【言えないホンネ】ペットのように外国人を雇う会社がいるって話
「外国人はなるべく雇いたくない」
今時、この一言は企業人事にとってはタブーです。
どれくらいタブーかって言えば
「名前を呼んではいけないあの人」くらいタブーじゃないでしょうか?
この発言を一発放ったら最後、訴えられたら負けます。だから、いい大人の皆さんはあれこれ「合理的な理由」をつけて断るのですが、海外就活する側なら何故企業がそんなふうに思うのか知りたいですよね?
理由は簡単です。
「外国人材は会社で長く働いてくれない可能性が高いから」
統計をとっても外国人材は一つの会社に平均3年強しか働いてくれません。
でもそれじゃあ困るんです
リクルートへの掲載費用
面接用のペーパーテストの利用代
面接に参加してもらった社員の人件費
こんな風に採用の裏でお金がかかっているので、企業は「できれば4-5年働いてくれよ」とマジで考えてます。そして期待して雇って、辞められて...これを繰り返すうちにイヤになっていくんですよね。
でもこれだけ聞いてると求職者側は「いや、それは差別だから法律とかで規制すればいいんじゃね?」とか思いますよね。
そうもいかないんです。
規制したら雇いだすわけでもないんですよ。
これは実際に外国人を雇ってみて、辞められて、採用を辞めていった企業側のストーリーを学べばわかると思います。
なので、今日はある企業(前職)の事例を元に外国人採用をしていた会社がしなくなる理由をお話ししようと思います。
今回は前編。むしろなんの明確な理由もなしに雇おうとしていた企業の思惑をお話しします。
外国人新卒を雇う=正義の時期がありました
前提として、私は外国人を雇う会社で働いていた現地人(=日本人)の立場でした。そのため海外就活を考えてる人たちは「現地の人事たちは本音ではこんなこと考えてるんだなぁ」と思ってほしいです。
口が裂けても実際の彼らはこんな赤裸々な話しないので参考になると思います。だって言ったら訴えられるから。
外国人採用=「カッコいい会社」と思い込む
前書きから夢をぶっ壊すえげつないこと書いてますが、何も最初から私の企業は外国人採用を否定していたわけではありません。むしろ最初は多様性を盲信して、「なんかいいんじゃね?」と考えてました。
だって、そうでしょ?私の前職はベンチャーIT企業でしたが、ベンチャーIT企業にはなんかいそうじゃないですか?
こう...多様な人たちがね!
という事で我々は外国人も雇おうということになったのです。折しもその頃、我々が出展している就活フェアのブースに2人の外国人が現れました。
ドイツ人Aさん: ドイツの日本語学科卒業。現在言語学校の学生。
アメリカ人Bさん:アメリカの国際文化学科卒業。現在、大学院留学で日本の大学に通う。
日本語はペラペラでN1という語学の最高位の資格を持つ2人ですが、なかなか仕事を見つけられずに困っているとのこと。
そこで人事は閃きました。
「あっ!この子達を育てて、海外人材にすればいいんじゃね??将来的には俺たちも海外進出したいし!キャピっ!それに日本語こんなにできるってことは頭いいはず!」
こうして、仕事が見つからない新卒の外国人の若者と、すごい外国人材を雇うほどの金がない、しかし外国人は欲しい(ポケモン感覚)の我が社の思惑は一致。無事入社となりました。
で、結果は以下の通り。
全然使えねーじゃん!
はい。全然思った通り働いてもらえませんでした。でもそれはそのはず。
教育担当者は日本語しか話せない、しかも教育用の資料まで全て日本語で書いてあるのです。これでは日本の大学で教育を受けてきた日本人の新卒と外国人社員だと成長に差が出ます。
電話の取り継ぎ業務だって、普通だと2-3日でできるようになりますが、彼らだと1週間かかるのです。
でもそれが普通、いやむしろ日本語はある程度できる分、7日で受け答えできるようになるのは優秀な部類です。
しかし、日本人の新卒と比べてしまう現場は困りました。
現場は不平不満をぶつけます。しかし、そのうち外国人人材側も不満を強めていくのでした。
全然キャリアアップねーじゃん!
3年くらい経った頃、外国人新人と日本人新人の間には大きな待遇の差ができていました。優秀な日本人の新人はスタッフ→リーダー→サブマネージャーと出世し、年収500万くらい稼いでいます。
しかし、外国人社員達は...スタッフのまま。年収も380万円です。彼らも20代後半になってきて焦り始めてきました。
「ホ、ホントウにこのままで大丈夫なのか?」
しかし、出世しない理由も明確なのです。まずリーダーに上がるためには自分で契約書をお客さんと締結する必要がありますが、その業務に中には契約書の修正作業も入ります。
いくら日本語が話せるとは言え、難しい法文書を交渉するほどの語学力は彼らにはありません。いくら勉強してもネイティブの日本人との間に差が開いていきました。
ここを乗り換えても壁は続きます。サブマネージャーになるには部下のマネージメントも必要になるのですが、日本人の部下にどのような教育をすればいいか彼らはメソッドも知りません。部活や先輩後輩などの日本の社会文化をバックボーンに持たない彼らには後輩へのサポートですら新しい勉強なのです。
次第に彼らはスタッフとしての雑務だけをやるように指示されて、窓際扱いになっていきました。
そして彼らも気がつきます。
こうして満三年を経て彼らは会社を退職。Aさんは母国ドイツに帰り、Bさんは米国系の日本法人に転職しました。
会社はなんとなくかっこいいから彼らを呼んで使い潰してしまったのです。
外国人は客寄せパンダですか?
こうして私の前職が雇った初の外国人社員は統計と同じようにピッタリ3年で去っていきました。
会社側も「あいつら使い道ないしなー」と思ってるし、外国人社員側も「もう、ここにいたらキャリア死んじゃう!」と思って出ていったので、みんな不幸になるエンドでした。
本当にひどい。
こんなことになったのは外国人社員を客寄せパンダくらいの感覚で雇った企業側にも原因があります。
「外国人雇ったらなんか多様性ある会社に見えるじゃん!」くらいの感覚で雇ったので、彼らのキャリア育成なんてものは考えていませんでした。
結果彼らが活躍したのは
・採用ホームページのオフィス写真(外国人居てカッコいい)
・新商品発表の時のイメージ写真(外国人がアプリ触っててかっこいい)
くらいだったのです。
だったら外国人モデルをその時使えばいいじゃんと思ったあなた、その通りです。
実は、どうしても世の中には外国人社員を活かせない業務をしてる会社があります。いや、むしろそちらの方が多い。8割くらいの会社は外国人である価値を活かせないのです。これはおそらくどの国でも該当することです。
だから私は海外就活には否定的な意見を持っています。お金を稼ぐ手段と仕事を見た時、海外就活はその可能性を大きく狭めます。あえてそれを選ぶのはAさんやBさんのようになることを繰り返すだけなんじゃないかと思うのです。
さて、エッセイも長くなってきました。
このあとうちの会社がどうなったのかに関してはまた別の機会にお話ししましょう。
それでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?