「コント」 はにかむマルクス、物象化(ぶっしょうか)された存在
「管理」はいつも忍び足でやってくる。
風邪ウィルスの戒厳令の名のもとに、
知らず知らずのうちに忍びくるモノに寄せて。
┅┅
「先生、『物象化』の意味がわかりません」
「キミは、まだそんなことをいっているのかね。もうとっくに、政治の季節は終わっているんだよ。まだマルクスの幻想に惑わされているのかい。
世の中に出て、大っぴらにしゃべれない小心者の作家や、大学というオリの中で、ひとり上手になっているオナニズム一派にまかしときなさい」
「でも、物の象としての、化する実態とは」
「つまりだね、われわれ資本主義の〈商品〉には、2つの意味があるんだ。
物そのものの『使用』の価値と、われわれがお互いに『交換』する価値。
この交換だけが目立ってしまった。この商品を作っている人間も、作業している労働もだね、単に交換の価値に数えられたんだ。
労働だけじゃなく、人間そのものも商品として扱われ、数値化されちゃった。『モノ』化されてしまった。
便利だけにAI化され、オンライン。やがて体も脳も冒され、去勢されて、いつしかオカマ同然のワタシ。いやん、やめての状態ってわけ。
また、じぶんが機械で商品を作っているのに、商品がじぶんにたいして、なんだかヨソヨソしく感じて、疎外感を受けるんだよ。わかる?」
「かっこいいですね」
○
「若い人は、いっていることは単純なのに、見た目のむずかしい字ズラに引かれるから、むずかしい言葉に惑わされている。
《わかりやすい言葉は使っても、最後にはいつも答えを出さず、思わせ振りをして逃げていく》。
そういって、小林秀雄を批判した吉本隆明も、答えは単純なのに、使っている言葉を縁語的に使って逃げていくようなもの。状況を情況といったりね」
「わかりました。たとえていえば、商品化されているアイドル、売れてナンボ。売れなければゴミ扱い、廃棄処分。
でも後から後から、ファーストフードみたいに、手軽に大量生産されるような状態。
またあのN国党の立花たかしが、人気者マツコ・デラックスにイチャモンつけて、ユーチューブの視聴数を稼ぎました。人気ユーチューバーになり、世間に広まりました。
でもさらに視聴数を稼ごうと、キャバ嬢とかホリエモンで再生数を重ねても、実態がない。肝心の選挙票に、結びつかないようなものですね。
視聴数のヒットで人気ユーチューバーになった、人気ユーチューバーとして扱われた。でも《視聴数でしか認められない》人気ユーチューバーは、物象化された存在なんですね。
そうか、ベストセラーを出さなければ認められない作家とか、必要以上に視聴率をかせげなければ存在できない番組、フォロワーや❤️マークにあくせくしているnote作者みたいなものなんだ」
「そう。さらにたとえていえば、いくら女性関係の再生数を増やしても、その実態は物象化されているんだ」
「えっ、誰のことなの」
「残されているのは、いつも愛の不毛という残骸だけなのさ。そこにはすでに、真実の愛というものはないんだ。
ひとりの好きな女性と、何度でも恋愛することこそ、ほんとうに心の充足感を与えるんだよ。ナンテね」
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