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変化する役割も、嫌いな会議もまずは何でもやってみる/ 吉祥寺店 店長 磯部

 私たちトーキョーバイクは、街を楽しむための自転車をつくっている会社です。(詳しくは自己紹介をごらんください)
この連載「トーキョーバイクのひと」では、私たちの自転車が皆様のお手元に届くまで関わっている全スタッフを一人ずつご紹介します。

第14回目は吉祥寺店店長の磯部さん。定型のミーティングはせず雑談の中で拾ったスタッフの声から日々の業務を進めるスタイルや、スタッフのミスやその後のお客さまへのフォローで心がけていることを話してくれました。

磯部 昇吾(いそべ しょうご)
東京サイクルデザイン専門学校在学中にトーキョーバイクでアルバイトを始める。谷中店メカニック、高円寺店副店長を経て、2020年春の高円寺→吉祥寺への移転プロジェクトを引っ張り、現在は吉祥寺店店長。

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入社後、どんどん役割が変わる濃い毎日

ーー専門学校を卒業後、入社して4年目ですね

自転車は好きだったので、どこかに入社して長くやりたいなとは思っていましたが、トーキョーバイクにこんなにいることになるとは思っていなかったですね。前はもっと自転車屋さんが好きだったし、色々なブランドの自転車を扱えるところがいいかなと思うこともあったので。

もう4年目だなんて、ちょっとびっくりはしますね。あっという間ですけど、結構濃い時間でした。

ーー入社後のメカニック修行を経て、副店長になって、この春からは店長。どんどん役割が変化してきましたね。店長になって10ヶ月、仕事の内容は以前と変わりましたか?

それまでメカニック業務が一番でしたが、以前に比べるとパソコンに向かうことが多くなりました。メールのやり取りが増えたり、売上を見るようになったり。

ーーマネジメント業務の時間が増えたんですね。売上は何を見ているんですか?

全体の金額、その中で何が売れているのか、吉祥寺店では売れていないけど他店舗で売れているもの、なんかを見たりします。

売上を見るのは面白いけど、結構悔しい時が多いかもしれません。やっぱり他店舗に勝ちたいなと思うので。ずっとサッカーをやっていたこともあって、基本的に負けたくないんですよね。

ーー谷中店や中目黒店の店長とはどういう関係ですか?

週に一度程度、Zoomで店長会をしています。各店で起きた出来事や売上の話、情報交換をする場です。

他の店長をあまり意識したことはないですが、ライバルではないですね。チームだと思っています。その中で競っている存在。同じサッカーチームでポジション争いをしている感じでしょうか。

でも、他の2人がめっちゃライバルだと思っていたらどうしよう・・・。

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商品の背景を知るために嫌いな会議も参加する

ーー以前、磯部さんが「会議が嫌い」と話していたのが印象的でした。それは今も変わりませんか?

前は、そんなに話が進まないのに会議をする意味がわからなかったので、嫌でした。僕いる意味あるのかな?と思ったり、決まった結論を聞くだけなら別にいいやって。今はちょっと変わってきましたけど・・・。

最近は顔を合わせることが少なくなったので、逆に顔を見て話すのは大事だなと感じます。でもやっぱり、あんまり出たくはないですね・・・。

ーーあまり会議が好きではない磯部さんが、オープン参加できる全社マーケティング会議には、よく参加していますよね

今年トーキョーバイクでは社内の情報共有の仕組みに変更があり、以前より様々な情報がオープンに公開されるようになりました。メールよりSlackの活用を増やしたことで違う部署の議論が見えるようになり、Zoom会議は録画して公開、会議もオープン参加型のものが増えました

会社内で進んでいる新しい企画については、知りたいので聞いてます。結構重要ですよね。直営店として聞いておきたい。

全社マーケティング会議では、新商品の企画が立ち上がる瞬間や、リリース直前の商品名が決まるプロセスを知ることができます。何も背景を知らずに「新しく出る商品なので明日から扱ってください」と言われるより、発売までのプロセスを知っていれば売る方も違うじゃないですか。だから聞いておきたい。

最初に参加したのは、ただの興味本位でしたけど・・・。時間があった時に録音を聞いてみたら、意外と面白くて。

この人はちゃんと意見するけど、あんまり喋らない人もいるんだなとか、参加している人達を見たりもしていますね。

雑談の中から、アイデアを形に移していく

ーー店長として、吉祥寺店はどんなチームですか?

家族みたいな感じですかね。変な気を遣ったりしないで話せるし、一緒にいても全然嫌じゃない。上司部下という感じではないです。

言いたいことは互いに言っていると思います。僕は思ったことは口にするタイプなので、そのために特に意識したりはしてないんですけど。

店舗としての取り組みや発信についてのアイデアも、話す時間を決めているわけじゃなく、普通に雑談の中から出てきます。かっちりしたミーティングはやったことがないかもしれないです・・・。

今月はこういう傾向があったよねというような月の振り返りも、立ち話のついでという感じです。思った時にする感じですね。

ーー”ミーティング”という形ではしないんですね。雑談内で次のステップが決まらないことはないんですか?

話した内容を保留にすることはあまりないです。その日に決めて行動まで出来そうなら、やっちゃいます。決まらないことはあんまりないかもしれない。すぐ決めちゃうんですよね。

例えば店舗のディスプレイやオペレーションの変更は、やってダメだったら戻せばいいやと思ってるんです。だからとりあえず何でもやっちゃいますね。そこは他店舗とは少し違うのかもしれないです。

ちゃんと話し合っていつまでにこうしようとは、あまり考えたことがないですね。計画性がないと言ったら、ないのかもしれないけど。

出来ることなら、何でも早くやっておきたいなと思います。

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スタッフのミスのフォローや、お客さま対応での心がけ

ーースタッフとは互いに何でも言い合える関係とのことでしたが、仕事に関する指摘など少し言いにくいことも言い合えるんですか?

そうですね。接客のことで、気になったことも伝え合います。ただそういう時、僕はちょっと明るめな感じで伝えます。真面目なトーンでマイナスなことを言われたら、誰も気持ち良くないじゃないですか。そこは考えてるかもしれません。

それに何かあったとしても、だいたいのことはどうにかなるじゃないですか。だから「次、気をつけましょう!」と言うことが多いですね。

ーーお客さまにご迷惑をおかけするミスがあれば、お客さまに電話をしてフォローをするのも店長の役目ですよね。それから販売後の自転車に何かあった時、お客さまからいただくお電話に対応するのも店長ですよね。

そうですね。初めての時は緊張しました・・・。

初めて僕が対応したのは、お子様用の自転車のlittle tokyobikeをご購入いただいたお客さまからのお電話でした。「自転車が無事に届きました。でも販売時についていると説明された手押し棒がついていないんですが・・・」という内容でした。

手押し棒というのは、まだお子さん自身ではペダルを回せない時に、親御さんが自転車を押してあげられるようにするパーツです。これはオプションパーツなので、お客さまが必要であれば追加でご注文いただき取り付けるものです。ただ説明はできるように、店頭の試乗用自転車には見本として取り付けてあるんです。

それを勘違いしたスタッフが、お客さまに聞かれた時に「もともと付いているパーツです」と説明した上で販売してしまっていたんです。

そのお電話を受けてすぐ取り付けに御宅まで向かったら、こちらの不手際なのにすごく温かい対応で迎え入れてくれたんです。寒い時期だったんですが、家の中で作業をさせてくれてジュースまでいただいて。

最初の体験がそういう形だったので、毎回ほどよい緊張感はありますけど、できれば行きたくないということはないですね。こちらがご迷惑をかけていることが大半ですし。

もちろんめちゃくちゃ怒られたこともあります。直接ご来店されたお客さまだったので、その時は心臓がばくばくでした。ただちゃんと説明をすれば、わかっていただけるお客さまが多いんです。そのお客さまも帰り際には空気入れを購入して、「また遊びに来るから」とおっしゃっていただいて、ほっとしました。

ーーそういう時は何を意識しているんですか?

お客さまのお話を聞くのが一番大事です。お客さまはこういう状況で困っていることを伝えたいからお電話したり来店されたりしているので、それをきちんと伺って冷静に答える。それだけを意識していますね。

お客さまからいただいた質問には、だいたいその場で答えます。品質に影響することは「生産管理部門と話してまたご連絡します」ということもありますが、基本的に言えることはその場でお話しします。

ファーストコンタクトが一番大事ですよね。なので最初にお話を伺って、その場で説明できることはお答えする。それから次の段取りをご相談するようにしています。

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好きなものと好きな時間

ーートーキョーバイクのラインアップの中で、好きなモデルはどれですか?

フレームだけの状態のものも含めて、家に9台自転車があるんです。その内数台はトーキョーバイクなんですけど、どれも好きなんですよね・・・。

家族に買うならTOKYOBIKE BISOU 26です。母と姉の顔がパッと浮かんだんですが、その二人に勧めるならこれですね。

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自分で乗るなら・・・いや、ほんと難しいです。他のスタッフはインタビューでこれです!って答えられてるんですか?

ーーお気に入りのオプションパーツはありますか?

たくさんあるなぁ・・・。ベルの中で1位、鍵の中で1位、カゴの中で1位とそれぞれあるので、難しいなぁ。

うーーん、総合1位はフロントラックかもしれないなぁ。僕が自分のTOKYOBIKE CS LIMITEDにつけているものです。

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これはPelago BICYCLES(ペラゴ・バイシクルズ)というヘルシンキで始まった自転車メーカーのものです。ヘルシンキという街を走るために作られた自転車ブランドで、コンセプトが僕らと通じていて好きなんです。

それにすごく気が利いてる作りなんです。通常は車軸止めしかないものが多く、そうすると限られた自転車にしか取り付けられないんですね。これはアタッチメントがあり、色々な自転車に対応しているんです。そういうものはなかなかないので、気が利いてるなと思います。

ーーここからは少しプライベートな質問です。暮らしの中で好きな時間はどんなことをしている時ですか?

断然飲みに行くことですね。それが一番楽しみです。だいたい人の話を聞いていることが多いんですけど、話すことも嫌いじゃないし、飲み屋の空間も好きだし。専門学校時代の友達としばらく前に会った時は、13時に集合して、終電で帰りました。6軒はしごしてました・・・。

あとは高校時代の男友達4、5人でもよく飲みに行きます。いつも行くのが巣鴨の中華屋さんです。激安でめちゃくちゃ量があるんです。飲んで食べて、一人3000円位でお腹一杯になります。

ーー自転車で行く場所で好きな場所や道、時間などはありますか?

高円寺店時代からの常連のお客さまに誘われて、何人かで山梨の方へ一緒に走りに行くことがあるんです。まず輪行して山梨まで行き、そこから自転車に乗って帰ってくるのは好きでしたね。自然の中を走るのは気持ちがいいなぁって。

夜の街中を走るのも大好きです。夜中の環七は一番楽しいですね。車も少ないのでスピードに乗りやすいですし、陸橋や線路をくぐったり変化もあるし。

それから意外とクネクネした道を走るのも好きです。くねくねに合わせて走ると、リズミカルに行けて楽しいんですよね。

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(取材・文)小西
(写真)橋原