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【過去ログ2017】ミュシャ展@新美にいってきました。

スラヴ叙事詩20点すべてが来日ということで、数年前から話題になっていたこの展覧会。いつものミュシャ展の美しいだけではなく、壮大なスラヴ愛のメッセージを絵に込めたそんな展覧会となってました。

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1回目の訪館

素晴らしかったです。
展示室に一歩入った時から、なんか日本じゃないところに来たんじゃないかって。サイズが大きい。それも枚数があれだけ揃っての展示は初めての体験でした。図録を先に買って読みながら見てましたが、歴史どうこうと言うより、絵から伝わってくるのはミュシャはスラヴが大好きだということ。その大好きなスラヴを後世に伝えたいということ。

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《故郷のスラヴ人》

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《ブルガリア皇帝シメオン》

絵画としても、どれも美しいし、色合い、構図も完璧。しかもモデルを立てただけあって描写も細かいしリアル。きっとものすごく絵がうまいんでしょうね。現代の漫画に通じるものがありました。(そのことは、後年、現代アートやマンガへの系譜的な展覧会が文化村で開かれたこともあり、間違ってなかったようです)

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《聖山アトス》

もともとそれはパリ時代からうまかったんですけど、装飾画やポスターのテーマなどの商業的な制約があったから、うまさがおもてに出てこなかったのかなと。名声を築けたし、結婚もした。あとは自分の描きたい題材を描くだけ。叙事詩はまさに残りの人生を賭けるだけの集大成だったのでは。

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《ロシアの農奴解放の日》

もちろん、パリ時代のポスターも見ました。数年前の森アーツ以来でしたが、相変わらず、こちらも素敵で、叙事詩とどっちがいいかと聞かれたら、困ってしまいます。

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《四つの花「カーネーション」》《四つの花「ユリ」》

次元が違うのは明らかに叙事詩ですけどね。
異次元を体験されたい方は是非。

2回目の訪館

3月以来二回目となるのですが、一回目ほどの感動はなく、途中までたらたらみていたのですが、これはまずいと思い、初めから絵画一枚一枚と対峙しながら時間かけて見直しました。

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《グリュンワルトの戦闘の後》

前回より混んではいるもの、サイズもでかいので、ほぼほぼ見えるのですが、下の方は人影で見えないので、ちゃんと見ようとすると近くにいった方がよいですね。前回からテレビ番組など絵の背景の情報量は多くなったもの、やはり色合い構図、ミュシャのメッセージは変わらず伝わってきました。

気に入ったのは、ベツレヘム礼拝堂で説教するヤンフス師を真ん中に置いた宗教三部作かなあ。特に右手の《クジーシュキでの集会》は構図のバランスが好きでした。

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《クジーシュキでの集会》

ただ、どの絵も全てよいので大きさといい内容の密度といい見ていて飽きませんでした。

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《スラヴの歴史の神格化》

パリ時代の絵も女性がこの上なくキレイに描かれていてよかったこれは場所が狭く見にくいですけど、せっかくですから是非みといてくださいね。

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《黄道十二宮》

まとめ

1日目で書いてますが、やはり異次元の展覧会です。展覧会通いは10年以上になりますが、スラヴ叙事詩の会場のインパクト、現実逃避感、絵への没入感という点でもダントツ一番です。今後、さすがに日本に来ることはないでしょうから、かなうならプラハでもう1回見てみたい連作です。

皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。