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モーリス・ユトリロ〜なぜアルコール依存症になったのか

モーリス・ユトリロはフランスの著名な画家で、特にパリ、とりわけモンマルトルの風景を描いた作品で知られています。彼のアルコール依存症は彼の生涯にわたる重要な側面ですが、その始まりには特筆すべき背景がありました。

モーリスは1883年にパリのモンマルトル地区で生まれます。2歳の頃、彼はてんかんの発作に見舞われ、その後も後遺症が残ってしまいます。モーリスの母、シュザンヌ・ヴァラドンは、彼が生まれた時からすでに画家として活動していました。8歳の時にモーリスは精神薄弱と診断されましたが、シュザンヌが精神病院への入院を嫌がったことで、代わりに彼の世話をシュザンヌの母のマドレーヌに託しました。この決定は、モーリスの後の人生に大きな影響を与えることとなります。

モーリスがアルコール依存症になったという説はいくつかあり、ひとつは、マドレーヌのアルコールへの好みが、彼にも影響を及ぼしたとい言う説。マドレーヌは酒を好み、「ワインは健康に良い」という信念を持っていたとされます。当時のフランスには、子供が3歳になると食事時にワインを少量与えても良いという風習があり、このような文化的背景もモーリスが幼い頃からアルコールに親しむきっかけとなったとも言われるのですが、筆者としては、別の説の方がしっくりくるので、そちらを推したいと思います。

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