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これまでとは異なるスケールで物事を捉える。松田法子「生環境構築史という視点」

「応答するアートプロジェクト|アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点」では、独自の視点から時代を見つめ、活動を展開している5名の実践者を招き、2011年からいまへと続くこの時代をどのように捉えているのか、これから必要となるものや心得るべきことについて、芹沢高志さんのナビゲートで伺っていきます。

第三回のゲストは、建築史・都市史研究者の松田法子さんです。松田さんは現在、地球に生存する人類の歴史とその未来を、構築様式(=Building Mode)という新しい歴史観からとらえ直そうとする「生環境構築史」を展開しています。

建築史の研究者として、熱海や別府の街区形成についても研究をしてきた松田さん。やはり2011年の東日本大震災と津波が、自身にとってもとても大きな出来事であったといいます。大きな津波が発生したとき、海岸線ー 汀(みぎわ)ーが移動したことで、その線が“いつも振れている”(今福龍太さんの言葉とのこと)ことを実感されたそうです。

汀(みぎわ)とは、異質なものが混ざりあう境界線であるともいえます。そして、都市が拡張していく場所は汀のようなところだったのではないか、そう考えた松田さんは、私たちがどのように都市をくみ上げてきて、現在どこにいるのかを、「地‐質から見る都市と集落」「汀の人文史」というテーマをもとに、大地との応答関係の中で考え、研究を進めてきました。
そしてその研究活動の中で、さまざまな専門家とともに立ち上げたのが、「生環境構築史」です。

この動画では、生環境構築史の成立過程や概念についても、詳しく語られています。またそのなかで、時間のスケールを伸ばして考えることや、どこに立って土地を見るのかといった、視点の重要さも語られています。

これまで私たちは、地球をある意味乗り物として捉えてきたのかもしれません。しかし、今日においては、そういった捉え方にも限界が出てきているのではないでしょうか。地球は、独自に構築運動をしているものであり、人間世界とは関係なく自分で動いている。私たちはその上に生環境を構築してきましたが、それをどのように構築してきたのか、そして今どういう段階にあるのかというところから、過去とこれからを同時に考えていく。人間が生きる環境に問いをたて、議論を作っていくことが必要なのだと、松田さんは語ります。

これまでとは別のスケールで物事を捉え、考えていく態度が、あらためて重要になってきています。

映像は前編(39分)・後編(40分)合わせて約80分です!
ぜひご覧ください。

<関連リンク>
「応答するアートプロジェクト|アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点」
視点1 港千尋:前に走ってうしろに蹴る
視点2 佐藤李青:3.11からの眺め
視点3 松田法子:生環境構築史という視点
視点4 若林朋子:企業・行政・NPOとの応答
視点5 相馬千秋:フェスティバルの変容

「新たな航路を切り開く」
来るべきアートプロジェクトの姿を探し求める、旅としてのプロジェクト