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難聴の鍼灸治療

疫学:音が聞こえにくくなった状態。聴覚経路の障害部位によって、伝音難聴と感音難聴(内耳性難聴、後迷路性難聴)に分類される。また、原因によって、騒音性難聴(職業性難聴、音響外傷)、中毒性難聴、遺伝性難聴、心因性難聴(機能性難聴)、気圧外傷などと分類されることもある。外耳および中耳の経路に原因がある場合を伝音難聴と呼び、内耳および内耳より高位の聴覚経路(聴神経、脳幹、皮質)に原因がある場合を感音難聴と呼ぶ。

原因:伝音難聴は先天性・後天性の外耳道閉鎖(狭窄)の外耳疾患、慢性中耳炎や耳管狭窄症、滲出性中耳炎、耳硬化症などの中耳疾患が多い。感音難聴の原因は多岐にわたり、ストレプトマイシンやアスピリン、シスプラチン、ループ利尿剤などによる薬害、騒音などによる音響外傷、頭部外傷、頸部外傷、メニエール病、突発性難聴、聴神経炎、ハント症候群、各種遺伝、梅毒などの感染性疾患、老化、糖尿病、頭蓋内疾患などがある。

注意点:感音難聴の場合は原疾患や外傷の有無、薬害の有無などを鑑別する必要がある。

一般的な治療法:原疾患の治療、外因・環境因子の改善および予防、ビタミン剤や漢方薬、ステロイド剤の投与、高圧酸素療法など。

当院の治療法:基本的には耳鳴りの治療と同じです。発症して1週間程度であれば、数回の施術で完治するケースが多いですが、発症してから時間が経過するほどに治癒率は下がります。翳風周囲と斜角筋付近への刺鍼が重要です。顎関節症が基礎疾患としてある場合は、顎への刺鍼も必須になることが多いです。顎関節症(食いしばり、歯ぎしり)がある場合は斜角筋や胸鎖乳突筋が収縮したり、交感神経が優位になって、自律神経に異常を来すことがあるため、顎への刺鍼も必須となります。

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