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一番過酷な旅、ください(前編)

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私だって、普通の女の子みたいなおしゃれな旅をしたい。
ボリビアは物価が安いから、一番高級な長距離バスを選んでも三千円。

食事、ドリンク、エアコン付き
リクライニングシート
映画が見れて、
二階建てバスで眺めも良くて、
トイレまでついちゃう。

でも、私のバスには上記のいずれもない。

ボリビアに着き「今日のスクレ行のバスチケットを下さい」と窓口を回りましたらば、良さげなバス会社のは全て売切れ。

やたら若者ばかりが受付をしているちゃらいバス会社をたずねると、上記の条件をいずれも満たさないが、当日発のバスが一席だけ空席と。

私は知っているんだよ。オンボロバスが直射日光の蒸し風呂状態であることも、しょっちゅう故障することも、雨が降って道が悪くなると20時間の予定が4日になることも、女も野外お手洗いが当たり前になることも、全部全部知っていた上で

「その一番安くて過酷なバス一席下さい」

言ってしまった。なんで私はいつもこうなんだ。もっと普通の女の子みたいにショッピングや美容やお洒落な旅に興味を持てないんだ。

車内が10年分くらいの土埃に満たされた、一度も掃除してなさそうなオンボロバスは、不安なエンジン音を上げながら、私を乗せて出発したのでした。

→次回へ続く

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