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第10話「大学生活万歳🙌🏻」

時の流れは加速し、消えていく。

東京の大学に通う学生ならではのブルースに、正面から向き合って行くこの連載。第10話は、遂に卒論を提出し終え、いよいよ大学生生活が終わってしまいそう。そんな哀愁に塗れた思い出たちを振り返るお話。

大学生1年目、コロナ禍。身動きが取れなかったことを理由に、何もしない自分に、嫌気の代わりに猛毒を刺してやった。したらどうなった。寿命を悟った蝉の様に、必死に生き急いでやったさ。課題になんて目もくれず、やれること全部やって、無謀な目標だって立てたさ。でも、まだその時は生き方が下手だったからさ。やることをやっている、風に見せるのだけは、うまくできたよな。でも結果はどうだった。返ってきたのは、SNS上だけでの賛否だけだった。結局、自分の核の部分は何も無いんだ。そう気づいたら、急に虚しくなった。謎に地元の街中華の冷やしトマトを思い出した。

大学生2年目、変わらないリモート授業。死に急ぎ野郎。自分の中の「好き」を磨こう。そう思った瞬間から、俺は勝っていた。人からの見え方とか、そんなメンヘラ構ってちゃんになんて、構っている暇はない。だからとにかく感性を磨き、表現した。そしたら、自然と新しい交友ネットワークが形成されていて、生きやすくなっていた。でもな、ここからは、今でこそ言える話。それはな、自己中心性・エゴでしかなかった、自惚れだ。でもちょっとだけ、感謝してる。この時期のおかげで、自分の好きな事は、確実に発見できたし、磨かれたと思う。それに人と触れ合うことで起こる化学反応みたいな衝撃がとても心地よかったよ。ありがとう。ただ浮き足立つなよ〜。

大学生3年目。懸念と後悔。人との擦り合わせには体力を伴うことなど見ず知らず、気付けば大根おろしくらい擦られていて、鯖と一緒に、夜に食われている事なんてざらに合った。何回思い返したのだろうか。あんな事を言わなければもう少し長く関係が続いていたのだろうか。嘘でもこう言っとけば、楽しくいられたのだろうか。いーや多分、その縁は、長くは続かなかっただろう。結果として、縁が切れたタイミングが、その時だっただけで、いずれは切れていたはずだ。でなきゃ、その時寂しい思いをした自分が報われない。でもたまに、名残惜しくなる時もあるんだ。

大学生4年目。模索中、永遠の蜉蝣。就活を経験して、1年間かけてようやく手に入れた内定。それまでにはいろんな苦悩や葛藤がありました。自己中心と自己優先を履き違えたこともあったし、自分が好きになれない、余裕が生まれない時もありました。でも結局のところ、まず自分を1番に理解して、感情の矢印が、外側ばかりに向いているのを、内側に向けることが大切である、と気付けました。1人で沈んでいる時の自分も、A君とカラオケで騒いでいる時の自分も、Bちゃんとドライブして格好つけている時の自分も、全てが自分。今は誇りを持って、そんな自分を、好きと言えるようになりました。そして、そのおかげで少しの余裕が芽生えました。今度はその余裕を使って、相手を知るためのいい機会にしよう。自分には、これだけいろんな自分がいたのだから、きっとこれから出会う人たちもたっくさんの自分がいるのだろう。しかも同じ人間なんてこの世にひとりもいないと来た。そしてきっと、色んな人たちと会話をして、目線を合わせた瞬間から新しい自分に出会うのだろう。にしても、やっぱり自分の引き出しの中にある感情を言葉で表現するのは難しいな。でもこうして文字に起こす事が、最近の私の「好き」な事です。

このもどかしさの栞は、永遠の儚さと共にここに挟んでおきます。

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