っ

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした96 三遊亭わん丈

三遊亭わん丈さんが弟子入り志願中からお世話になっていたという、代田橋の絹屋呉服店に向かいました。  前座修業が辛いと聞いていたので、きつい仕事をして身体を慣れさせようと思い、全国で二番目に忙しいと言われている立ち食いそば屋、新宿駅地下の「箱根そば本陣」で半年程働きました。リーダー的な先輩が可愛がってくれて、ご飯を食べさせてくれたりしました。奥様がたまたま呉服屋の社長で、ご夫妻には今でもお世話になっているんです。  滋賀県で生まれ育って、大学進学で九州に行ってるんです。そこで