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ポテンシャルしかない路面店。元小学校の先生が、カフェ「私立珈琲小学校」を開くまで@錦糸町 

東京R不動産」の物件でオープンした、素敵なお店の取材シリーズ第5弾。「物件Before-After」も紹介しています。

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●「小学校の先生」から「コーヒー屋さん」に

窓から覗く吉田先生。「校長」ではなく「担任」なのだそう

今回訪れたのは、錦糸町にオープンした『私立珈琲小学校』。通称、『珈琲小』です。オープンした吉田さんは元小学校教員で、まちの人々から「吉田先生」と慕われています。

このお店には、地域の方はもちろん、吉田さんの教員時代の生徒・保護者さんも「通学」しているようで、街にたたずむ、あたたかな空間になっていました。

入口にあるショーケース。ロゴの影が落ちて素敵

「学校って、子供は先生を選べないので、先生のことが嫌いでも通わなきゃいけない。僕、それが子ども達に申し訳なくて。美容院やレストランのように、相手に『選ばない』という自由を持ってもらえる仕事がしてみたくなったんです

そう話す吉田先生は、笑顔とユーモアの溢れるとっても温かい方。「吉田先生のことが嫌いな生徒なんて、いなかったのでは?」と、取材班の私たちは思わず顔を見合わせてしまいます。

道に面する窓から覗く、吉田先生がセレクトしたコーヒー

そんな吉田先生が教員を退く際、周りの方は応援してくれたそう。

それでも当時、職員室でコーヒーを飲んでいた「クラスの吉田先生」が、お店でコーヒーを振る舞う「まちの吉田先生」になるなんて、誰も想像していなかったのではないでしょうか。

●『ポテンシャルしかない路面店』との出会い

お客さんが外の席に腰掛けることで、町が賑やかに

吉田先生は教職を退くと、専門学校や国内外のワークショップでコーヒーを学び、いよいよお店を始めます。期間限定オープンや移転を何度か経験した『珈琲小』は、次の"校舎"をここ錦糸町に構えることになりました。

「物件探しは苦労しましたが、『R不動産にはイケてる物件が多いらしい』と聞いていたのでもちろん見ていました」

物件を絞った吉田先生は、それらの「商圏調査」を実施。現地に何度も足を運んだり、近所の人に「コーヒー好きですか」と聞いて回ったり...。路上インタビューをする吉田先生を想像すると、なんだかほっこりしてしまいます。

ポテンシャルしかなさそうな空間

やっぱりR不動産って、『きらっと見える物件』を見つけてくれるサイトで。『あ、たしかにこの物件、可能性あるかも』と思わせてくれるので、心持ちが変わってきました」

そうして吉田先生が出会ったこの物件は、東京R不動産が『ポテンシャルしかない路面店』というタイトルで、お店を始めたい人を募っていた場所でした。

この物件の「ポテンシャル」とは...

・2つの道に面している
・芝生のある大きな公園がすぐそこ
・近所にコーヒーやパンの競合店が無い
・改装費用300万円の補助付き(大家さんより)

これらの魅力を併せ持つ、「お店をやりたい」と思っている人にとって夢のような募集には、素敵な方々からの申し込みがたくさん集まりました。そして熟考の末に選ばれたのが、この『珈琲小』だったのです。

コーヒー片手にふらりと出かけたい『錦糸公園』の入口

そこには、「コーヒーやパンを通じて、ちょっと廃れてきてしまったこの街に賑わいが戻るとうれしい」という大家さんの強い想いがありました。

●目指したのは「ピカピカすぎない小学校」

なつかしい「でんぷんのり」の鉢は、知り合いの方からの贈り物

「小学校」というコンセプトは店名だけにとどまらず、お菓子やパンの売り切れを「早退」、さらに何日間か出せない状況は「欠席中」と表すなど、お店全体で表現されています。

吉田先生はそんな空間をつくる際、「ピッカピカの新校舎ではなく、ずっとそこにあったような校舎」を意識したんだそう。

「ピカピカすぎて、お客さんが『なんだここ?』と、気軽に入ってこれないのも嫌だなあと。大きなネオン看板を出したり、外に椅子をばーっと並べたりもできたのですがそうではなく、『街に馴染む』ことが長く愛される店づくりに必要かなと

室内の壁塗りは自分たちで。「ちょっとした補修や機械関係の修理は、自分たちでできるようになりました」

たしかに、派手な風貌で街に登場してみたとしても、その「目立つ」瞬間がピークになってしまいそうです。まちとの境界を曖昧にして「馴染む」ようなお店にすることを、始めから考えられていたんですね。

「大人数のお客さんが来たら、近くの広いコーヒー屋さんを紹介したいですし。自分の儲けだけを取ったって、上手くいきませんからね」

●「僕の大好きな人たち」で構成された店内

外に置かれた看板の「文字」を眺める

そんなお店のロゴは、『珈琲小』のために作られたオリジナルフォントで使作られています。揺らぎのある文字デザインは、小学生が集まったり動き出したりするような、わんぱくな印象が。

この英語ロゴを知人でもあるデザイナーさんに提案してもらった時、吉田先生は「以前の校舎まで使っていた『漢字ロゴのインパクト』を手放すのは勇気がいるなあ」と感じたそう。

しかし「プロの意見はちゃんと聞きたいから、信じてみよう!」と、今回はこの英語ロゴに決定。その結果、漢字ロゴだった頃よりも、看板を撮るお客さんが増えたそうです。

このテーブルは、ハウススタジオ『STAPLE ROOM』の岩西さん作。コースター(写真4枚目)も作ってくれました

そしてロゴだけでなく、吉田直嗣さんのコーヒーカップ、イームズのスツールなど、お店の中にも「ご縁のあった人たちや、僕の大好きな人たち」に関わるものが。

商品であるコーヒーにもしっかりとこだわりのある吉田先生ですが、空間を構成する物にもさまざまな想いが込められているんですね。

●「バリアフリー」はハードもソフトも

街に馴染む外観と、段差

最後に、これからの『珈琲小』について尋ねると、「入口をバリアフリーにしたい。店を始めてみたら、目や身体が不自由な方もたくさんいらっしゃって」とのこと。

たしかに見てみると、入り口には15cmほどの段差があります。

「でも単に『ハード面』を整えたら終わりではなく、そういった方々もスムーズにご案内できるような、スタッフや雰囲気といった『ソフト』面も対応していきたいですね」

段差がある、と分かっていても通いたくなる魅力があります

そんな話を受け、ここで一つ、ご紹介したいエピソードが。

実は今回のインタビューが始まる時、吉田先生の第一声は「学校に通われたご経験はありますか?」。取材にあたり、「取材をする側」の我々が過ごした学校にまず目を向けてくださるなんて、私は驚いてしまいました。

「学校に通った経験」と言っても、その規模や地域によって形は様々ですよね。「一括りに『共通の土壌』があると思いながら話してしまうのはなぁ」と吉田先生は考えていたそうです。

そんな気遣いもできてしまう吉田先生たちなら、ソフト面の心配はきっと不要に違いありません。

とってもフレンドリーに迎えてくださった、珈琲小の「先生」たち

さまざまな「ポテンシャル」を持った物件は、あたたかな先生たちよって最大限に生かされ、誰もを迎える『私立珈琲小学校』になっていました。みなさんもぜひ、ふらりと「登校」してみてください。

●お店情報と物件ビフォアフター

店名:私立珈琲小学校
Instagram:@coffeeelementaryschool
住所:東京都墨田区錦糸4-9-9 宮本マンション2
オープン:2022年7月
広さ:34.88㎡

before『ポテンシャルしかない路面店』。私たちも、ここが何になるのか楽しみにしていました
after『私立珈琲小学校』。ポテンシャルを十二分に生かした場所に生まれ変わりました


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「東京R不動産ならではの視点」でお店の物語を紹介しています。物件Before-Afterも楽しんでいただけたら。

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