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【過去ログ2018】ロシア・ロマンティック@文化村&ロシア絵画の至宝展@東京富士美術館を見てきました。

同時期に渋谷と八王子で行われていたロシア絵画展。被ってる画家もいたので、2会場に行けてよかったです。各会場3点ほどずつ気になった作品を紹介していきます。

まずは渋谷会場から

イワン・クラムスコイの《花瓶のフロックス》。

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なんで、クラムスコイなら、《忘れえぬ女》でも、《月明かりの夜》でもないこの花の絵なのか。普通、花の絵ですと、写実的にカチッと描かれるか、印象派のようにささっと描かれるかの大きく2つに分かれると思うのですが、この絵は筆致は印象派よりであるものの花弁が解けるように描かれていて、絶妙の配色で、図録のキャプションにある通り、フロックスの肖像画に仕上がっています。いい表現ですね。花の肖像画って。

2枚目はミハイル・ゲルマーシェフの《雪が降った》。

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寒々とした雪が降りしきった庭先で、アヒルたちの帰ってくるのを待ちながら、タバコに火をつける農夫。絵に人が一人いるだけでも、その絵は物語になると思うんですよね。日常のコマではあるんですけど、その一コマが物語性を感じさせるいい絵です。

3枚目はイワン・シーシキンの《正午、モスクワ郊外》。

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抜けた草原、空にかかった入道雲。轍に溜まった水の描写は夕立ちのあとなのか、喋りながら歩いてる姿はロシアの短い夏を感じさせます。

八王子会場に参ります。

なんといっても、《第九の怒涛》。作者は、イワン・アイヴァゾフスキー。

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波の飛沫の表現も秀逸ですが、海面上の水の表現も秀逸過ぎます。ちょいとアイヴァゾフスキーの作品を調べ見ましたが、この人は、海の絵ばっかり描いてます。渋谷会場でもアイヴァゾフスキーの海の作品はあったのですが、サイズが小さくてそれほど気にならなかったんですが、八王子会場のは大画面です。しかも怒涛ですよ、波が怒ってます。海の絵しかも波飛沫を描かせたら第一人者だなって思いました。彼の作品は、大画面でみるに限ります。この絵を見るだけでも八王子会場に足を運ぶ甲斐はあります。

2作目はフョードル・ワシーリエフの《雪解け》。

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渋谷会場の《雪が降った》のような短編物語系の作品です。先が見えない抜けた草原を眼の前にして、どこへ行くのか。帰る場所はどこなのか。いろんなことを考えてしまう絵です。

最後はシーシキンの《森の細道》。

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少し、コローっぽい構図です。高い木々が生い茂るの中の細道。背の高い木々と人間を対比させる。森林の絵ならでは、縦長に切り取った黄金の構図。アイヴァゾフスキーが海の第一人者なら、シーシキンは森の第一人者のようです。ほぼほぼ、森の絵しか描いていません。そのシーシキンのいいところが詰まった作品です。

まとめ

なかなか粒が揃っているいい展覧会だと思いました。できれば、八王子にも足を伸ばして2つ見れるとロシア絵画のいい感じの作品がかなりコンプリートできます。

皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。