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『男はつらいよ18 寅次郎純情詩集』と『ルパン三世』6-18「フェイクが嘘を呼ぶ 前篇」/世文見聞録19

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第18作『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』(前半部)

木暮林太郎:夢のシーンは「アラビアのトランス」。一つ気づいたんだけど、寅さんは結構映画を観ているよな。そうじゃなきゃ、こんな夢は見ないだろ?

川口世文:少なくとも映画館で居眠りはしている。睡眠学習で内容を憶えているのかもな。今回は早々に満男の小学校の先生が家庭訪問に来る。

木暮:マドンナその1(娘)だね。ポスターや宣伝で誰が出演するか事前にわかってしまうけど、今回ばかりは予備知識無しに見たら面白かっただろうね。

川口:「満男」の存在が機能しはじめたのが面白い。博も息子の将来のこととなっては、一言いわずにおけない。

木暮:夕飯も食えずに出ていった寅さんが寂しく秋の旅をしているあいだにマドンナその2(母)が退院する。

川口:中間部はそれだけなのかと思いきや「坂東鶴八郎一座」との再会があるんだよな。

木暮:例の“5000円”の劇団だろ? 「車先生!」なんて散々持ち上げていたけど、そんなに寅さんが金を持っている風に見えたのかね?

川口:観ていてヒヤヒヤしたな……案の定、さくらが遠出をするハメになる。別所温泉って長野にあるんだな。

木暮:ただ話はそれだけじゃない。一座が演じる「不如帰《ほととぎす》」の舞台が結末を暗示しているんだ。

川口:こういうパターンは今までなかった──「満男」だけでなく「一座」の存在も十分機能しているんだな。

木暮:シリーズとしてネタ切れにならなかった理由は、こういうところにあったのかも。

川口:ここまでが「前半」なんだろうけど、「後半」の導入もうまい。マドンナその1(娘)は若すぎる。「仮にお母さんがいたとして……」とさくらにいわせてしまう。

木暮:そこにすかさずマドンナその2(母)が登場する展開は、見事に「仕掛け」が炸裂していたなあ(笑)。

○『ルパン三世パート6』第19話

川口:「ウィッチ・アンド・ジェントルマン」のおそらくは中間部となる前後編。後篇を観ないことには何ともいえないけど、正直、あまり話が進まない。

木暮:例によってキャラデザインに魅力がないヘイゼルって女性議員もルパンと“ワケアリ”じゃなかったしな。

川口:単に“トモエ”が家庭教師をやっていただけだ。

木暮:ケバブが名物だから「コトルニカ共和国」っていうのはトルコあたりのイメージなのかな? “トモエ”の活動範囲はずいぶん広かったんだな。

川口:それって何だか〈公文《くもん》〉みたいだろ?

木暮:どういう意味?

川口:いや、“トモエ”のネーミングは〈トモエ算盤《そろばん》〉から来ているんじゃないかと、ふと思ってさ。

木暮:敵は「国際秘密“学習”組織」だっていうのか?

川口:今回はルパンがスケボーに乗って、名探偵コナンみたいな雰囲気もあったから、そこからの発想で……。

木暮:来週“トライさん”が出てきたら、真面目にその仮説を検討してやろう(笑)。

川口:しかし──今回の話でいちばん重要なのはそんなところじゃない!

木暮:何だよ、急にエラそうに。ラストで唐突に銭形が罠にハマったところだっていうんだろ?

川口:いやいや、今更、銭形が“濡れ衣”を着せられたぐらいでドキドキするか?

木暮:じゃあ、何だよ?

川口:ルパンと“トモエ”の関係性が振り出しに戻ったってことだよ。

木暮:まあ、確かにそれはそうだったね。

川口:そこまでやるからには“トモエ”の驚愕の正体について、期待してもいいってことだろ?

木暮:おいおい、“期待”って言葉はここじゃ禁句だぞ。


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