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『男はつらいよ19 寅次郎と殿様』と『ルパン三世』6-19「フェイクが嘘を呼ぶ 後篇」/世文見聞録20

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第19作『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(前半部)

木暮林太郎:寅次郎以外の人物が「タイトルロール」になるのは初めてじゃないか?

川口世文:「殿様」のこと? 確かにそうかもしれない。池ノ内青観の時でさえ「寅次郎と画家」じゃなかった。

木暮:夢のシーンが『鞍馬天狗』で、嵐寛寿郎に対する敬意は並々ならぬものがある。「武将」を演じられる俳優はいても「殿様」を演じられる俳優はもういないかも。

川口:今回は完全に寅が「殿様」に惚れられる話だな。その分、マドンナが割を食っている。

木暮:割を食ったといえば「犬のトラ」だよ。あのあとどうなったんだろう? 今なら問題だぞ、あの扱いは。

川口:レギュラーにしてもよかったのにな。今回はまず「こいのぼり」の騒動があって、それでも寅さんは出ていかなかったのに、そこに「犬のトラ」の話が加わって、いよいよ堪忍袋の緒が切れる。

木暮:どっちも寅さんが悪くないパターンだよな。おばちゃんの「失言」が多すぎるんだ。

川口:「トラ」って名付けたのは源公だっていうんだから彼のせいにすればよかったのに。

木暮:すっかりみんな「学」がなくなっちゃった(笑)。

川口:短い「小咄《こばなし》」を二本やって、さっさと本題に入った感じだね。その後、四国ですぐに殿様と会うのかと思いきや、マドンナに会うのが先だった。

木暮:マドンナに鮎をサービスしたりして、五百円札一枚の金欠になったのが、殿様と出会うきっかけになる。この時点で二人の関係はわかっていないんだよね。

川口:二人の関係が判明する展開は、ご都合主義だとは思うけど、そこでダラダラすれ違っても仕方がない。

木暮:執事の三木のり平とか長男の平田昭彦とか、脇役も豪華で、これまた嵐寛寿郎がもうちょっと若かったら『釣りバカ日誌』の先駆けになっていたかもしれない。

○『ルパン三世パート6』第20話

川口:いよいよルパンが完全に脇役になってしまって、どうなるのかと思いきや、意外に謎が深まってきた。

木暮:あの八咫烏《やたがらす》というキャラは人気があるのかな? 彼のスピンオフみたいになってきたぞ。

川口:銭形側に“チーム”を作ろうとするのは面白い試みだけど、終盤になっていきなり浮上してきたアイディアだし、あのアリーという女性捜査官も今後レギュラーとして残るとは思えない。

木暮:「ルパン対ホームズ」の時もそうだったけど、もう少し世界観を広げていきたいのかな?

川口:「ルパン三世バース」ってこと? それなら銭形のチームは『警部銭形』に準拠してほしかった。

木暮:そういえばそんなのあったな? それはともかくトモエには“教え子”が多い。それもまた「ルパン三世バース」の一つか(笑)。

川口:しかもルパン以外は女性ばかりなんだよね。彼女たちがトモエの“母性”を奪い合う話になるのかもな。

木暮:ディープフェイクの話も一話限りのアイディアだったし、以前の「ルパンシステム」もそうだったけど、テクノロジー関連のテーマは掘り下げられないんだな。

川口:それはパート5でやったからだろう。

木暮:結局、パート6のテーマは何なんだ?

川口:ひょっとすると“血”かもしれないなという気がしてきた──“血縁”という意味での“血”ね。単なる思いつきだけど、血液の“赤”がいちばん目立つ配色は“緑”なんだよ。いわゆる「補色」ってやつ。

木暮:おお、なるほど……“青”じゃないんだな。

川口:そうそう。だから最終回では誰かの血が“緑ジャケット”をパーッと真っ赤に染める。

木暮:それがいったい誰の血なのかって謎だな? そういうことなら、やっぱり“期待”しちゃうな(笑)。


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