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第2話「電車の中、どう過ごすのが正解?🚃」

音楽を聴いているとつい体がリズムをとっているこの頃。

東京の大学に通う学生ならではのブルースに、正面から向き合って行くこの連載。第2話は電車の中でのブルース。皆さんは電車の中でどのように過ごしているのだろうか。携帯を見ていたり、読書をしていたり、YouTubeを見てくすくすと笑っていたり。 そんな中で僕はいつも何をしていいのか、戸惑っている。しかし最近になり、人間観察をすることにハマっている。電車という一つの空間に、どんな格好の人がどのように入って、どこに座るのか、はたまた角っこに佇むのか。見ているだけなのに、車窓から差し込む日差しと共に、そこがまるで一つの芸術映像作品のような空間を作り出す。

そんな中でも特に注目して見てしまう人種が2通りある。1つはおしゃれな人だ。あの人たちは、車内に入った瞬間から異様な雰囲気を放ちながら、「私今余裕ありまくりですよ、近寄らないでくださいねっ」と言わんばかりのオーラをぷんぷんと放っている。しかし、やはりどうしても彼らに目がいく。そして何を着ているかじっと見ていると視線に気づかれ、睨まれる。すいませんと謝るかのように視線を外しながらも、やはり心の中では気になっている。するとなんてことだ。向こうから視線を感じるのである。自分もある程度服にこだわりがあり、それなりの格好をしているからか視線を感じる。しかし、これはあくまで自己満足の妄想であり、確実な自意識過剰である。だがそれでもそこにほんの少し優越感を感じてしまうのだ。会話なくとも、ただ視線だけでお互いの承認欲求を満たし合える。なんて素晴らしいことなのだろう。

そしてもう1つは同じ学生である。学生といっても、制服を着た高校生もいれば、私服を着た大学生もいる。その中でもやはり同じ大学生らの会話が気になりすぎる。同族嫌悪という訳ではないが、大学に友達がいない僕にとっては、あのなんとも言えない群れた感じがどうにも気になるし、会話なんてしている際には、内容を事細かに聞きたくなるものだ。そんな時はノイズキャンセルをしながら音楽を聴いているふりをして、実際には音楽を止め、あたかも音楽を聴いているかのように見せかけて会話をこっそり聞きしてしまう。そこには一切の罪悪感やためらいもなく、ただ興味という本能に身を任せ全力で彼らの会話に耳を研ぎ澄ます。しかし、そこは電車内である。レールを通る電車の音や踏切の音、さらには車内のアナウンス音までが僕の承認欲求の邪魔をしてくる。早く聞かせてくれ、しかし、その思いも束の間、たった一駅の区間約3分である。その人たちがその電車を降りて仕舞えばあのキラキラした会話も大学生という身分も失い、さらには改札を抜け、ビルと人の隙間を抜けて仕舞えば姿形も残らない。

くそ、僕は今日も聞き逃がす、これで何度目になるのだろうか。そんなことを考える間もなく、乗り換え先の電車が目の前に止まる。そして僕もまた電車のホームに学生という身分を脱ぎ去り乗り込むのであった。

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