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『男はつらいよ17 寅次郎夕焼け小焼け』と『ルパン三世』6-17「0.1秒に懸けろ」/世文見聞録18

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第17作『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(前半部)

木暮林太郎:夢のシーンは明らかに『ジョーズ』。きっと寅さんもどこかで観たんだな。下半身を食いちぎられた源公の“切断面”にぼかしが入っていた(笑)。

川口世文:カッコよくサングラスをかけて、船の名前が“タイガー2”。さくらも食われて脚だけになっちゃう。

木暮:一方で満男の小学校の“入学式”に絡む展開はさほど話が膨らまなかったな。寅さんもすぐに気づくし、「懐は旅先」にもかかわらず入学祝いを包んでやろうとするし……今回の寅さんはあんまり金に困っていない。

川口:さくらが余計な一言さえいわなければケンカにもならなかっただろうね。むしろ上野の飲み屋で池ノ内青観《せいかん》と出会うきっかけとして機能している。

木暮:浮世離れした高名な画家というキャラは本格的に“古典落語”っぽいね。朝からおばちゃんに薪で風呂を焚かせたり、おいちゃんに説教されながらも、六千円のうなぎを食って帰ってきたり。「宿屋じゃなかったのか」と気づくシーンがいい。

川口:落語でいうと“左甚五郎モノ”だよね。好き勝手やっておきながら、さらさらと書いた「宝珠」の落書きが神田の〈大雅堂〉で7万円で売れる。

木暮:結局、満男が持っていた「二枚目」が破れちゃったことからケンカになって、とらやを出ていっちゃう。

川口:1時間ドラマ1話分の分量と構成になっている。しかも龍野《たつの》で再会して、豪遊するきっかけを作り、マドンナのぼたんとも出会わせてくれる。

木暮:こういうキャラが準レギュラーになっていたら面白かったかもな。寅さんのお株を奪うような存在で、御前様や博の父親とは対照的。寅さん自身の父親もこんな感じだったんじゃないかと思わせる……。

川口:そうかもしれないね。宇野重吉がその気になったら、『釣りバカ日誌』の先駆けになっていたかもなあ。

○『ルパン三世パート6』第18話

川口:今回は二本立てだけど、来週はサッカーで放送しないので、今週はその前半についてだけ語っておこう。

木暮:北京オリンピックの影響のわけがなかった(笑)。

川口:やっぱり「全員集合○○作戦」的な話は面白い。この話がいちばん“緑ジャケット”っぽかったかもな。

木暮:ずっとあの“宣伝カー”が気になっていて、最後の伏線かなと思ったら、しっかりそうなってくれてた。

川口:「ルパンシステム」に「ルパンチャレンジ」で対抗する展開もファーストシリーズへのオマージュぽいし。

木暮:ただ、厳密にいうとルパンは「ルパンシステム」を破っていないよな? システムは機能していても、彼らを捕まえる人間のほうが対応できなかっただけで。

川口:そうそう。見つけた時点で“麻酔銃”でも発射するようにすればいいんだ。そういう意味で今回だけのアイディアのするのはもったいない。どんどん難度を上げていって“3部作”にしてもいいくらいだ。

木暮:しかし、そうするには今回も“女性キャラ”が弱いんだな……動機づけはともかく、キャラデザインが。

川口:毎回そこにこだわるな。

木暮:そこは“こだわりどころ”だろ? どうもモブキャラっぽいんだよな。設定としては頭も切れて二面性もあって、ちょっとした不二子のライバルになるのに。

川口:おれは「ルパンシステム」のほうに未練がある。

木暮:しかしまあ、どっちも今回かぎりなんだろうな。

川口:それでも“緑ジャケット”に相応しい話に微調整してきたのは歓迎する。次回はまた「ウィッチ」の話のつづきっぽいけど、そのままファーストシリーズの第1話につづく展開になったら、おれはきっと“うなる”ね。

木暮:それじゃ、まるで“メビウスの輪”じゃないか?

川口:“ミスターX”が再登場してくれないかな? 最終回のサブタイトルは──「ルパンは今も燃えている」!


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