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2度の上京で見つかる答え

私は2度上京を経験している。初めての上京の時は東京にとても憧れていたし、自分が都会で夢を叶える姿を想像してワクワクしていた。
それでも実際に上京してみると、「夢を叶えないといけない」という気持ちが大きすぎたのか、慣れない環境で何者にもなれない自分がとても嫌で辛かった。
そんな時に気晴らしに付き合ってくれる友達もいなく、かなり限界を感じていた。

ものすごく地元が恋しかったが、地元に帰るのは負けたみたい、と謎のプライドが邪魔をする。
そのプライドも約2ヶ月の時を経てやっと折れてくれたので、私は地元に帰ることを決意した。

地元への帰還

地元に帰ると、仲の良い友達にいつでも会えて、慣れ親しんだ場所はどこへ行くのにも気が楽で、とても幸せだった。ただ、夢を見て東京へ出たのに、夢を叶えられずに戻った事がずっと引っかかっていた。
夢そのものを諦めてしまったように感じたし、なんだか自分がダメな人間のように思えた。

地元で過ごすうちに、またやりたい事の幅も増えて新しく勉強を始めたりしていた。昔より焦りもないし、自分のペースで着実に進めていける事で以前よりも自信もついてきた。
心に余裕が出てくると、短かったけれど東京で過ごした日々を思い返して少しだけ未練が湧いてくる。

振り返る東京

東京で過ごす中で感じた一番の魅力は、人との出会いだった。
東京では、私と同じように何かを夢見て上京した人が多く、分野は違えど色々な話ができた。
ダンサーを目指す人、アイドルを目指す人、プロのシェフを目指す人、映画監督を目指す人。
皆同じように、東京で夢を追いながら時には孤独を感じていたり、思い通りにいかない現実に悩んでいた。
それでも少しだけうまく行った時は本当に嬉しくて、その話を聞くと私も彼らと同じように喜べたし、自分の夢への気持ちも再確認できた。彼らは他人の夢を決して馬鹿にはしないし、どんなに側から見て滑稽でもそれが誰かにとっては素晴らしいものだと理解してくれる。
だから私は彼らにだけは自分の夢も素直に語る事ができた。
そういう人に出会えたのは東京だけだった。

だからこそ、新しい夢が見えてくるとあの出会いが少し懐かしくなった。

住む場所への迷い

そんなこんなで地元で過ごしながら、やっぱり東京に戻りたいかも…、でもまたすぐ地元に帰りたくなるかも。なんて事をぐるぐると考えていた。
ちょうどその時期はコロナ禍にあって、自粛期間中だったので自分について考える時間も増えていた。
私は飽き性なので、住む場所を転々とするのが好きだった。地元でも住む街を変えてみたり、上京してみたり、と。そろそろこんな生活じゃいけないなあと思いながらも、今の街にはない他の場所への魅力を感じると、そこで生活してみたいと思い引っ越しについて考えるようになるのだ。
そんな時に、コロナの影響で勤めていた会社が倒産する事になった。

2度目の上京

その頃勤めていた会社の上司にはとてもお世話になっていて、会社が倒産する事になった時も次の働き先を紹介してくれた。その上司の知り合いの会社で、上司と一緒に新しく部署を立ち上げる事へ誘ってくれた。
ただ、東京の会社になるのでまた上京する必要がある。
ちょうど住む場所について考えていた時期にその話が来たので、とても悩んだが私は引き受けてまた上京する事を決意した。

回り道でも答えは見つかる

結局、私はどこにいても完全に満足する事はないだろう。今でも地元は恋しいし、東京でしか経験できない出会いも捨てられない。どこに行ってもどこかを羨むのなら、自分がいる場所を自分の好きなように変えて行くしかないのだ。億劫でもお気に入りの場所を探しに行くし、慣れない土地は住み続ければ慣れた景色へ変わる。2度目の上京は最初の頃にくらべて憧れも少ないせいか、苦しくならずに今の今まで続けられている。
たくさん迷って行ったり来たりしたが、それがあったおかげで自分にとって1番心地いい選択をする事ができたと思っている。

Written by HINA


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