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都会に佇む森

いつも家周辺から西側の通りをよく散策しているので、たまには東側へ足を運んでみることにした。
事前に地図で何があるか調べてみると、大きい公園が目に入った。天気もいいので本を持って公園に向かってみる。

家から20分ほど歩くと、時々使う駅が見えてくる。その隣に目当ての公園があった。何度か通ったことのある道だが、公園があるのには今まで気づかなかった。
公園内はとにかく自然が広がっていて、気分が晴れる。本当は外に出るのが億劫だったが、天気がいいからと説得し、重い腰をあげた自分を褒めたい。

橋と木と田んぼ。

私の好きなゲームの中にもこんな光景があった。そんなことをふと思い出してしまうくらい、芸術的な光景に感じた。こんな都会の一画に田んぼがあるなんて信じられるだろうか。

さらに公園内を歩いていると、小さな川のような場所を見つけた。きっと綺麗だろうと思い少し足早に近くまで向かう。
近づいて写真を撮ろうとすると、小さな虫がたくさん飛んでいることに気づいて、慌ててUターンする。
自然は好きだが虫は苦手だ…。それでも虫が飛んでいるなんて、本当に森の中にいるようだ。

虫の壁があったためこれより先には行けなかった。

そんなこんなで一通り公園を歩きながら、読書スポットを探す。
ベンチが並んでいて、やや日陰になっているスペースに何人か先客がいた。ただ景色を眺めてる人、誰かと電話している人、本を読んでいる人。
まだ空いているベンチがあったので、私もそこに腰掛けて本を取り出す。

先日図書館で借りてきた、お気に入りの作家の本を持ってきた。本に映る木々の影がなんだかおしゃれで、彼女の文章を引き立てている気がした。
そのまま30分ほどそこに座って本を読む。天気がいい分、日差しが暑い。そんな暑さも健康的に感じたが、耐えるには30分が限界だった。

大好きなフランス作家の遺作となった小説

初めてきた公園を観察し、本を読む。とりあえず目的は達成したので出口へ向かう。道にはたくさんの木の枝が落ちていて、足に引っかかるたびにカランコロンと音を立てる。こんなに自然を感じるところを歩いたのはいつぶりだろうか。

公園を出るといつもの見慣れた都会の光景だった。電機屋、車屋、大型スーパー。なんでもござれの便利な街。先ほどとの温度差に少し寂しさも感じながら、家まで向かう。
お腹が空いたので、いつも行っている所とは別の回転寿司へ立ち寄る。サクッと食べれる回転寿司が好きなので、西にも東にもお店があるのはありがたい。

最後に古本屋に立ち寄って、家に帰ってから読めそうな漫画や小説を探す。だが事前に何も調べずに立ち寄ったのもあり、特に収穫はなく早々に店を出た。
それでもたくさんの本に囲まれるのはいつ来ても楽しい時間だ。

あの公園の先にもまだ大きい公園が2つあるのを地図で確認しているので、東側の開拓にはまだまだ期待できそうだ。
目的のない散歩よりも、あれもこれもと寄り道できる方が好きなので、やはり環七の利便性には頭が上がらない。
都会ならではの大きな建物が並ぶ通りの先に、田んぼの存在する公園がある。なんて異色な街だろうか。
この街に住んでもう少しで1年になるが、まだまだ飽きることはなさそうだ。

Written by HINA




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