未来予測と向き合う

BMIという言葉をご存知だろうか。
肥満度を表す方ではなく、Brain Machine Interface(BMI)という用語だ。
これは、脳情報を利用することで脳と機械を直接つなぐ技術のことを指す。
もう少し説明すると(超ざっくりではあるが)、体の中に機械を埋め込み、それを通して例えばアーム補助装置を動かしたり電気を消したいと思えば機材と連動して電気を消せたりが出来るようになるということだ。

この言葉を聞いた時、2つの考えが頭に浮かんだ。
それは、「そんなことがあるのか」と「うん、そうかもしれない」である。
ここに未来予測と向き合うエッセンスがあると感じたため、今回はそのエッセンスについて記したいと思う。

反射で否定する

初めてBMIのことを目にした時に、咄嗟に「そんなことがあるのか」と感じたのは前述の通りだ。この”咄嗟に”がポイントであり、未来予測に触れる際には意識しなければならない。
おそらく人は、自分が想像できる範疇を超えた情報に触れると反射的にその情報を受け付けなくなってしまうのだろう。
なんでもいい。身の回りで起きた想定外のことを思い出して欲しい。
なんとも言えない衝撃だけが走り、情報が腹の奥まで落ちてこない経験はなかっただろうか。

未来予測はその典型である。何十年も先のことは非連続的な発想を伴う。それゆえ通常の思考の域には収まらないため、信じ難いと思うより先に反射的に否定してしまうのだ。


過去から捉え直す

一方で、「うん、そうかもしれない」と同時に感じた。
このように情報に対して冷静に思考できるということは、その未来予測にある種の妥当性を感じたのだろう。その実感は、情報通信技術の歴史を知っていることに起因する。

中世フランスの腕木通信から始まる情報通信技術の250年の歴史、ここ20年のインターネットの目まぐるしい進歩、そして現在実現可能な技術。
これらに対する理解があったからこそ、なんとか想像できる範囲内で収まり客観的に評価することができたのだろう。

上記の中で、一番妥当性を感じる根拠になっていたのは歴史である。
情報通信技術の歴史からどのようなパターンで発展してきたかを紐解くことで、将来の発展のパターンもぼんやりとイメージできたことが非常に大きいと考えている。


想像の”域”と格闘せよ

現代におけるITの進歩は目まぐるしい。
これまで様々な企業でITプロジェクトに従事してきたが、ソリューションが出てきてからシステム導入の検討を開始していては、テクノロジーの進歩や世の中の変化に間に合わない時代になったと感じている。
数年来の問題にやっと取り掛かったと思えば、プロジェクトの途中で新しいコンセプトや技術が出てくる。そんな感じだ。
そのような時代だからこそ、未来予測と向き合うことが必須だと考える。

情報が想像の域を超えた時、拒絶の反射が起きるならば、常日頃からその”域”の境界線と格闘しなければならない。
過去を振り返り、発展の道筋をなぞり、非連続の延長線を想像する。
この思考様式こそが、今後のデジタル社会で生き残るために求められるのではないだろうか。

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