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「40代からの認知症予防」を読みました - 糖質の功罪

高城剛さんの最新著作、「40代からの認知症予防」を読みました。

本の中では、食、口腔内環境、アミロイドβ仮説、再生医療、歩行、サイトカイン療法、などから見る認知症予防について説明されています。
全体を通してとても新たな知見に溢れており楽しめましたが、ここでは「食」について言及してみたいと思います。

エネルギー

食が認知症に影響しているなんて普段考えつかないことかもしれないですが、人間は消化吸収したできたもので身体ができているので、脳という器官も例外ではないようです。

食の章では、菫ホームクリニック院長の小田行一郎先生が「糖質制限」について説明しています。
今ではダイエットからがん治療まで様々な領域で実践されている「糖質制限」だが、元々糖尿病治療の一環として用いられ、インスリン抵抗性を起こさず血糖値コントロールができる有用な手法ということです。

しかも、糖質制限によってブドウ糖の供給が途絶えれば、エネルギー回路は脂肪酸-ケトン体経路に変わる。ケトン体は脳のエネルギーになり抗酸化作用が高く、体内の臓器を保護するなどさまざまなメリットがある

高城剛. 40代からの認知症予防
(NEXTRAVELER BOOKS) (Japanese Edition) (p.9). NEXTRAVELER BOOKS. Kindle 版.

このあたりはまだ私も勉強中なのですが、エネルギー回路としては肝臓・筋肉のグリコーゲン利用と糖新生もあるので、この脂肪酸ーケトン体回路を回せるようにするためにはこれら他の2つはどう影響するのでしょうかね。
しかしながら、糖質が入らないことで血糖値の上下による頭の働かない感じなどがなくなるなら個人的にはとても有用だと思いました。

糖と認知症

現代人は10万年前から0・5%も遺伝子は変わっていませんが、狩猟採集によるケトン体中心だったところから、ティグリス・ユーフラテス川流域で始まった小麦の栽培により糖中心のエネルギー利用に変わり、これが数千年前です。この短い期間では人間の遺伝子や身体機能は大きくは変わりません。
過剰な糖と認知症の関係も深く、最近ではアルツハイマー型認知症を「3型糖尿病」と呼ぶ。

高血糖が続くことによる血管障害から動脈硬化が進行し、糖尿病患者はアルツハイマー型で1.5倍、脳血管性認知症に2.5倍かかりやすいという報告がされているようです。
私の周りでも認知症になった家族はやたらと甘い物や白米をたくさん食べる、というようなことも耳にするので、納得です。

1食20g、1日60g

小田先生は糖質摂取量を1食20g、1日60gあたりにするのが良いと言及しています。
消費者庁が作成した「栄養素等表示基準値(2015)」によると、日本人における1日あたりの炭水化物の目標摂取量は320gとなっているので、1日60gは糖質摂取量を 1/5 に減らすということなので、かなり大変です。
1食40gからスタートでも良いとの言及がされていますが、それでもご飯茶碗で2/3程度。魚や肉野菜など副菜を増やすのが良いのでしょうが、現代食に慣れた人にとってはかなりの手間と負担になりますね。
そう考えると、雑穀米で嵩増しするというのも良い気もしてきます。

血糖値スパイク

認知症で怒りっぽい症状が現れる人がいますが、血糖値スパイクによる低血糖も関係していると思うとの言及がありました。
血糖値スパイクが起こり、低血糖になりる血糖値維持のためにノルアドレナリン、アドレナリン、などのホルモンが分泌され、怒りっぽくなったりイライラすることが多くなるので納得のいくところです。
フリースタイルリブレなどで血糖値をチェックして血糖値スパイクを抑えたいところです。

まとめ

その他として、認知症の患者の中にカンジタによる腸内環境の悪化した人の多さ、プロトンポンプ阻害薬による胃酸分泌低下でミネラルの吸収悪化やSIBO、ビタミンB系の不足、などにも言及されており、副腎疲労と呼ばれる慢性疲労などと似ている点が見られますね。まさに現代病というやつなのでしょう。

参考

小田先生が2012年頃から、糖質制限を提唱されていた江部康二先生の本屋ネットで勉強し始めたと仰っていますが、確かに google trends を見ると2012年頃から検索が増えていますね。

https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=all&geo=JP&q=%E7%B3%96%E8%B3%AA%E5%88%B6%E9%99%90&hl=ja


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