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仙腸関節障害(恥骨結合炎、腰痛、鼠径部痛、仙骨痛)の鍼灸治療

疫学:仙腸関節、恥骨結合に異常な可動性が生じ、難治の腰痛、仙腸関節痛、臀部の痛み、反復性のぎっくり腰、鼠径部の痛みなどが見られる。出産後に生じることもあり、重症の場合はQOLが著しく低下する。

原因:不明。

一般的な治療法:鎮痛薬、固定術(骨盤ベルト、オペ等)、ブロック注射、AKA博田法など。

当院の治療法:仙腸関節障害に由来する腰痛やぎっくり腰、臀部痛のある患者は少なくないようです。当院にも様々な治療を受けたが一向に改善しない、という患者がよく来院します。当院では、このような痛みを取るような独自の刺鍼が可能です。ぎっくり腰は通常1回の施術で動けるようにできるため、多くの患者がマジックだとか、ミラクルだとか、ゴッドハンドだ、などと驚きますが、最近増えているのは腸骨筋の異常収縮によるぎっくり腰です。一般的に、腸骨筋は腰痛に関係ないと思われているようですが、実際には大いに関係していて、腸骨筋へ刺鍼するとすぐに腰の痛みが消え、動けるようになります。稀に、重症の場合は、翌日または数日後に再治療が必要ですが、9割くらいの患者は1回で動けるようになります。仙腸関節には大殿筋が付着しているため、殿筋全体のコリが影響していることも当然ありますが、殿筋のみがぎっくり腰に影響することはまずあり得ません。ぎっくりは筋肉の異常収縮によるものと推察され、骨格筋であれば、理論上どこでも起こり得ますが、一般的にぎっくり腰を引き起こす筋肉は多裂筋、腰方形筋、大腰筋、腸骨筋のみです。大腰筋がぎっくり腰の原因となった場合は、大腰筋が横隔膜下部から大腿骨小転子に付着している影響で、咳をすると痛むことが多いです。逆に、咳をしても痛まないぎっくり腰の場合は、腸骨筋か多裂筋か腰方形筋が原因の可能性が高いです。もし、咳をしても痛くなくて、腰が前に曲がってしまったような場合は、腸骨筋が悪い場合が多いです。ちなみに、腸骨筋に刺鍼する場合、太さ0.4mm以上、長さ100~130mmほどの針が必要です。日本では販売されていないサイズですので、当院では中国で特注してもらっています。また、腸骨筋刺鍼は難易度が高く、大腿部へ得気が出るように、的確に刺鍼出来る鍼師は少ないようです。下手な鍼師が刺鍼すると、得気が感じられませんし、針が小腸へ刺さる危険性がありますし、なおかつ刺入速度が遅いと激烈な痛みに苦しむ時間が長くなり、地獄を見る可能性があります。腸骨筋は危険な部位に位置すると同時に、最も痛い刺鍼部位ですので、腕の良い鍼灸師に刺鍼してもらいましょう。ちなみに、腸骨筋由来のぎっくり腰を毎年何度も起こしていたような患者でも、定期的に腸骨筋へ刺鍼することにより、ぎっくり腰を起こす確率がかなり低下するか、ぎっくり腰を起こさなくなります。

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